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Highlighting JAPAN

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特集震災から1年:被災地で活躍する外国人

本場インドのカレーの味を届けるために(仮訳)

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常連客に喜んでもらうために、インド人シェフ、ドウアリカ・プラサード氏とラム・チャンドラ・ノーテイアル氏が福島県郡山市のインド料理専門店「ロイヤルインドレストラン」に復帰した。山田真記が紹介する。

平日のランチタイムになると、ロイヤルインドレストランの座席は、常連のお客さんでほぼ一杯になる。小さな子供を連れたファミリーから会社員、お年寄りまで、お客さんの年齢層は幅広い。

週に1回はこのレストランに食事に来るという30歳代の会社員は「友人に誘われてこのレストランのカレーを食べたところ、その味と深見のあるコクにいっぺんに魅了されました。トマトベースやカシューナッツベースなど、カレーの種類が40種類くらいあるので飽きませんしね」と言う。

プラサード氏とノーテイアル氏の作るカレーは、日本人向けに若干甘めにしていること以外、本場インドのカレーと全く変わらない。

オーナーの門澤由紀子さんは「当店では、非常に甘みのある郡山産のニンジンを使ったキャロットナンというオリジナルメニューも出していますが、こちらも人気です」と言う。

2人がロイヤルインドレストランに来たのは2010年のことだ。プラサード氏は千葉の、ノーテイアル氏は東京のインド料理店でそれぞれ働いていたところ、友人の紹介で郡山にやって来た。「郡山は東京のように人混みがなく、自然も豊かなので、とても暮らしやすいですね」とノーテイアル氏は言う。

東日本大震災で、店は直接的な被害を受けなかったが、二人はしばらく日本を離れることになる。

プラサード氏は「原発事故のことを知った妻や子供達から、安否を気遣う電話がかかってきたんです。でもお店のことを考えると帰っていいものかどうか悩みました。そんな時、門澤さんから『帰ってあげなさい』と声をかけてもらったんです」と話す。

2人がインドへ帰った後、門澤さんは2人が残したレシピを頼りに孤軍奮闘した。そして、大震災から約一ヶ月後、2人はそろって郡山に戻ってきた。

「もう大丈夫、危険なことは何もないと家族にきちんと説明して、理解してもらいました。私は郡山という町が、そしてロイヤルインドレストランが大好きだし、これからも地元の皆さんに本場のインドカレーを食べてもらいたかった。だから戻ってきたのです」とプラサード氏は言う。「私たち二人の夢は、レストランで働きながら家族と共に日本で暮らすことです」

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