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Highlighting JAPAN

グローバル人材の登用

日本で外国籍社員の積極的な採用が進んでいる。東京都港区に本社に構えるグローバルICT企業の例を紹介する。

経済のグローバル化がますます加速する中、多くの日本企業が国際競争力を強化するために、性別、年齢、人種など多様な人材を活かすダイバーシティ経営を企業戦略の一つとして位置づけるようになってきている。その一環として、外国籍社員の積極的な採用・活用を進める企業も増えている。

例えば、コンビニエンスストア大手のローソンでは、ダイバーシティ推進担当役員を配置し、2008年より戦略的に外国籍社員を採用しており、商品開発、財務など様々なポジションで外国籍社員が活躍している。また、eコマース日本最大手の楽天では、グループ事業のグローバル展開を推進するために、2012年7月より社内公用語を日本語から英語へと移行し、2016年12月時点で社員の出身国は72ヶ国にのぼっている。

ICT分野において幅広い領域のプロダクト、サービス、ソリューションの提供を行っている富士通も、外国籍社員を積極的に採用している企業の一つである。富士通では、現地での外国籍学生の新卒採用を2006年から開始した。全体の採用計画数の約1割を目安に外国籍社員を採用しており、現在、富士通単体で、約250名の外国籍社員が開発職、SE職、営業職を中心に従事している。

「デジタル化が進みICT業界はいま変化の時期にあります。新たなチャレンジのためには、多様な人材が欠かせません」と人材採用センターで新卒の外国籍社員の採用を担当する三川真奈氏は言う。「外国籍社員を増やすことで会社自体を変えていこうという趣旨で外国籍社員の採用始めました。また、3年ほど前から、個々の適性を把握し、最適な配属先を決めるために約5週間に及ぶインターンシップを行った後、正式な採用を行っています」

富士通では、日本の大学で学ぶ留学生に加え、日本語力の有無に関係なく海外の大学生を採用している。外国籍社員に対しては、入社してから社内外の関係者とコミュニケーションを密にとるための支援として、内定時期から日本語研修を行っている。「外国籍社員には、年に2回、所属長との面談の場を設け、本人の今後のキャリアも含めて、困ったことがないかを聞くなど、細かいケアをするように気を配っています」と人材採用センターの上林阿記子氏は言う。「一方、日本人社員の間に、英語を習得しようとする人が増えたり、グローバルな視点を持って仕事を行う人が増えたりと、ダイバーシティ戦略の効果は確実に現れていると思います」

イタリア人のマルコ・シフォーニ氏は、富士通でハードウェア開発に携わる外国籍社員。2013年8月に入社し、重要な社会インフラであるICTネットワークを構築する光伝送装置の冷却設計を担当している。

「イタリアの大学に通っていた時、EUと日本の経済産業省が協力して実施している留学プログラムに参加し、日本の企業で1年間のインターシップを経験しました。これを機に、大学卒業後も日本企業で働きたいと思い、就職先を探したところ、富士通に採用されました」とシフォーニ氏は言う。「仕事は楽しく、富士通で働くことに大きなやりがいを感じている」という。

「富士通には『うまくいくかどうかはわからなくても、何らかの可能性があるならば『まずはやってみなさい』という、非常に素晴らしい雰囲気があります』とシフォーニ氏は言う。「今は世界中でデータ通信量が増大し、ある研究結果では通信ネットワークによる消費電力は、地球全体の消費エネルギー量の1〜2%にまで達しているという報告もあります。その消費エネルギーをどうやって抑えるかが私たちのミッションです。地球全体に大きな影響を与える仕事なので、積極的に開発に取り組んでいきたいと思っています」

グローバルな人材の雇用はグローバルな課題の解決にも大きく貢献する可能性を秘めている。