音声広報CD「明日への声」トラックナンバー5 vol.99(令和6年(2024年)9月発行)

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(イントロダクション:女性ナレーター)

遺言は、自分の財産を誰にどのように残したいか、自分の意思や想いを確実に伝えるための手段です。遺言書が無効になったり紛失したりすることがないように正しい遺言書の書き方、保管の仕方を紹介します。

(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)

Q1:はじめに、遺言書の役割と種類について教えてください。

A1:個人が亡くなった後の財産は、遺言書がない場合は、相続人全員の話合いによって遺産の分け方が決められますが、「法定相続人以外にも財産を残したい人がいる」「不動産を特定の相続人に相続させたい」「遺産分割で争いになるのを避けたい」などの意思や想いがある場合、遺言書が必要です。

一般的に用いられる遺言書としては、遺言者自らが手書きで書く「自筆証書遺言」と、公証人が遺言者から聞いた内容を文章にまとめ公正証書として作成する「公正証書遺言」があります。このほか、利用数は少ないですが、内容を秘密にしたまま、存在だけを公証人と証人2人以上で証明してもらう「秘密証書遺言」があります。

Q2:自筆証書遺言について詳しく教えてください。

A2:自筆証書遺言は、遺言の全文、日付、氏名を自分で手書きして、押印をする遺言書です。遺言書の本文はパソコンや代筆で作成できませんが、財産目録はパソコンや代筆でも作成することができます。自筆証書遺言の長所としては、作成に費用がかからず、いつでも手軽に書き直せる点、遺言の内容を自分以外に秘密にすることができる点です。一方で短所としては、一定の要件を満たしていないと遺言が無効になるおそれがある点、遺言書が紛失したり勝手に書き換えられたりするなどのおそれがある点、遺言者の死亡後、遺言書の保管者や相続人が家庭裁判所に遺言書を提出して、検認の手続きを行う必要がある点です。

Q3:公正証書遺言についても教えてください。

A3:公正証書遺言は、公証役場で証人2人以上の立会いの下、遺言者が遺言の趣旨を公証人に述べて、公証人の筆記により作成してもらう遺言書です。遺言書の原本は、公証役場で保管されます。
公正証書遺言の長所としては、法律知識がなくても、公証人という法律の専門家が遺言書作成を手がけてくれるので、遺言書が無効になる可能性が低い点、勝手に書き換えられたりするなどのおそれがない点、家庭裁判所での検認の手続きが不要な点です。短所としては、証人2人が必要な点、費用や手間がかかる点です。

Q4:自筆証書遺言は費用をかけず手軽に作成できる半面、問題が生じやすいようですが、何か良い解消法はありますか?

A4:自筆証書遺言の手軽さなどの利点を生かしつつ、こうした問題を解消するため、自筆証書遺言書とその画像データを法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」が、2020年7月からスタートしています。この制度が利用できる法務局を「遺言書保管所」と言い、全国312か所の法務局で利用することができます。

Q5:自筆証書遺言書保管制度の長所を教えてください。

A5:この制度の長所としては、法務局で、遺言書の原本と、その画像データが保管されるため、紛失や盗難、偽造や改ざんのおそれがありません。また、自筆証書遺言の形式に適合するかについて法務局職員が確認するため、無効な遺言書になりにくいと言えます。ただし、遺言書の有効性を保証するものではありません。
ほかにも遺言者があらかじめ希望した場合に限り遺言者が亡くなったときに、あらかじめ指定されたかたへ遺言書が法務局に保管されていることを通知してもらえたり、遺言者が亡くなった後の家庭裁判所での検認が不要になったりします。

Q6:自筆証書遺言を作成する際の注意点を教えてください。

A6:遺言書には、誰に、どの財産を、どのぐらい残すかを具体的に記載する必要があります。そして、民法で定められた自筆証書遺言の要件を満たしていないと、無効になってしまいます。
要件の一つ目は、遺言者本人が、遺言書の本文の全てを自書し、遺言書を作成した年月日を具体的に記載して、署名し、押印することが必要です。押印は認印でも問題ありません。二つ目は、財産目録は、パソコンで作成した目録や預金通帳、登記事項証明書といったもののコピーなどを添付する方法でも作成可能ですが、その場合は各ページに自書による署名と押印が必要です。両面コピーなどの場合は両面に署名、押印が必要になります。自書によらない財産目録は、本文が記載された用紙とは別の用紙で作成する必要があります。三つ目は、遺言書を変更する場合には、従前の記載に二重線を引くなどして訂正をした上で、訂正箇所への押印が必要です。また、適宜の場所に変更場所の指示、変更した旨の署名が必要になります。

Q7:自筆証書遺言書保管制度を利用する際の注意点も教えてください。

A7:自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、遺言書の様式が決まっているので、その様式で作成する必要があります。詳しくは「法務省 遺言書の様式の注意事項」で検索してみてください。また、法務局では遺言書の内容に関する相談には応じることができません。もし、遺言書の内容に関して不明な点がある場合や相談したい場合は、弁護士などの法律の専門家にご相談ください。

Q8:自筆証書遺言書を法務局に預けるにはどうすれば良いですか?

A8:遺言書を法務局で保管するためには、遺言者本人が法務局に出向いて、保管の申請手続きをする必要があります。
自筆証書遺言書保管制度を利用できる法務局は、全国に312か所ありますが、その中から、遺言者の住所地、遺言者の本籍地、遺言者が所有する不動産所在地のいずれかを管轄する法務局内の遺言書保管所であれば、どこでも申請手続きができます。
申請に必要な申請書は、法務省ホームページからダウンロードできますので、「法務省 自筆証書遺言書保管制度 申請書」で検索してみてください。また、最寄りの法務局の窓口でも入手できます。
なお、法務局で行う手続きは、事前予約制です。予約した日時に申請に必要な書類を持って法務局に行き、申請を行ってください。

Q9:申請手続きに必要な書類について教えてください。

A9:自筆証書遺言書、申請書、官公庁から発行された顔写真付きの身分証明書、本籍と戸籍の筆頭者の記載のある住民票の写しなどです。また、遺言書が外国語により記載されているときは日本語による翻訳文も用意します。ほかにも、遺言書保管手数料として3,900円分の収入印紙が必要です。
必要な書類に不足などがなければ、原本とその画像データが保管され、保管証が渡されます。保管証は再発行されませんので、大切に保管しましょう。

Q10:そのほかに注意することはありますか?

A10:2024年4月から、相続登記の申請が義務化され、相続などにより不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行うことが必要になります。なお、正当な理由がないのに申請をしなかった場合には、10万円以下の過料の適用対象となりますので注意してください。

(エンディング:女性ナレーター)

遺言書は、相続に自分の意思を反映するための大切なものです。手続きやルールを正しく理解し、遺言書の作成を考えた場合は、その保管についてもあわせて考えておきましょう。自分の財産をリスト化して、整理しておくことも大切です。政府広報オンラインにおいても、遺言書の作成について詳しく紹介していますので、「政府広報オンライン 遺言書」で検索してみてください。

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