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  • 朱塗りの鳥居が並ぶ伏見稲荷大社の千本鳥居
  • 楼門には稲荷大神のお使いとされている白狐の像が立つ。
  • 伏見稲荷大社の本殿

October 2020

感謝の心がつくる朱色のトンネル

朱塗りの鳥居が並ぶ伏見稲荷大社の千本鳥居

京都市の伏見稲荷(いなり)大社では、朱色の鳥居がトンネルのように建立されている。

伏見稲荷大社の本殿

日本全国に3万社以上あるといわれる“稲荷神社”の総本宮、伏見稲荷大社の参道には、朱色に塗られた鳥居が重なるように並んで建てられている。鳥居とは、人間が住む俗世と神域の境界の印となるものだが、稲荷神社の鳥居がつくるトンネルをくぐることによって、参拝者の清心の気を呼び起こす、神の霊地、聖域を表しているという。

711年に創建の伏見稲荷大社は、京都市南部・伏見区の稲荷山の西麓にある。伏見稲荷大社は、稲荷山全体を神域とし、山を巡る参道には合わせて大小合わせて1万基ともいわれる多くの鳥居が建てられている。中でも鳥居がトンネルのように密集するところは「千本鳥居」と呼ばれている。春夏の緑、秋の紅葉、冬の雪と四季の山の色と相まって、年間を通じて多くの参拝者や観光客が訪れる。

楼門には稲荷大神のお使いとされている白狐の像が立つ。

伏見稲荷大社は、「衣食住ノ大祖ニシテ萬民豊楽ノ神霊ナリ」と社記に記され稲荷大神を祭っている。江戸時代に入ると、稲荷大神は商売繁盛や家内安全といった広く庶民の御利益を司る神として人気を集め、伏見稲荷大社は親しみを込めていつしか「お稲荷さん」と呼ばれるようになった。人々は、人生における様々な願い事を始め、身に降りかかる災いを乗り越えられるようにと祈願する。そして、その願いがかなうと、感謝の気持として、個人や企業が名前を入れた朱塗りの鳥居を寄進する。それが年月とともに増えていき、参道に鳥居のトンネルをつくり続けている。

稲荷の社殿や鳥居は、朱色に塗ることが慣例となっている。朱は魔力に対抗する色とも考えられており、古くから宮殿や神社仏閣の多くに使われてきた。鳥居や神社の鮮やかな朱色は、力強い霊性を感じさせる。「お稲荷さん」の朱色のトンネルは、幸運を願ったり、目前の様々な災いを乗り越えて現世を力強く、前向きに生きようとする人々の純朴な願いと感謝が込められた色でもある。