音声広報CD「明日への声」トラックナンバー3 vol.98(令和6年(2024年)7月発行)

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(イントロダクション:女性ナレーター)

現在、日本では空き家が増え続け、使用目的のない空き家の数はこの20年間で約2倍に増加しています。空き家を放置すると大きなトラブルにつながりかねません。その対策として「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称、「空家法」)」が制定され、2023年に改正されました。ここでは、空き家の活用や適切な管理方法についてご紹介します。

(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)

Q1:「空き家」とは、一般的には誰も住んでいない家のことを言いますが、空き家を放置すると、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

A1:デメリットの1つとして、近隣住民への迷惑があります。適切に管理されていない空き家は損傷しやすく、台風で外装材や屋根材が飛んだり、地震で倒壊したりする危険性が高くなります。また、ねずみや害虫などが大量発生したり、ごみが散乱したり、外壁の破損・汚れが放置されるなど、衛生上や景観上の問題をもたらすおそれがあります。さらに、ごみの放置による悪臭や、不法侵入者による周辺地域の治安の悪化、庭木のはみ出しによる隣家の損傷などで、近隣住民の生活に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。空き家が原因で通行人や近隣の家屋に損害を与えてしまうと、損害賠償責任を問われる可能性もあります

Q2:空き家を放置することは、所有者だけでなく、近隣地域全体にも大きなデメリットをもたらすのですね。ほかにはどのようなデメリットがありますか。

A2:デメリットの2つ目として、こうした空き家を放置し、市区町村から特定空家に認定されると、罰則が適用されたり、強制撤去されたりすることが挙げられます。市区町村は特定空家の所有者に対して適切な管理を促す「助言」や「指導」を行い、それでも改善されない場合は「勧告」や「命令」を行います。所有者が命令に従わない場合は50万円以下の過料に処される場合や、行政による強制撤去などの対応が行われる場合もあります。この場合、撤去などの費用は所有者から徴収されます。

Q3:どのような空き家が特定空家に認定されるのでしょうか?

A3:そのまま放置すると倒壊などの危険性が高くなったり、著しく衛生上有害となったりするおそれのあるものや、著しく景観を損なっているものです。これらのほかにも、周辺の生活環境の保全を図るために放置すべきでないと判断されれば「特定空家」となります。3つ目のデメリットとして、特定空家に認定されると、指導や勧告を受けるだけでなく、税金の軽減措置が適用されなくなることが挙げられます。

Q4:税金の負担が増えることになるのですね。どのような税金の軽減措置が適用されなくなるのでしょうか?

A4:土地や家屋を所有していると、固定資産税や都市計画税といった税金がかかりますが、通常、住宅やマンションなどの敷地である「住宅用地」には、課税標準を引き下げる特例が適用されています。しかし、勧告を受けた特定空家の敷地や、管理がされず今後居住する見込みがない空き家の敷地などには、この軽減措置は適用されなくなります。

Q5:特定空家に認定されないような管理が必要ですね。

A5:そうですね。特定空家の状態になる前の早い段階から、適切な管理を行うことも大切です。これまでの空家法では、特定空家に認定される前の空き家には市区町村による指導や勧告などができず、増え続ける空き家への対応にも限界がありました。そこで、2023年に空家法が改正され、周囲に著しい悪影響を及ぼす特定空家になる前の段階から空き家の適切な管理が図られるよう、「管理不全空家」に対する措置が新設されました。

Q6:「管理不全空家」とは、放置すれば特定空家になるおそれのある空き家のことですか?

A6:はい。新たな空家法では、放置すれば特定空家になるおそれのある空き家を市区町村が「管理不全空家」として認定し、管理指針に即した管理を行うよう所有者に対して指導できるようになりました。指導してもなお状態が改善しない場合には、市区町村は勧告を行うことができ、勧告を受けた管理不全空家は、特定空家と同様に、敷地にかかる固定資産税などの軽減措置の適用を受けることができなくなります。

Q7:今回の法改正で、ほかにも改正された点はありますか?

A7:空き家の活用や管理に積極的に取り組むNPO法人や社団法人を「空家等管理活用支援法人」に指定できるようになりました。指定された支援法人は、空き家の所有者からの相談を受けたり、活用希望者のマッチングを行ったりして空き家の活用を促進します。このほか、市区町村が重点的に空き家の活用を図るエリアを設定できる「空家等活用促進区域」や、自然災害などの緊急時に、命令などの手続きがなくても特定空家を強制撤去できる仕組みなどが新たに設けられています。

Q8:法改正により、空き家対策が強化されたのですね。所有者として、空き家を放置しないためにはどうすれば良いのでしょうか?

A8:早めに「解体する」「売る」「貸す」などの方針を決めることが大切です。空き家の発生原因は、半数以上が相続によるものなので、親が元気なうちに、関係者で事前に話し合っておくことが大切です。

Q9:空き家を「解体する」場合、大きな費用がかかりそうで心配です。

A9:老朽化した空き家を解体する場合、国や市区町村の補助金を受けられることもあります。空き家がある市区町村のウェブサイトで調べるか、窓口に問い合わせてみましょう。また、民間事業者と連携して、解体業者の紹介などを行っている市区町村もあります。

Q10:空き家を売ったり貸したりする場合は、事前に改修することも考えられますよね。

A10:そうですね。ただし、「店舗にするので耐震性を高めたい」「住宅として貸したいので見栄えを良くしたい」など様々な目的が想定されますので、まずはどんな改修を検討すべきなのか、建築士などの専門家と相談しましょう。一定の要件を満たす改修工事では、国や各地方自治体の補助金を受けられる場合もあります。国土交通省の「住宅リフォームの支援制度」や住宅金融支援機構の「空き家関連情報サイト」で調べてみましょう。

Q11:空き家をどうするか決められない場合や、適切な管理方法が分からない場合は、どこに相談すれば良いのでしょうか?

A11:まずは空き家のある市区町村の窓口に相談してみましょう。市区町村が指定する「空家等管理活用支援法人」から、空き家の管理や活用に関する情報をもらえたり、空き家を買いたい人や借りたい人とのマッチングサポートなどを受けられたりすることがあります。また、市区町村によっては空き家セミナーを開催しているところもあります

(エンディング:女性ナレーター)

このほかにも空き家にある家財の廃棄やリサイクル、遺品の整理などをしてくれるサービスや、自分で管理できない場合の空き家の管理代行サービスもあります。早めに「解体する」「売る」「貸す」などの方針を決め、空き家のリスクから自分や家族、地域を守りましょう。なお、政府広報オンラインでは、空き家の活用方法などについてより詳しく紹介しています。「政府広報オンライン 空き家」で検索してみてください。

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