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Highlighting JAPAN

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和食

食べるダイヤモンド

世界で愛される日本の果物(仮訳)



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多くの外国人にとって、日本の果物のおいしさは衝撃的と言っても大げさではない。見た目が美しいだけでなく、甘く、香り豊かで、みずみずしく、それぞれの果物の個性がしっかりと主張している。

さらに、その値段の高さでも外国人を驚かせる存在だ。そんな日本の果物を食べることは、一部の国の富裕層にとっては、一つのステイタスだという。

経済や産業が発展し、順調に豊かになってゆくアジアの大都市では、日系または大手スーパーマーケットで日本の果物を買うことができる。その価格は一般的な家庭の平均収入を考えるとかなりの贅沢品だが、現地では日本の果物を楽しむ人は年々増えており、その評判も売り上げも右肩上がりだ。素材をそのまま食べる果物は、「天ぷら」や「すき焼き」といった、いわゆる「和食」とは言えないかもしれないが、日本の果物が独自のクオリティを持つことは間違いない。

日本を代表する高級果物の老舗「千疋屋総本店」の大島有志生氏は、「私たちのお店でも、果物を買い求める外国人のお客さまは、確実に増えています。特にアジアの国々のお客様が多いです」と話す。

四季がある日本では、一年を通して多くの種類の果物が旬を迎える。そのなかには、リンゴやブドウ、イチゴ、メロンなど、他の国でも一般的な果物もたくさんあるが、やはり味も香りも、日本の果物は外国のそれとはまったくレベルが違うそうだ。

「甘い果物を作ろうとすると、糖度を高めるために作物を間引く量が増え、結果流通量は少なくなります。そうすると当然値段も上がることになります」と大島氏は言う。日本でもかつて果物は、ミカンや柿など昔から庶民の間で食べられていたものを除けば大半は高級品であり、限られた一部の富裕層しか口にすることはできなかった。これらの果物を一般庶民が日常的に食べるようになったのは、第二次世界大戦後であり、その後も長い間、多くの果物はどちらかといえば「ちょっと贅沢」な存在だった。果物を贈答品にする文化は、こうした歴史的背景によるものが大きいと言える。「贈答品であるからには、おいしくないといけない。日本人はそう考え、それが日本の果物の品質のスタンダードを押し上げる結果になったのかもしれません」と大島氏は推察する。

「広大な土地で大量の果物を作れる環境であれば、とにかくたくさんの作物を安く売ればよく、その味や香りに対する人々の期待もそれほど高くないでしょう。けれども日本のように限られた土地で果物を作る場合、当然収穫量には限りがある。でも、逆に狭いからこそ、手をかけて質を高めることもできます。少量だけれども手間ひまかけて育てた高品質な作物を高い値で販売することが、農家が利益を上げる唯一の方法でもあったのです。もちろん日本人が元来勤勉で物事を追及するタイプであることや、一般的な日本人の味覚が高かったことも、ここまで日本の果物がおいしくなった理由だと思います」

海外では「食べるダイヤモンド」とも称えられる日本の果物。どこの国にもある食べ物であるからこそ、日本ならではの手法で丁寧に作られた贅沢な味わいが、広く世界で愛されているのではないだろうか。



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