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Highlighting JAPAN

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特集新たな視点で眺める東京

新たな視点で眺める東京(仮訳)

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日本、そして世界を代表する都市と言うべき東京。その歴史は意外に浅い。1603年、将軍となった徳川家康が江戸(現在の東京)に幕府を開き、江戸が政治、経済の中心地となった。以来、約260年にわたって徳川幕府が統治した江戸は、当初、15万人程度の人口だったと言われる。しかし、江戸はやがて、大規模な火事や地震に見舞われながらも、100万人の人口を抱える都市へと成長する。そして、1868年の明治維新により、江戸は東京になり、近代都市へと発展する。その後、東京は1923年の関東大震災や第二次世界大戦により壊滅的な被害を受けたが、そのたび毎に復興し、さらなる発展を遂げてきた。今や東京は、日本人、外国人合わせて約1300万人の人々が住み、海外から年間400万人以上の旅行者が訪れる国際的な大都市となっている。神奈川県、千葉県、埼玉県などを含めた首都圏では、人口は3000万人を超える。その東京の特徴の一つは多様性だ。最新の流行、ファッション、文化、エンターテイメントなどが集積する東京。東京は、新しく、都会的であるが、一方で旧くて、自然豊かでもある。今月の特集記事は、そうした様々な顔を持つ東京を紹介する。

2012年5月、東京の新しい名所、東京スカイツリーが墨田区にオープンした。オープン以来、スカイツリーや、隣接する大型商業施設「東京ソラマチ」、水族館、プラネタリウムには連日、国内外から訪れる人々で賑わっている。

「スカイツリーは、最先端の技術と伝統的なデザインを取り入れた、東京、そして日本の新しいシンボルと言えます」と青山佾明治大学教授は言う。青山教授は1967年に東京都庁に入り、1999年から2003年までは東京都副知事を務めた。「21世紀に入って、東京の各地で再開発が進められています。スカイツリーも、そうした、一連の東京の新しい街作りの一つとも言えるでしょう」

近年、六本木、丸の内、渋谷といった東京都心部で大規模な再開発が行われている。さらに、鉄道路線、道路などの都市交通の拡充も進み、東京の機能性、利便性が一層高まっている。例えば、都心では鉄道の駅は500を超え、ほとんどの住居やオフィスの徒歩圏内に駅がある。都心から電車で30分ほどの東京国際空港(羽田空港)も、2010年10月に国際線の定期便の運行が始まり、都心への海外からのアクセスもより便利となった。

また、巨大化した東京の安全を守るために、自然災害に対する対策も実施している。例えば、道路、水道、鉄道などのインフラの耐震化だ。また、東京都内では住民による自主防災組織が約6,600設立され、災害時には、被災者の救出、避難誘導といった活動に参加する。

「東京は地震や水害などの自然災害もあります」と青山教授は言う。「ただ、そうした災害の被害を抑える社会システムが整っていると言えます」

その一方で、古き良き姿も残っている。例えば、毎月のように、大小の祭りが神社や公園で開催され、人々で賑わう。家の近所で食料品や日用品を購入できる商店街も、各地で健在だ。江戸時代に庶民が暮らし、今なお、当時の雰囲気が残る「下町」と呼ばれる地域も、新しい観光地として注目を集めている。また、犯罪率の低さも変わらない。

その東京は、2020年のオリンピック・パラリンピックの候補地として名乗りを上げている。東京は1964年にアジアで最初のオリンピックを開催しているが、それは、第二次世界大戦後の荒廃から復興し、高度経済成長を遂げていた日本を世界に披露するオリンピックとなった。

「2020年に東京でオリンピックが開催されれば、近年のオリンピックでは非常に珍しい、競技会場が半径5km以内にほとんどある、非常に効率的なオリンピックになります」と青山教授は言う。「オリンピックは、世界でも希な、安全で機能的な巨大都市となった東京を、世界のより多くの人に知っていただく絶好の機会となるでしょう」

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