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  • 真庭市内のヒノキ林
  • CLTでつくられた真庭市の公衆トイレ
  • 真庭バイオマス発電所
  • 真庭バイオマス集積基地
  • 真庭の原木市場
  • Cross Laminated Timber(CLT)のブロック-各層が直交するように積層接着された木の板

July 2021

廃材を使ってバイオマス発電

真庭バイオマス発電所

岡山県真庭市(まにわし)では、間伐材や、製材の過程で生じる枝や葉、樹皮などの廃材を燃料としたバイオマス発電を行って、循環型社会の形成を目指し、地域の活性化を図っている。

真庭市内のヒノキ林

岡山県中北部に位置する、人口約44,000人の真庭市は、面積が約828平方キロメートルあり、その約8割が森林である。古くから林業が盛んで、スギやヒノキといった、地元の人々が苗木を植えて育てた人工林が全森林面積の約6割を占めている。

真庭市は、その森林資源の中でも、特に、間伐材や枝や葉、樹皮などの廃材といった未利用木材をバイオマス*として有効利用することに着目した。同市林業・バイオマス産業課参事の杉本隆弘さんは説明する。

「1950年ごろから、真庭市では盛んにヒノキが植林されました。ヒノキを大きく育てるには植林から30~40年で最初の間伐をしなければなりません。ところが間伐材は、あまり商品価値がなく、林業従事者の高齢化などで人手も足りないため、山中に放置するしかありませんでした。これが山林を荒廃させ、災害を引き起こす要因にもなっていたのです。また、製材所では、枝や葉、樹皮などの廃棄物が大量に発生します。こうした間伐材や廃材を何とか有効活用したいという考えから、化石燃料に頼らない木質バイオマス発電の計画を立て始めたのです」

真庭バイオマス集積基地

真庭市は、2005年に9町村の合併により同市が誕生した。これらの地域では、林業や木材産業が盛んで、木質バイオマスの活用方法について、研究が進められていた。市の発足時、地域から生み出されるバイオマスの実態を把握し、その利活用方法が協議された。それから、市は木質バイオマス、家畜排泄物、食品廃棄物を含めた総合的なバイオマス利活用システムの整備を決め、2015年4月に真庭バイオマス発電所が稼働開始した。

ここでは、年間、地域から間伐材などの未利用材9万トン、製材所から出る端材など一般木材5万8000トンを燃料に使い、出力約1万キロワット、一般家庭約22,000世帯分の電力を作り出している。作り出した電力は、地域の資金還元を目的に電力事業者へ売電される。バイオマス発電の建設費など総事業費用は41億円で、売電収入は年間21億円を見込んでいる。市ではこの資金をもとに森林の整備や保全、林業の新規雇用につなげ、地域経済の活性化に取組んでいる。さらに、 発電所からの年間出力は、真庭市の総世帯数約1万8000世帯(2021年6月現在)を上回り、バイオマス発電だけで電力の自給率が100%を超える状態を実現した。

真庭の原木市場

そして、もう一つ、森林資源を無駄なく使い切る手段として最近注目を集めているのが、木の建材、CLT(Cross Laminated Timber)だ。薄い木の板を層ごとに直交するように重ねて接着するCLTは、断熱・耐火・耐震性にすぐれた構造材で、建物の壁や床、屋根のほか、欧米では高層建築にも用いられている。そのCLT製造量で日本一を誇るのが真庭市に本社を置く銘建工業株式会社であり、同社は、2016年に真庭バイオマス発電所の向かいの同じ産業団地内に量産工場を完成させた。実はこの二つの施設は地下のパイプで結ばれ、CLT加工で生じる大量の木くずなどを燃料として発電所に送る一方、発電時に発生する熱をCLTの乾燥に利用しているのだ。

Cross Laminated Timber(CLT)のブロック-各層が直交するように積層接着された木の板

「真庭市では、公共施設の建設にCLTを積極的に使い、CLTを使う民間住宅に補助金を出しています。また、住民が庭や裏山から出る木や枝葉を集積所に持ち込めば、バイオ発電の燃料として有償で買い取っており、非常に好評です。かつては厄介者だった間伐材や廃材が資源として価値を持つようになったため、主に木質バイオマス発電のためのそれらの資源が、エネルギー、お金とともに地域内で循環するようになりました。これは、新たな雇用や産業を生み出すだけでなく、山林の再生にもつながっていきます」と杉本さんは語る。

このような森林資源を活用する真庭市の取組は高く評価され、2014年に内閣府、総務省、農林水産省、経済産業省など7府省が共同で推進している「バイオマス産業都市」構想に選定され、2018年に全国29都市の「SDGs未来都市」と、全国10事業の「自治体SDGsモデル事業」に選出された。そして、2020年3月には、環境省が定める「2050年に温室効果ガスの排出量又は二酸化炭素を実質ゼロにすることを目指す旨を首長自らが又は地方自治体として公表された地方自治体」として「ゼロカーボンシティまにわ」を宣言し、2050年までに二酸化炭素の排出実質ゼロを実現するという新たな目標に向けて動き始めている。

CLTでつくられた真庭市の公衆トイレ

* バイオマスは、電気や熱を生み出す燃料として使われる動植物由来の資源