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  • 横須賀近くの無人島
  • 商品はドローンによってビーチに配達される。
  • 横須賀近くの無人島への配送サービス実証実験
  • 自動配送ロボットを活用した配送サービス実証実験

March 2021

地域の活性化を目指す「スカモビ」

横須賀近くの無人島

神奈川県横須賀市では、AIやIOTを活用した賢い移動運搬手段(スマートモビリティ)を用いて、地域の活性化につながるアイデアを企業や大学、各種研究機関などから募り、持続的なまちづくりを実現しようとしている。

商品はドローンによってビーチに配達される。

神奈川県横須賀市は、太平洋を望む半島に位置し、山がちの地形であるため、生活道路が長い坂道や階段になっている地区が点在している。横須賀市の現在の人口は約40万人であるが、2040年には約32万人まで減少し、65歳以上の人口の割合が40パーセント近くまで上昇すると見込まれている。そこで、坂道の多い地区に限らず、高齢の住民が今後、多くなることを前提として、高齢の方々の不便を軽減し自由な移動手段を確保することが、目下の重要な課題となっている。

そのため、横須賀市は、将来、高齢者や子どもたちといった、いわゆる交通弱者が、坂道や階段道路を安全に移動でき、住民が生活の状況に応じて移動しなくても医療や買い物が可能になり、更には、点在する観光拠点をつなぐ周遊性の高い交通体系の整備を含んだまちづくりを進めている。そのような 中、2018年に「ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ」、通称「スカモビ」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げた。スカモビは、AIやIoTを活用した新たな公共交通システムや、病院や商業施設などと交通の連携により、質の高い地域生活を維持するモデルを確立することを目標に掲げている。具体的には、移動弱者を支援し、地域コミュニティの維持を図るように推進していくこととしている。

横須賀近くの無人島への配送サービス実証実験

プロジェクトを統括する横須賀市役所、創業・新産業支援課YRP研究開発推進担当課長の高橋信一郎さんは「スカモビは、交通や都市を所管する部局ではなく、企業との連携等を所管する創業・新産業支援課が主導していることがなによりの特徴です。具体的には、多様なアイデアを持つ企業の方々に寄り添いつつ、交通や都市などに専門性を有する大学の先生方、地域の住民の方々との連携を図ることで、アイデアの実証・実装を促していくことがポイントです」と言う。

こうしたプロジェクトは国の関係省庁、地元の大学や企業との連携体制によって支えられ、横須賀市は企業や大学、各種研究機関などにスマートモビリティを活用する様々なアイデアを呼びかけ、企画立案のサポートを始め、必要な地域データの提供、参加協力企業とのパートナーシップの形成、そして実証実験など、様々な支援を行っている。

自動配送ロボットを活用した配送サービス実証実験

例えば、2019年度には7件の実証実験が行われた。代表的な取組として、①アプリ等を活用した、誰もが安心して移動するための移動サービスの実現を目指す「Universal MaaS」、②ドローンを活用した離島向けの配送サービス実証、③自動配送ロボットを活用し、スーパーから住宅地に商品を配送するサービスの実証など、全国初の取組がいくつもあり、大きな注目を集めている。さらに、これらの先進的な取組に関する成果発表や試乗体験等を行うイベントも開催してきており、地域住民の方々の社会受容性の向上や内外への成果アピール等も積極的に行っている。

「スカモビも当初策定した5か年計画の3年目を迎え、実証実験も数多く実施することができるようになってきた。あと2年のうちに、現在取り組んでいるプロジェクトの1つでも社会実装を実現したい」と、高橋さんは語る。

スカモビでは「誰もひとりにさせない」「新たな価値をつくる」「活力にあふれる」まちづくりをビジョンとして掲げている。

スマートモビリティを中核に据えた横須賀市の取組は、様々な応用が可能であり、全国の自治体など関係者から、今後の成果と広がりに期待が集まっている。