音声広報CD「明日への声」トラックナンバー5(HTML版)|令和4年(2022年)7月発行分

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音声広報CD「明日への声」 vol.86(令和4年(2022年)7月発行)

トラックナンバー5

(タイトル:女性)

少年法が変わりました!

(イントロダクション:女性)

2022年4月1日に、少年法等の一部を改正する法律が施行されました。また、この日から、選挙権年齢や民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18歳・19歳の方は、社会において、責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場になりました。
今回の少年法改正は、18歳・19歳の少年が罪を犯した場合には、その立場に応じた取扱いとするため、「特定少年」として、17歳以下の少年とは異なる特例を定めています。

(本文:Q.女性/A.男性)

Q:まず改めて、少年法というのはどのような法律なのでしょうか?

A:少年法は、少年の健全な育成を図るため、非行少年に対する処分やその手続などについて定める法律です。少年法による手続・処分の特色として、少年事件については、検察官が処分を決めるのではなく、全ての事件が家庭裁判所に送られ、家庭裁判所が処分を決定することや、家庭裁判所は、少年に対し、原則として、懲役や罰金などの刑罰ではなく、少年院送致などの保護処分を課すことなどが挙げられます。

Q:罪を犯した少年は、どのような手続で、どのような処分を受けるのでしょうか?

A:少年事件は、罪を犯した疑いがある限り、全ての事件が警察や検察などの捜査機関から家庭裁判所に送られます。そして、家庭裁判所では、犯罪に関する事実のほか、少年の生い立ち、性格、家庭環境などについても調査をした上で、少年に対する処分を決定します。家庭裁判所の決定には、検察官送致、いわゆる逆送や、少年院送致、保護観察などがあります。

Q:家庭裁判所では、犯罪に関する事実のほか、生い立ちや家庭環境なども考慮して処分を決めるのですね。少年院送致や保護観察などの「保護処分」は「刑罰」とは違うのですか?

A:保護処分である少年院送致や保護観察は、少年の更生を目的として家庭裁判所が課す特別な処分で、刑事裁判所が科す懲役、罰金などの刑罰とは異なるものです。少年院送致では、対象者を少年院に収容し、その特性に応じた矯正教育などを行うのに対し、懲役では、対象者を刑務所に収容し、所定の作業を行わせることとされています。また、保護観察では、対象者を施設に収容せず、社会内に置いたまま、保護観察所が指導監督、補導援護を行います。

Q:先ほど家庭裁判所の決定には、逆送というものがあるとのことでしたが、どのような手続なのでしょうか?

A:逆送は、家庭裁判所が、保護処分ではなく、懲役、罰金などの刑罰を科すべきと判断した場合に、事件を検察官に送るものです。逆送された事件は、検察官によって刑事裁判所に起訴され、刑事裁判で有罪となれば刑罰が科されます。また、家庭裁判所が原則として逆送しなければならないとされている事件を「原則逆送対象事件」といいます。改正前の少年法では、16歳以上の少年のときに犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪、例えば、殺人罪や傷害致死罪などの事件がこれに当たることとされていました。今回の改正で、特定少年、すなわち18歳・19歳の少年については、原則逆送対象事件が拡大されました。

Q:特定少年の「原則逆送対象事件」とはどのようなものでしょうか?

A:今回の改正により、特定少年については、原則逆送対象事件に、これまでの16歳以上の少年のときに犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件に加えて、18歳・19歳の少年のときに犯した死刑、無期又は法定刑の下限である短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件が追加されました。これにより、特定少年については、例えば、現住建造物等放火罪、強制性交等罪、強盗罪、組織的詐欺罪などが新たに原則逆送対象事件となりました。

Q:なるほど。他にはどのような改正があったのでしょうか?

A:少年法第61条によって、少年のときに犯した罪については、少年の更生に資するため、氏名、年齢、職業、住居、容ぼうなどによって犯人が誰であるかが分かるような記事・写真等の報道、いわゆる推知報道が禁止されています。今回の改正により、18歳・19歳の少年のときに犯した罪については、推知報道は原則として禁止されるものの、逆送されて起訴された場合には、その段階から、推知報道の禁止が解除されることとなりました。ただし、非公開の書面審理で罰金等を科す略式手続により起訴される場合、引き続き推知報道は原則として禁止されています。

Q:そもそも選挙権年齢や民法の成年年齢は18歳に引き下げられたのに、なぜ18歳・19歳の少年に少年法を適用するのでしょうか?

A:18歳・19歳の少年は、成長の途上にあり、罪を犯した場合にも適切な教育や処遇による更生が期待できます。そのため、今回の改正では、18歳・19歳の少年も「特定少年」として引き続き少年法の適用対象とし、全ての事件を家庭裁判所に送って、原則として、更生のための保護処分を行うという少年法の基本的な枠組みを維持しています。他方で、18歳・19歳の方は、選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げにより、重要な権利・自由を認められ、責任ある主体として社会に参加することが期待される立場となりました。そこで、18歳・19歳の少年については、少年法においても、その立場に応じた取扱いをするため、原則逆送対象事件を拡大し、推知報道を一部解禁するなど、17歳以下の少年とは異なる特例を定めることとなりました。

(エンディング)

少年法については、法務省ホームページにおいても解説しています。「法務省 少年法」と検索してみてください。
また、法務省提供の「大人への道しるべ」というウェブコンテンツにおいても、漫画やクイズ形式により、改正少年法について紹介しています。ウェブ検索される場合は「大人への道しるべ 少年法」と検索してみてください。

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