Home > Highlighting JAPAN >Highlighting Japan October 2014>日本で働く外国人

Highlighting JAPAN

previous Next

日本で働く外国人

駐在家族の目に映る新鮮な日本とは

トレイシー・マグタグ一家が始めた新生活(仮訳)



会社からの突然の辞令、それも海外転勤となれば、戸惑うのは洋の東西を問わず誰しも同じだろう。その転勤先が予想もしていなかった国で、さらに言葉も文化も違うとなればなおさらだ。それまで特別関心をもっていたわけではない国、日本に、家族で赴任した駐在外国人の目には、この国はどのように映っているのだろうか。グローバルに事業を展開する大手エネルギー関連企業で働く米国人のトレイシー・マクタグ氏にお話をうかがった。

「私には小説家の夫、大学生の息子と高校生の娘がいます。これまで私の仕事や夫のフィールドワークのために何度も引っ越しをし、世界各国を出張で訪れもしてきましたが、日本に住むというのは全く予想していなかったことでした」とマクダグ氏は振り返る。

ヒューマンリソース部門で長く経験を積み、現在はヘルス&セイフティマネージャーとして、日本の従業員の安全確保や健康対策を統括しているマクタグ氏にとって、約40の駐在外国人家族と現地採用の外国人スタッフ30~40人を含む社員約600名の日本支社は、会社のネットワークの中でも比較的規模が小さいため、新たに自分が派遣されることはないと思っていたという。

言葉が通じないことを心配していたというマクタグ氏だが、実際は職場でも日常の生活でもコミュニケーションで苦しむことはほとんどないという。

「日本人はアメリカ人と比べて他人の話をしっかり聞いてくれます。言葉が通じなくても、聞いて理解しようとする文化がある。これが大きな助けになっていると思います。特に強く印象に残っているエピソードがあります。私の最初の出社日に紹介のための集会があったのですが、どんどん人が増え部屋の後方が込み合ってきたとき、誰かが皆に向けてひと言声をかけたら、次の瞬間全員が自分の椅子を持って三歩前進し、また何事もなかったように着席したのです。結果、部屋の後方が空き、すべての人が入室できました。日本語で何が指示されたかわかりませんが、アメリカだったら耳を傾けない人もたくさんいただろうし、あんな風に練習もしないで皆が整然と同じ動作をするなんて考えられない、なんてすごいのだろうと本当に驚きました」と話す。

娘のインターナショナルスクールへの通学と大型犬を飼いやすい環境を考えて住む場所を選んだために、マクタグ氏自身の通勤には片道1時間半かかる。

「アメリカやヨーロッパの支社とも緊密にやり取りする必要がある業務なので、時差に合わせなくてはならないのに加え、往復3時間の通勤は正直大変です。世界各国の従業員の安全と健康を守るのが私の仕事ですが、自分自身、そして長時間労働をしがちな日本支社のチームメイトの過重労働を防ぐことも大切だと考えています」。

週末はペットの散歩や家族でサイクリングに出かけるのが好きだというマクタグ氏。都内でも豊かな自然と静かな環境が多くあるのも嬉しい発見だったそうだ。

「今でも新宿駅の複雑な構造と人の多さには圧倒されてしまいますが、こちらに来る前、東京はどこも新宿駅のようなのだろうと思っていました。でもほんの少し都心から離れるだけでとても静かな住環境があるのです」。彼女は続ける。「『歩いているだけでどんどん小説のアイデアが浮かんでくる』と夫が言うように、東京は大都市なのに一歩裏道に入ると全く違う表情があり、新鮮な発見の連続です」。

「日本は教育、衛生水準も高く快適で安全です。駐在社員として再び別の国に転勤を命じられるのは、数ヶ月後、数年後かもしれません。それまでできる限り日本での暮らしを楽しみ、家族みんなが新しい経験と学びを積むことができたらと願っています」とマクダク氏。予想以上に快適な日本での駐在ライフを家族みんなで満喫している様子だ。

 

 



previous Next