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Highlighting JAPAN

夢のためのプラットフォーム

米良はるかさんのクラウドファンディング企業「READYFOR」は、団体や個人がインターネットを通じてつながり、自分たちの夢とビジョンをプレゼンし、資金を集め、世界に影響を与えることができるオンラインサービスだ。

オンラインサービス「READYFOR」の代表を務める米良はるかさんは、小規模の組織や個人が自分たちのアイデアや希望をインターネット上で伝え、そのプロジェクトのための資金提供先を探すことのできる場を提供するため、デジタルメディアの力を利用している。2011年設立の「READYFOR」は日本初のクラウドファンディングサイトとなった。米良さんは世界経済フォーラムグローバルシェイパーズ2011に選出され、日本人としては最年少の若さでダボス開催のイベント「2012 St. Gallen Symposium Leaders of Tomorrow」に参加した。

米良さんが初めてクラウドファンディングという概念に取り組んだのは、慶応義塾大学の4年生だった2009年のときだ。彼女は、パラリンピック日本代表スキーチームの監督で、チームのための資金を必要としていた荒井秀樹氏と出会った。米良さんは荒井監督に力を貸し、彼女のメディアウェブサイトプロジェクトのひとつを通じて資金集めを行った。

「友達がみな卒業後の仕事の準備をしているなか、私は自分が好きなことや得意なことが何なのかをはっきりとつかめていませんでした」と米良さんは当時を振り返る。「でも、荒井監督と出会った後、自分の夢を多くの人々に伝えたり、同じような考えを持った人たちを見つけたりするうえで、インターネットは素晴らしいツールになると考えるようになりました。私はいろんな人が持っているポテンシャルを見つけて、それを他の人たちに伝えることが好きなんだとわかったんです」。

2010年、米良さんはスタンフォード大学の交換留学生として渡米した。彼女はこの機会を利用して、個人の成長を促すマーケットとしてのクラウドファンディングをさらに探究した。

米良さんの指揮のもと、「READYFOR」は3,600以上のプロジェクトを掲載し、18億円以上の資金を集めた。当然、プロジェクトとする前後の厳しい審査や慎重な運営は欠かせない。また、米良さんは、重要なテーマとして医療を挙げる。たとえば「READYFOR OF THE YEAR 2015」の大賞は、がん患者が医療関係者やがん経験者たちから実用的・心理的・社会的サポートを受けられるセンターを作るという、英国発祥のプロジェクト「maggie's tokyo」に贈られた。

米良さんは、地方再生プロジェクトの隆盛も、もうひとつのトレンドだと捉えている。「2014年までは、2011年の東日本大震災後の復興を支援するプロジェクトが数多く存在していましたが、現在ではそれらも多くのプロジェクトのうちの一部となりました」と彼女は話す。「コミュニティをブランディングして、図書館などのコミュニティ空間を作ることで東北地方に人々を呼び戻すというプロジェクトが増えてきました」。

「READYFOR」では、アフリカの国々に対する支援など、世界規模で協力を行うプロジェクトも増えてきている。 その一例である「ムリンディ・ジャパン・ワンラブ・プロジェクト」は、ルワンダの人々に義肢を提供するというもので、現在「READYFOR」で多くの注目を集めている。「『READYFOR』を利用すれば、海外で働く人々も資金集めのために日本へ帰国することなく、プロジェクトに集中することができます」と米良さんは話す。「そのような人たちも現地に留まり、リアルタイムでプラットフォーム上の更新を共有することができるのです」。

米良さんと「READYFOR」チームは、プロジェクトの規模に関わらず、夢の実現を目指すあらゆる人々を支援するというミッションを持っている。米良さんは、より多くの人々が奮起し、新たなアイデアを世界に発信するようになることを願っている。「若い頃に自分自身を表現するよう教育されてきたアメリカ人とは異なり、日本の人々は他人に自分の夢を伝えてほしいと言われたとき、高いハードルに直面しているかのように感じてしまいます」と米良さんは語る。「世界に自分の足跡を残すための最初の一歩を踏み出せるよう、人々を後押しできるような新たな方法を今後も探していきたいと思います」。