音声広報CD「明日への声」トラックナンバー3 vol.99(令和6年(2024年)9月発行)

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(イントロダクション:女性ナレーター)

日本では、しばしば大きな自然災害が起き、そのたびに貴重な人命が失われたり、住まいや仕事場などに大きな損害を受けたりしています。命は助かったとしても、自然災害のために財産を失ったり収入の道を一時的に断たれたりすることで、借りていた住宅ローンや事業性ローンなどの返済ができなくなるケースもあります。そうした被災者が一定の要件に該当する場合に、少しでも生活や事業を再建しやすいように、「破産」などによらない債務整理の途があります。そんな「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」のメリットや手続きの流れを紹介します。

(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)

Q1:「大規模な自然災害でローンの返済が困難になったときは、どうすれば良いですか?

A1:既存のローンが返済できなくなった場合、「債務」を整理するためには「破産」や「再生」といった法的手続きがあります。しかし、こうした法的手続きにより債務整理を行った場合には、その事実が個人信用情報として登録され、生活や事業を再建するために必要な資金の借入れが受けられないといった問題が生じることがあります。そこで利用したいのが、「自然災害債務整理ガイドライン」です

Q2:「自然災害債務整理ガイドライン」とはどのようなものですか?

A2:「自然災害債務整理ガイドライン」は、正式名称は「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」と言い、2016年4月から適用が開始されました。このガイドラインを利用することによって、住宅ローンなどを借りている被災者が、破産手続きや民事再生手続きなどの法的な債務整理手続きによらず、銀行などの金融機関との話合いにより、ローンの減額や免除を受けることができます。

Q3:ガイドラインを利用するメリットを教えてください。

A3:「自然災害債務整理ガイドライン」により、債権者との合意に基づき債務整理を行うことで、
①個人信用情報として登録されないため、その後の新たな借入れにも影響が及ばない。
②国の補助により弁護士などによる手続きの支援を無料で受けられる。
③債務者の被災状況や生活状況などの個別事情により異なるが、財産の一部をローンの支払いに充てずに手元に残すことができる。
というメリットがあります。なお、本ガイドラインを利用するための支援と称して報酬を求める悪質業者などにご注意ください。

Q4:どんな人がガイドラインを利用できますか?

A4:「自然災害債務整理ガイドライン」を利用できるのは、東日本大震災又は2015年9月2日以降に「災害救助法」が適用された自然災害の影響によって、それまで抱えていた住宅ローンや自動車ローン、事業性ローンなどを返すことができないか、近い将来に返せなくなることが確実と見込まれる個人や個人事業主です。法人は対象となりません。なお、直近では、令和6年能登半島地震で被災されたかたも対象となっています。

Q5:ガイドラインの利用に当たって何か条件はありますか?

A5:「自然災害債務整理ガイドライン」を利用するかたは、主に次のような要件を満たすことが必要です。
①災害が発生する以前に、対象債権者に対して負っている債務について一括返済を求められるような期限の利益の喪失事由に該当する行為がなかったこと。
②このガイドラインに基づく債務整理を行った場合に、破産手続きや民事再生手続きと同等額以上の回収を得られる見込みがあるなど、対象債権者にとっても経済的な合理性が期待できること。
これらのような要件を満たす場合には、本ガイドラインに基づく債務整理を申し出ることができます。

Q6:ガイドラインを利用した手続きの流れを教えてください。

A6:まず、最も多額のローンを借りている金融機関に対して、自然災害債務整理ガイドラインに基づく手続きの着手を希望することを申し出ます。申出の際、金融機関では、借入先、借入残高、年収、資産の状況などの必要事項を尋ねられることがありますので、可能な範囲で借入れの状況などを整理しておくと良いでしょう。

Q7:金融機関から手続き着手の同意が得られたら、次は何をすれば良いですか?

A7:金融機関から同意が得られた後、地元の弁護士会などを通じて、ガイドライン運営機関に対し、「登録支援専門家」による手続き支援を依頼します。弁護士・公認会計士・税理士・不動産鑑定士などの「登録支援専門家」から、中立・公正な立場に立った債務整理の手続きの支援を受けられます。

Q8:登録支援専門家の支援を依頼した後はどうすれば良いですか?

A8:登録支援専門家の支援を受けながら、申出書や財産目録などの必要書類を作成し、金融機関などに債務整理の申出を行います。
続いて、ローンの免除や減額といった債務整理の内容を盛り込んだ「調停条項案」を作成し、登録支援専門家を経由して金融機関などへ提出し、説明します。金融機関では、1か月以内に、同意するか否かを回答します。

Q9:金融機関などから「調停条項案」に同意が得られた後は、どうすれば良いですか?

A9:簡易裁判所に特定調停を申し立て、特定調停手続きにより調停条項が確定すれば、債務整理が成立します。なお、このガイドラインによる債務整理の結果として、収入や資産などの状況に応じた一定金額の返済が必要になる場合もあります。

Q10:このガイドラインについての問合せ先はありますか?

A10:自然災害債務整理ガイドラインによる債務整理を希望する場合は、最も多額のローンを借りている金融機関にお問い合わせください。

(エンディング:女性ナレーター)

自然災害の影響でローンの返済にお困りのかたは、「自然災害債務整理ガイドライン」の活用をご検討ください。詳しくは、政府広報オンラインで紹介しておりますので、「政府広報オンライン 自然災害債務整理ガイドライン」で検索してみてください。

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