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Highlighting JAPAN

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連載 47の物語

鹿児島

地球のパワーを利用する(仮訳)



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九州南端に位置する鹿児島は、日本と他国における文化の絆を長い時間をかけて形成してきた。江戸時代日本が鎖国であった時でさえ、鹿児島は琉球王国 (現沖縄) の管理の下、独立して外国との連絡手段を維持していた。日本原産ではないサツマイモや竹が日本に定着したのは鹿児島経由で伝わったからである。また、西洋技術が一部地域で取り入れられていたことにより、日本の産業近代化のきっかけとなった。

薩摩半島の南端に位置する指宿市は鹿児島空港から95分かかる。この地方の名物である砂むし温泉では、旅行客は浴衣を着用して地下に流れる自然の温泉によって温められた黒砂の中に埋まる。裸足の砂かけさんによって50度の砂が用意され、その中に10分間埋まっていると、これによって加圧された熱により、様々な症状を改善する効果が生まれると言われている。

指宿市では、砂むし温泉たまごが、温たまらん丼(「温泉たまご」と「たまらん!」を掛けている)という地域の名物料理の目玉として使用されている。指宿駅の北ブロックに位置する店「青葉」では、甘みのある卵黄が、トマト、もやし、オクラ、そして鹿児島名物である柔らかいバークシャー豚(黒豚)の上に乗せられていて、シュガーレモンソース付きのサツマイモの薄切りを添えてふるまわれる。

薩摩半島の土地は、サツマイモが伝わる前は農業に不向きだと考えられていた。阿世知氏は、1730年以来サツマイモから芋焼酎を製造している白露酒造にて蒸留酒製造場の工場長をしている。「芋焼酎は鹿児島の歴史と同義であると私は考えています」と彼は笑う。「昔から人々は、1日の仕事の疲れを焼酎を飲んで癒す“ダレヤメ”という文化がありました。そこで白露酒造は、ここ鹿児島の土地での栽培が可能だったサツマイモを使って焼酎を作り始めたのです」

指宿から北に向けて電車で1時間ほど行くと、県庁所在地のある鹿児島市から錦江湾を眺めることができる。ここからは約2km先に水面から上がる火山・桜島の姿が見える。

歴史的な庭園として有名な仙巌園に勤める萩原美矢氏は、「かつてここは領主の邸宅でした」と述べる。彼らがこの場所をあえて選んだ理由としては、桜島の美しい眺めを一望できること、また1日平均2.5回空に舞う火山灰がアクセントを与えてくれる桜島を巨大な借景として庭園の景観に応用できることだろう。また、「桜島を毎日見ていますが、日によって表情が全然違います。朝、昼、夕方の顔も変わります。天気によって赤や青や緑に見えることもあるんですよ」と彼女は話す。

仙巌園のエリアには集成館という歴史的な場所も含まれている。それは2015年に世界遺産に推薦予定の“明治日本の産業革命遺産”の中心的な建物である。現在は博物館であるが、1865年にはこの簡素な建造物が、東アジアにおける最初の西洋型の工場群の中心となっていた。

このように多くのものが鹿児島を通じて日本に入ってきたことを考えると、日本の歴史が好きな人たちにとっても鹿児島は興味深い場所といえる。砂むし温泉でリラックスし、美味しい料理と爽やかな焼酎で1日の疲れを癒しながら、日本の歴史に思いを馳せてみるのもいいだろう。



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