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Highlighting JAPAN

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グローバリゼーション

JETプログラム

教える喜びを通じた日本人学生との交流(仮訳



English



多くの日本人は主に公立学校において学生に英語学習を支援する外国人がいることを知っている。知られていないであろうことは、その外国人のほとんどが語学指導等を行う外国青年招致事業、通称JETプログラムを通して派遣された人々だということだ。JETは過去27年間において63の異なる国から58,000人以上もの若者を日本に受け入れてきた。彼らのほとんどはアメリカ、カナダ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏出身であり、JETは2013年度には再任用者も含め40の国から4,000人もの参加者を迎え入れた。

JETは、総務省、外務省、文部科学省及び財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下、地方公共団体が実施している事業である。主な目的は、海外の若者を迎え、地方自治体の教育関連部局や日本中の学校において交流と外国語教育の支援を行うことで国際化を促進することである。JETは個人レベルでの日本国民とJET参加者との関係を育成しようとしている。

興味深いことは、言葉が流暢になることが目標として明言されていないことである。実際、参加者は自身の学生の英語を流暢にさせることではなく、学生たちが現在また将来に向けて、外国語を習得することや外国人との親睦をより受け入れやすくなるような学習経験をすることに期待されている。

アメリカ合衆国テキサス州出身のザック・ロバートソンさんに話を聞いた。彼は2005年から2010年にかけて福岡近くでALTとして働いてきた。ALTとは、Assistant Language Teacherの略称で、外国語を母国語とする外国語指導助手のことをいう。小学校や中学校・高等学校で学生の英語発音や国際理解教育の向上を目的に授業を補助している。ザックさんは現在日本人と結婚し、現在は3歳の娘がいる。JET契約終了後も英語を教える仕事をしており、彼は「私は可能なときはいつでも自分の授業に文化的な要素を取り入れようと考えています。子供たちと毎日昼食を食べることで、彼らとより打ち解け、触れ合うことができ、自分の国のことや一般的な世界のことに関する子供たちのいろいろな質問に答えてあげることができます」と語った。

日本海に面する富山県の北部にある氷見市。そこでCIR(国際交流員)として働くクリスティーン・マエダさんは “Good morning”という英語の挨拶とはつらつとした笑顔で一日を始めている。CIRは主に地方公共団体の国際交流担当部局等に配属され、国際交流活動に従事する。クリスティーナの両親はもともと日本人だが、彼女はカリフォルニア州トーランスで育ち、高校に入って自身のルーツを認識するようになった。現在彼女は英語の学位を取得し、JETプログラムの一員となり、市民との触れ合い、文化や英語を教えることに自分自身の喜びや生きがいを見出している。

クリスティーナさんは語った。「細やかな配慮や素晴らしいおもてなしはアメリカにも取り入れると良い日本文化の一つです」。

またさらに北に進むと、32歳のデイビッド・フリンさんは青森県十和田市で小中学生のALTとして働いている。彼は最近増えている30代のJET参加者の一人である。カナダでの安定した仕事から飛び出した動機は、海外での生活を経験してみたいという願望と日本に対する深い情熱と思い入れであった。

彼は言葉通り「海外」に辿り着いた。

彼は、「最初に到着したとき、日本語は何も読めなかった」という。2年前に来日して以来、彼は日本語学習に懸命に励んできた。彼は自分の教育において「コミュニケーション」と「楽しみながら学ぶこと」焦点を当てその必要性に力点を置いている。この思いを他の場所でも大切にしており、彼は115人の子供たちにヒップホップダンスの踊り方を教えたり、青森市においてチームでよさこい祭りに出場して優勝したりしている。

全ての物事には終わりが来るが、帰国したJETプログラム参加者によるJETプログラム同窓会では日本料理や日本語、生け花、茶道、和太鼓などの授業を通して世界中に日本文化への理解を促進している。2011年の地震と津波災害の後、多くの同窓生たちが救済や復興のために多くの時間とお金を寄付してくれた。

これほど多くの教員がJETプログラムに参画した結果、このプログラムは素晴らしい成功を収めることになった。国際結婚家族や、海外での文化イベント、数年後の近況報告のための答礼訪問、一生を通じての遠距離の友情などがこのプログラムが作り出した永続的な友好と活力と夢の全ての証拠である。



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