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Highlighting JAPAN

 

 

この30年で観光立国になった日本。その現状と取組について

1989年(平成元年)からの30年間で年間の訪日外国人旅行者数は約11倍に増えた。滞在先も東京や京都だけでなく地方にも広がっている。2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人の目標を掲げる観光庁に今後の取組などを取材した。

観光庁によれば、1989年(平成元年)に年間284万人だった訪日外国人旅行者数は、2018年(平成30年)に3,119万人となり、海外を訪れる日本人の数を大きく上回るようになった。2003年に始まった「ビジット・ジャパン」キャンペーン以降、訪日外国人旅行者数は増加し、特に2013年からは6年連続で過去最高を更新するなど伸びが顕著で、様々な国・地域からの訪日が増えた。中国、韓国、台湾、香港、タイ、シンガポールなど東アジア・東南アジア地域からの外国人旅行者数が急増し、2018年は全体の84.5%を占める。

これに伴い日本国内の滞在先も多様化。外国人延べ宿泊者数全体に占める割合は2011年では三大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫)66.5%、それ以外の地方部33.5%だったが、2017年は前者59.0%、後者41.0%となり、地方部で滞在を楽しむ外国人旅行者も増えたと同庁は推測する。

こうした中で、同庁では2016年に観光立国の実現に向けた新たな方針「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、これに基づき様々な施策を展開している。その施策の一つがICT等を活用したプロモーションの強化である。例えば、訪日関連情報のビッグデータやSNSの分析結果等を活用した利用者の属性や関心に沿った的確な情報発信や、海外で知られていない地域の観光資源を活用したプロモーションなど、より効率的・効果的なプロモーション事業を実施予定である。このほか、中東や中南米等の訪日インバウンドの成長が見込まれる新たな地域からの誘客も目指している。

また外国人旅行者の満足度向上を目指し、日本らしい自然・文化を持つ地方部への誘客と、不足気味だった「各地の魅力を体験する」施策に力を入れるとし、伝統芸能の夜間開催、森林などでの自然体験、季節を問わないビーチの活用等を例に挙げる。さらに「泊まって楽しむ」体験型宿泊拠点として、古民家の宿泊施設利用、伝統的な旅館の利便性向上なども進めると言う。早くから外国人観光案内所や無料Wi-Fiといった外国人旅行者向け施設・サービスを整備した岐阜県高山市では、外客宿泊数は大幅に増加し2017年には50万人を超えた。長野県飯山市は北陸新幹線の開業と共に案内所機能や「かまくら(屋外に作った雪洞)」で食事を楽しむといった体験型コンテンツの紹介・手配を強化し、体験型コンテンツの販売実績を倍増させている。

訪日外国人旅行者からの改善要望として、出入国手続きの時間短縮、空港・港湾からの公共交通機関の整備などがあると言い、同庁ではこれらに対応した「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」を行う。具体的には顔認証や電子申告などを活用した出入国審査等の時間短縮、交通機関の多言語対応・無料Wi-Fiサービス対応などの導入支援である。なお、これまで紹介した施策の一部に2019年1月から導入された国際観光旅客税も活用しつつ、負担者の納得がいくよう取り組むこととしている。

外国人旅行者誘客に向けた施策が進められ、日本での体験がより身近で魅力的になった平成の30年間。今後は新たな時代に合った様々な取組により、更に「世界が訪れたくなる日本」になっていくだろう。

※文中データはすべて観光庁提供の資料より