Home > Highlighting JAPAN >Highlighting Japan September 2014>連載 47の物語

Highlighting JAPAN

previous

連載 47の物語

佐賀

海を超えて遥な日本の歴史を見つめる(仮訳)




佐賀県北部の海岸の街、唐津にある鏡山の頂にある一人の女性の彫像は悲しげに眼下の海を見つめている。言い伝えでは、この彫像のモデルとなっているのは佐用姫(さよひめ)で、8世紀にこの場所で恋人の武将が海へと出て行くのを見送ったとされている。女性像は唐津の歴史において海が重要な意味を持っていたことを象徴している。特にこの地域からアジアの大陸は間近だからだ。

彫像の前方にある鏡山展望台は、唐津の街の中心を望むのにはこの上ない場所だ。海岸に沿って約5キロに渡る深い緑の「虹の松原」の帯が見える。4世紀以上前、防風・防潮のために植えられた約100万本の松の林だ。松原の近くにある小さな丘の上にある唐津城には陶器や鎧、刀などの歴史的な品々が展示されていて、訪れる人に当時のこの地の武将が見ていたものを想い起こさせてくれる。

玄界灘の波は唐津の海岸を洗い、波戸岬にある「玄海海中展望塔」は渦巻く海面の下の世界を垣間見せてくれる。螺旋階段を降りると円形の展望室の丸窓からさまざまな海の生き物たちの姿をつぶさに見ることができる。また波戸岬ではハイキングや釣り、キャンプや海水浴なども楽しめる。屋台では、新鮮なアワビやサザエなどを焼いているので、これも見逃すわけにはいかない。

波戸岬から車でほど近いところにあるのが「佐賀県立名護屋城博物館」と城跡だ。1500年代の終わり、九州の重要拠点であった名護屋城は今では石垣だけを残している。副館長によれば、博物館は日本列島と朝鮮半島の原始古代からの交流の歴史をメインテーマに、双方の友好・交流の推進拠点となることをめざして建てられたと話す。ちなみに博物館で展示されているこの地域の陶器、「唐津焼」は16世紀後半に朝鮮からの陶工たちの技術によって発展したものである。

食通の人にとっても佐賀は食べるところを選ぶのに事欠かない。玄界灘はおいしい魚介類が豊富に獲れる。唐津の地元の人たちはほとんど無色透明なイカの生き造りを奨める。客が注文するまで生け簀で泳いでいるイカはわずか1分で刺身にして出される。

海の幸以外にも、佐賀は和牛の世界でも定評がある。唐津市内には、ミシュランガイドに掲載された佐賀牛のステーキレストラン「なかむら」もある。

佐賀には年間を通して見るべきもの、するべきことがあるが、佐賀県観光連盟の別府史士副課長は、11月上旬の佐賀の有名な祭りのシーズンを奨める。11月2~4日に行われる「唐津くんち」は、その歴史は16世紀まで遡ると言われ、和紙や漆、金・銀箔で作られている14台の鯛や龍などの鮮やかな彩りの「曳山」を伴った行列が市内を練り歩く。同じ11月の初旬には、佐賀市内でアジア最大級の国際バルーンフェスティバルが開催され、100機以上もの熱気球が佐賀市の空を埋め尽くす。

唐津と佐賀は多くの点で日本が本当に島国であることを表している。そしてこの地域の沿岸の観光スポットや歴史、食は海と歴史を愛する旅行者にとって特に魅力がある。

 



previous