音声広報CD「明日への声」トラックナンバー2(HTML版)|令和5年(2023年)3月発行分

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音声広報CD「明日への声」 vol.90(令和5年(2023年)3月発行)

トラックナンバー2

(タイトル:畠山)

知っていますか?長周期地震動

(イントロダクション:畠山)

大きな地震が発生したとき、高層ビルでは船に乗っているような揺れを感じることがあります。このようなゆっくりとした大きな揺れを「長周期地震動」といいます。ここでは「長周期地震動」とはどのようなものか、「長周期地震動」に備えて事前にしておいた方が良い対策や、長周期地震動による被害の可能性がある場合にも発表される緊急地震速報について紹介します。

(本文:Q.畠山/A.南雲)

Q1:「長周期地震動」。今まで、地震のニュースなどでもあまり聞かなかった言葉ですね。いったいどのようなものなのでしょうか?

A1:揺れが1往復するのにかかる時間を「周期」といいますが、地震が起きると様々な周期を持つ揺れが発生します。ガタガタと小刻みに揺れる、周期の短い揺れに加え、大きな地震では、船に乗っているような、周期の長い揺れも発生します。このゆっくりとした大きな揺れを「長周期地震動」といいます。

Q2:地震の揺れ方の一つ、ということでしょうか。この「長周期地震動」には他にどのような特徴があるのですか?

A2:地震の規模を表す「マグニチュード」が大きい地震ほど発生しやすく、揺れが遠くまで伝わるという性質があります。
また、長周期地震動では高層階ほど揺れやすいという特徴があります。そのため、震源地から遠く、通常の揺れの被害が小さい地域でも、ビルの高層階では大きな揺れが発生することがあります。

Q3:「長周期地震動」による影響は、ビルなどの高層階で大きく表れるということですね。普通の揺れと比べて、どのようなことが起きるのですか?

A3:周期の短い地震動では、一戸建て住宅などの比較的低い建物が強く揺れ、数秒から数十秒で揺れが収まるケースがほとんどです。一方で長周期地震動が発生すると、高層ビルが長い時間にわたって大きく揺れ続けることがあります。上の階ほど大きく長く揺れ、10分以上揺れが続くこともあります。

Q4:平成23年に発生した東日本大震災では、東京の高層ビルが大きく左右に揺れていましたね。建物などにも大きな被害が出たと聞きます。

A4:はい。都内の高層ビルでは長周期地震動の影響で長い時間にわたって大きな揺れが続き、天井の落下、スプリンクラーやエレベーターの故障などが起きました。さらに、震源から約(およそ)700kmも離れた大阪市内のビルの高層階でも、エレベーター停止による閉じ込め事故、内装材や防火扉が破損するなどの被害が出ました。このとき、東京での最大震度は5強、大阪での最大震度は3でした。

Q5:大阪では震度3だったにも関わらず大きな被害が出ているんですね。長周期地震動による揺れは震度とは分けて考えたほうが良さそうですね。「長周期地震動」にも震度のように大きさを表すものがあるのでしょうか?

A5:地震による揺れの強さを表す指標には「震度」があります。気象庁が発表している震度は、人の揺れの感じ方や低い建物での揺れの強さを表すには適切な指標ですが、「長周期地震動」の揺れの大きさを表現できません。そのため、震度とは別の「長周期地震動階級」という指標で揺れの大きさを表すようにしています。「長周期地震動階級」には、「階級1」から「階級4」まで4段階の区分があります。

Q6:「震度」ではなく、「長周期地震動階級」で表すのですね。それぞれの階級ごとに揺れのイメージを教えてもらえますか?

A6:はい。階級1では、室内にいるほとんどの人が揺れを感じ、驚く人もいます。また、ブラインドなどの吊り下げたものが大きく揺れます。階級2になると、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を来たします。また、キャスター付き家具などがわずかに動いたり、棚にある食器類や本が落ちることがあります。

Q7:階級2では、動くことに支障を感じたり、棚から物が落ちたりするのですね。

A7:そして階級3では、立っていることが困難になります。キャスター付き家具は大きく動き、固定していない家具が移動したり、不安定なものは倒れたりします。階級4となると、人は立っていることができず、はわないと動くことができない揺れになります。キャスター付き家具などが大きく動き、転倒するものもあります。固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもあります。

Q8:聞いていると、かなり揺れる様子で怖くなってきます。私たちは普段、どのように「長周期地震動」へ備えればいいのでしょうか?

A8:事前に安全な場所はどこか確認し、地震発生の際にどう行動するのかを決めておくことが大切です。また、室内の家具類やオフィス機器の固定などを再確認して、長周期地震動からご自身を守るための準備をしておいてください。

Q9:そのあたりの対策は普通の地震と同じですね。普通の地震のときは緊急地震速報がありますが、長周期地震動が予想されるときにも同じように知る手段はあるのでしょうか?

A9:気象庁では、令和5年2月から、「長周期地震動階級3以上」を予想した地域にも緊急地震速報を発表することになりました。一度、震源の近くの地域に緊急地震速報が発表されたあと、長周期地震動を予想した別の地域に追加で発表されることもあります。

Q10:長周期地震動発生の緊急地震速報が出されたときは、どのように行動すればいいでしょうか?

A10:慌てずに、まずは身を守る行動をとりましょう。マンションの室内などでは、頭を保護し、丈夫な机の下など安全な場所に避難します。大きな揺れで飛ばされないよう体勢を低くして身の安全を確保しましょう。外出先の商業ビルや大規模店舗などでは、安全な場所で頭を保護し、揺れに備えて安全な姿勢をとりましょう。慌てて出口や階段に殺到するようなことは避け、施設の係員や館内アナウンスなどの指示があれば、それに従ってください。エレベーターは、最寄りの階で停止させて、すぐに降りましょう。地震が発生した際、エレベーターの利用は危険ですので使用しないでください。

〈エンディング:畠山〉

地震はいつどこで起きるか分かりません。短時間で的確な行動をとるためには、あらかじめとるべき行動を決めておくなど、事前の備えが大切です。「長周期地震動」への備えに関しても、普段の地震対策と大きな違いはありません。ただ、高い建物の中にいる場合、「長周期地震動」により非常に長い時間大きく揺れることがあることを覚えておきましょう。
気象庁のウェブサイトでは、長周期地震動について詳しく解説した動画を公開しています。【気象庁 長周期】で検索してみてください。

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