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February 2022

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湖上の駅:大井川鐵道井川線「奥大井湖上駅」

  • 奥大井湖上駅
  • 湖の対岸にある展望台から眺めた奥大井湖上駅
  • 奥大井湖上駅プラットホームの看板
  • 湖に架けられた橋の線路沿いを通る歩道
  • 接岨湖の形成につながった長島ダム
  • 奥大井湖上駅の橋からの星空
  • 星空列車
湖の対岸にある展望台から眺めた奥大井湖上駅

湖上の風光明媚な場所にある大井川鐵道井川線の人里離れた駅は、多くの人々が魅了する。

奥大井湖上駅

日本の本州の中ほど、太平洋沿岸に位置する静岡県の中部を流れる一級河川*の大井川は、標高3000メートル級の山岳地帯を水源とし、160キロメートルの距離を経て駿河(するが)湾に注ぐ。この大井川に沿って山岳地帯を走る大井川鐵道(てつどう)井川線は、トンネルと橋梁(きょうりょう)、雄大な眺望で知られる全長25.5キロメートルの路線である。

井川線には千頭(せんず)駅から井川駅まで14の駅がある。千頭駅から1時間強乗車すると着く「奥大井湖上駅」は、同線の下車駅として特に人気があり、“湖上に浮かぶ駅”として知られている。具体的には、駅がダム建設によって生まれた人工湖「接岨湖(せっそこ)」に突き出した半島の先端にあるのだ。井川線のこの地点がダム湖に水没することになり、高さ約70メートルの奥大井レインボーブリッジが湖の半島に架けられた。対岸の展望台から見ると、深い緑色の湖面と、赤い橋のコントラストが鮮やかで印象深い。

奥大井湖上駅プラットホームの看板

奥大井湖上駅が半島に開業したのは1990年。「現在、周辺に人家はなく、駅の利用者のほとんどは、ここを目当てに訪れる訪問客です」と、大井川鐵道株式会社経営企画室の新堀絵理(にいぼり えり)さんは言う。

奥大井湖上駅が日本で有名になったきっかけは、10年ほど前に、駅からの絶景や周囲の自然の色彩の美しさがテレビ番組で取り上げられたことだった。その後、インスタグラムに投稿する人が増え、“インスタ映えスポット”としても人気が高まった。さらに2019年、世界各国の外国人審査員によって世界が共感する「COOL JAPAN」を認定する一般社団法人クールジャパン協議会の「COOL JAPAN AWARD」に、奥大井湖上駅が静岡県で初めて選ばれると、海外からも注目が集まり、新型コロナウイルスの影響前であったので、訪れる外国人観光客が一時的に増えたという。

湖に架けられた橋の線路沿いを通る歩道

「駅の対岸にある展望台には、橋を越えて15分ほどで到着します」と新堀さんは話す。「そこからの眺めは、とても雄大です。山は四季折々に様相を変え、水の色も千変万化します。険しい山峡の地形、建物などさえぎる人工物のない空、そして、湖の深い色合いの三つが調和した景色は見飽きることがありません」

接岨湖の形成につながった長島ダム

駅の周りに住居や「光害(ひかりがい)**」の源がない人里離れた山岳地であることから、駅周辺は星を観察するのに適している。この長所を活用し、大井川鐵道は、2021年11月から2022年2月の限定期間、年始をのぞく毎週土日に「星空列車」を運行している。

奥大井湖上駅の橋からの星空

「午後6時過ぎに奥大井湖上駅に着くように運行し、到着後は1時間近く星空を観察いただけます。寒い時期ですが、その分、星の光も冴(さ)えて、天文ファンにとても好評です」と新堀さんは語る。

星空列車

日中も夜も、人里離れた奥大井湖上駅の絶景が多くの人々をひき付ける。

* 国の経済、国民生活にとって重要な水系は、「一級河川」に指定される (国土交通省)。
** 光害は(街の明かりのような)人工のスカイライトであり、特に天体観測を妨害する。