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April 2023

海の上でのサイクリング「瀬戸内しまなみ海道」

  • 橋の上で高速道路と並行するしまなみ海道の自転車・歩行者専用道路
  • 来島海峡大橋の三連つり橋
  • 瀬戸内しまなみ海道の地図
  • レモンの島と呼ばれる生口島のレモン
  • 因島・白滝山の仏像越しの眺め
  • 因島にある因島公園からの眺め
橋の上で高速道路と並行するしまなみ海道の自転車・歩行者専用道路

「瀬戸内しまなみ海道」は、海峡を自転車で横断できる日本初のルートだ。瀬戸内海に浮かぶ島々の美しい景色を眺めながら、サイクリングを楽しめる人気のスポットである。

瀬戸内しまなみ海道の地図

瀬戸内しまなみ海道は、日本の本州と四国を橋で結び、瀬戸内海の6つの小島を結ぶ高速道路である。しまなみ海道は1999年5月に開通した広島県尾道市から愛媛県今治市を結ぶ道路で、橋の区間は高速道路と並行して歩行者・自転車が通行できる。その自転車ルートは、島内では高速道路から離れた一般道を走っており、全長約70キロメートルである。『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で一つ星の評価を得ており、アメリカの旅行サイトCNN travelでは「世界で最も素晴らしい自転車道7選」に選出されるなど、今では世界中のサイクリストたちが集まる人気のあるルートとなっている。

ルート沿いの橋からは、大小の島々が点在する瀬戸内海を一望することができる。潮風を切って海の上を行き、空と海の青、島の緑とカラフルな橋の織り成す絶景を楽しむ、これがまさにしまなみ海道サイクリングの大きな魅力である。

来島海峡大橋の三連つり橋

また、道中の島々はそれぞれ異なる歴史・文化を持ち、足を休めてそれを知ることも楽しい。例えば因島(いんのしま。広島県尾道市)は、中世に村上海賊と呼ばれた水先案内人の一族が拠点とした島で城跡などが遺る。因島の隣の生口島(いくちじま。広島県尾道市)は、別名レモンの島と呼ばれる日本産レモンの発祥の地で、春は島の斜面からレモンの花の香りが漂い、秋から冬にかけては実ったレモンの果実が島を彩る。また、特産のタコやアナゴなどの海産物を楽しむランチもよい。橋を渡るだけで島の景色も名物の食べ物も見どころもガラリと変わり、サイクリストを飽きさせることがない。

レモンの島と呼ばれる生口島のレモン

島内の自転車ルートは高速道路の利用者たちもアクセスしやすいため、本格的なサイクリストだけでなく、車での旅行中にふと立ち寄って気軽にサイクリングを楽しむこともできる。しまなみ海道にはルート沿いに設けられた10か所のレンタサイクル・ターミナルがあり、ターミナルによっては電動アシスト自転車や、二人乗りができるタンデム自転車なども利用できる。乗り捨てが可能(一部車種除く)で、移動の足代わりにしてもいい。提携している宿泊先を指定すれば、荷物をホテルに運んでくれるサービスもある。

因島・白滝山の仏像越しの眺め

サイクリストはしまなみ海道を区切って走ることが多い。人気が高いのは、広島の尾道駅前からスタートして、向島(むかいしま。広島県尾道市)、因島、生口島まで渡り、生口島の瀬戸田港からフェリーで尾道に帰るコース。「まずJR尾道駅で電車を降りたら自転車にまたがって、渡船ですぐ目の前に見える向島に渡ります。国内有数のいちじく園やみかん園がある向島まではたったの300メートル。一見、川にしか見えないような狭い海ですが、そこを渡船で渡るだけで旅情が高まるのです」と話すのは、一般社団法人しまなみジャパン・専務理事の坂本大蔵(さかもと だいぞう)さんだ。

「ルートを走れば、観光関連の事業者だけでなく、島民も含めて、サイクリストを歓迎しているという空気感が感じられると思います」とおもてなしにも太鼓判を押す。

因島にある因島公園からの眺め

ルートを知れば知るほど、「今度はここを走りたい」と次への欲求が高まる。胸がワクワクする無限ループに、二度、三度と訪れるサイクリストも多い。雄大な自然と瀬戸内海の海産物に果物類、楽しみは多く味わい深い海の道だ。