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Highlighting JAPAN

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特集世界に広がる日本のサービス

日本のサービス産業企業の海外展開(仮訳)

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近年、日本のサービス産業企業が海外展開を進めている。人々の生活に密着したサービスを海外で提供する日本企業について、ジャパンジャーナルの澤地治が北川浩伸ジェトロ(日本貿易振興機構)サービス産業支援課長に聞く。

──近年、アジアを中心に、日本のサービス産業企業の進出が増えていますが、その理由は何でしょうか。

北川浩伸氏:アジアの経済発展により、人々の生活水準が向上していることが大きな理由の一つです。生活にゆとりが生まれれば人は、もっとおしゃれをしたい、もっと美味しいものを食べたい、あるいは、自分の子どもに人と違う教育を受けさせたいと考えることは当然です。そうしたニーズに日本のサービス産業企業が応えているのです。

サービス産業のグローバル化は「タイムマシンビジネス」の拡大と言えます。タイムマシンビジネスとは、現在、流行っているビジネスを、タイムマシンで過去に遡って実践すれば、間違いなく成功できるという例えから、アメリカや日本などの先進国で成功したサービスを、途上国で実践するというビジネスです。マクドナルドは、1950年代にアメリカで店舗数を拡大した後、日本へは1970年代初頭に進出し、成功を収めています。これがタイムマシンビジネスの例です。日本のサービス産業企業の多くは現在、このタイムマシンビジネスを、アジアで行っているのです。

日本のサービス業が海外に広がる中、東日本大震災による、海外での風評被害、特に、日本料理店への被害を非常に心配していましたが、幸いなことに、その影響はほとんどありませんでした。これは、日本に対する信頼の高さの現れだと思います。

──近年、海外展開を進めるサービス産業企業には、どのような傾向があるでしょうか。

私は海外展開を進めた300名以上の経営者にインタビューをしていますが、大きな特徴の一つは、中小企業、あるいは地方の企業がアジアに進出しているということです。それは、今後、人口が増加し、経済的にもさらなる成長が期待できるアジアの活力を、自らの企業に取り入れたいという理由からです。日本の地方空港からも簡単にアジアの都市に飛行機で訪れられるようになり、経営者自らが都市の様子や現地の人々を実際に目で見て、その都市の可能性を判断することが可能になったことも、そうした動きを後押ししています。

──どのような日本の地方の中小企業が、海外進出しているのでしょうか。

例えば、熊本県の峰寿司です。峰寿司は熊本で4店舗だけですが、香港では7つの寿司店舗を展開し、長い行列が出来るほどの人気です。食材を日本から輸入する、店員が「いらっしゃいませ!」と日本語で対応する、あるいは、実際に職人が寿司を握っている様子を見せるなどの工夫をし、現地の人々の、本物の日本の寿司を食べたいというニーズに応えているのが、成功の理由と言えます。

また、愛知県でケーキ、チョコレートなどの洋菓子を4店舗で販売しているシェ・シバタは、上海と香港にも出店しています。中国では、まだ、本格的な洋菓子を食べられる店が多くありません。そうした中、シェ・シバタは現地で、店内の雰囲気も洗練され、非常に美味しい高級な洋菓子を購入できる店という評価を得ています。

福島県いわき市に本社を置くアパレルメーカーのハニーズは、女性用のカジュアルファッションの店を日本国内で800店以上経営していますが、中国国内にも300店以上を展開しています。人気の理由は、日本の最新の流行を取り入れた豊富な品揃えと、リーズナブルな価格にあります。

──日本企業の海外進出や外国企業の日本進出にジェトロは、どのような役割を果たしているのでしょうか。

例えば、日本企業の海外進出支援ミッションです。3月には、ベトナムのホーチミンに、理容、外食、教育といった日本のサービス産業企業が参加するミッションを派遣します。現地では、投資環境のセミナー、現地商業施設の視察、現地企業との交流会が行われる予定です。

日本のサービス企業が海外に進出することは、現地の人々の生活向上、雇用の創出につながり、日本、そして現地にとっても、win-winなのです。

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