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キッズ・コーナー

分福茶釜のお話(仮訳)




昔々、

あるところに貧乏な古道具屋の男がいました。ある日のこと、彼は一匹のたぬきがわなにかかっているのを見つけました。彼はたぬきをかわいそうに思って、助けて放してやりました。

その夜、たぬきが男のところに現れ、こう言いました。「さっきは本当にありがとうございました。助けてもらったお礼として、良いことを教えましょう。お寺のおしょうさんが茶釜をほしがっています。私が茶釜に化けますから、持って行って売ってください」。たぬきはくるりと宙返りをして、素晴らしい金の茶釜に化けました。

次の日、男はお寺のおしょうさんのところへ茶釜を持って行きました。すると、おしょうさんは「とても素晴らしい茶釜だ」と大変気に入り、高い値段で買い取ってくれました。

和尚さんが寺に持ち帰ると、まずは小坊主に茶釜を洗うように言いました。小坊主はさっそく裏の川へ行って茶釜をゴシゴシ洗い始めると、茶釜は「お尻が痛い!もう少しやさしく洗ってください」としゃべりました。「茶釜がしゃべった!」と小坊主は驚いておしょうさんにこの話をしましたが、おしょうさんは信じてくれません。「茶釜がしゃべるはずがないだろう」。

そして、おしょうさんはお湯を沸かそうと茶釜に水を入れて火にかけました。茶釜に化けたたぬきは驚きました。「熱い!」と悲鳴をあげました。たぬきは熱さに耐えきれず、半分元の姿にもどってしまい、そのままの姿で古道具屋の男の家に逃げ帰りました。

その夜、たぬきは「今度は、二人で町へ行きましょう。私が茶釜の姿で綱渡りをしますから、人を集めてください」と男に提案しました。

次の日、男とたぬきは町へ出かけて、見世物小屋を開きました。「さあさあ、世にも珍しい、茶釜の綱渡りだよ」と入口で男が大声で言うと、たぬきは綱の上を器用に渡りながら腹つづみを打ったり歌ったりします。「茶釜が曲芸をするなんて珍しい」と、たぬきの綱渡りは大評判になり、連日満員の大盛況となりました。

こうして古道具屋の男はたぬきのおかげで大金持ちになりました。その後、たぬきは茶釜のまま動かなくなってしまったため、お寺の和尚のもとへ戻され、寺の宝として大事に保管されたということです。


分福茶釜ゆかりの地


群馬県館林市堀工町にある曹洞宗の寺院である茂林寺は、「分福茶釜」ゆかりの寺として知られており、また「狸コレクション」と称する日本各地のたぬきにまつわるグッズやたぬきの剥製が数多く展示されているほか、境内の至る所に信楽焼のたぬきが配置されています。また、寺が所蔵する分福茶釜は一般参拝者も見学が可能です。

 

 



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