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Highlighting JAPAN

留学生の就活をサポート

留学生が日本で安定した仕事を得るための支援を行う人材派遣会社がある。

日本で学ぶ留学生は2011年には約16万人であったが、2016年には約20万人に増加した。それとともに、卒業後に日本で就職する留学生も増えている。法務省によると、日本の企業に就職するための在留資格の変更を許可した留学生の人数は、2013年に11600人、2014年に約12900人、そして2015年には約15600人と過去最高を記録した。

こうした中、日本で就職を希望する留学生向けのサービスのニーズも高まっている。2007年に設立された人材紹介会社「フォースバレー・コンシェルジュ株式会社」 (以下、フォースバレー)は、留学生のニーズにいち早く注目し、就職支援サービスを提供している。

「日本には世界的な企業が多くあります。しかも、治安も良く、経済力を持っています」とフォースバレーの柴崎洋平社長は言う。「そうした日本で働きたいと考える海外の学生は非常に多いです」

社員採用に当たって、日本の多くの大手企業は、応募者の職歴やスキルを評価して中途採用する場合もあるが、インターンやアルバイト以外に仕事の経験のない大学・大学院新卒者を一括で採用する方法を主に取っている。日本の企業がこうした採用方法を行う理由は、社員を研修やオンザジョブトレーニングによって育成し、長期間にわたって雇用する制度を取っているからだ。

「こうした採用方法、雇用制度を取っている国は、日本が世界で唯一と言えるでしょう」と柴崎氏は言う。「新卒者を採用し、長期雇用するという日本の企業文化は、安定的な雇用を求める外国人にとても魅力的なのです」

フォースバレーは、同社のウェブサイトへの登録者向けに、就職活動のスケジュール、企業の面接など、日本で就職するための詳細な情報が得られるセミナーの開催、学生への個別カウンセリング、模擬試験や模擬面接といったサービスを無料で提供している。さらに、留学生のみを対象にして開催される「合同企業説明会」を開催している。2009年に同社が初めて開催した合同企業説明会に参加した企業は12社だったが、その後、年々増加、昨年は参加企業が約100社に達し、約2000名の留学生が集まった。

日本で働く

フォースバレーのサービスを受けた留学生には日本の一流企業に就職した人も多い。モンゴル出身の一橋大学大学院2年生のアリウナー・ムンフバトさんも、その一人である。

「私は経済の知識を活かし、グローバルな仕事をすることを希望していました」とアリウナーさんは言う。「そのためには、日本で就職するのが良いと思ったのです」

アリウナーさんは2010年に来日、大学と大学院で経済を専攻しながら、様々な国際交流活動を企画し、国際交流を促進してきた。就職活動でもそうした点をアピールし、日本の大手保険会社への就職を決めた。

「フォースバレーの就職セミナーに参加することで、就職活動のために何を準備すればよいのか、面接で何を言えばよいのかなど様々な情報を得られました」とアリウナーさんは言う。「留学生向けの企業説明会で、実際に企業で働いている元留学生から、直接話を聞くことができたことも、非常に意義深かったです」

韓国出身の慶応義塾大学4年生、姜宇容さんも、日本の大手自動車メーカーに就職する。

「日本の大学に留学する前から、将来は自動車メーカーに就職したいと思っていました」と姜さんは言う。「日本企業の選考では、学生の時に何に一生懸命取り組んだか、そこから何か得たかといったことを重視されます。学生の人柄を評価する選考に、強く共感できました」

姜さんは長期的な視点に立って、社員の才能を育成するという日本企業の特徴も自分に合っていると感じていた。また、交通費の支払い、住宅手当など福利厚生が充実していることも魅力であった。

「今、韓国人の後輩に日本での就職活動の経験を伝えています」と姜さんは言う。「会社では、地球環境に優しい自動車の普及に取り組みたいです」

フォースバレーは、中国、シンガポール、ベトナム、イギリス、アメリカなど約30か国でも大学やホテルなどに会場を設け、就職セミナー、企業合同説明会などのイベントを開催している。日本と海外で集められた学生の累計登録者数は約700大学の約20万人、登録者の出身国は累計約100か国にのぼっている。

「将来的には、世界の若者が、日本、あるいは世界のどこかで、その才能を発揮できる場所を見つけられるようなプラットフォームを作りたいです」とフォースバレーの柴崎氏は言う。