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Highlighting JAPAN

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特集世界に広がる日本のサービス

世界に広がる日本のサービス(仮訳)

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これまで、国際展開を積極的に進める日本企業は、製造業が中心であった。しかし近年、サービス産業もそれに続いている。その業種は、小売、外食、教育、運輸など幅広い。日本国内で培った極めの細かいサービス、日本流の「おもてなし」を通して、各国の人々の生活に貢献する、日本人、日本企業を紹介する。

日本の一般的な結婚式では、最初に神社では神主、寺院では僧侶、チャペルでは牧師や神父を前に、カップルが結婚の契りを結ぶ儀式が行われる。一般的に日本人は、家族や友人の前で誓いを立てることを重要視するので、挙式の後、場所を移動し、ホテルやレストランで披露宴が行われる。儀式に参列するのは親族、親戚、親しい友人などに限られるが、披露宴では会社の上司や知人も幅広く招待される。招待客の人数は平均80名前後という。

披露宴では、新郎新婦によるウエディングケーキのカットや、上司や友人の祝辞、座を盛り上げる友人の余興などが行われる。照明、映像(新郎新婦の幼少期から結婚に至るまでの写真が映されることが多い)、音楽などによる演出も盛り込まれ、最後は新郎の挨拶や新郎の父親による参加者への感謝の言葉で締めくくられる。

また、ハネムーンを兼ね、海外の教会で挙式を行う日本人も1990年代から急増している。その流れを牽引してきたのが、ワタベウェディングである。

貸衣裳業として1953年に京都で創業した同社は、早くも1973年にハワイに進出して挙式のサービスを始めた。現在では北米、ヨーロッパ、オーストラリアなど海外35カ所、国内82カ所に拠点を築いている。従来はそのどれもが日本人カップルを対象としていたが、同社が新たなステップとして選んだのが、アジア圏のカップルを対象としたサービスの開始だった。

「アジア各国は経済成長が著しく、文化を含めた生活様式が急激に変化しています。日本の挙式スタイルの変化の流れが、時間差を置いて今後アジア圏でも起きるのではないか。日本のおもてなしの文化が現地でも受け入れられるのではないか。そう私どもは判断したわけです」と同社アジア事業本部次長である藤林誠氏は語る。

同社は、2007年の香港を皮切りに、台湾、上海で海外挙式をコーディネイトするサービスを始め、2010年からは台湾とシンガポールでの結婚式場運営もスタートさせた。

「日本のサービスをそのまま持っていっても、決して成功はしません。徹底した現地調査とともに、アンケートなどを通してお客様の声を集め、現地に合わせていかにサービスを磨き上げていくかが鍵になります」と藤林氏は言う。

藤林氏によれば、アジア圏の結婚式のスタイルには共通点があるという。それは、日本のように宗教的な意味を持つ場所で儀式を行うという慣習がなく、多くの結婚式は、ホテル、レストランといった場所で開催される披露宴のみという点だ。招待客は日本よりはるかに多いものの、これといった演出があるわけでもなく、食事をして終わるスタイルが一般的だという。

そこでワタベウェディングは台湾で、披露宴とは別に、チャペルでの儀式を結婚式に盛り込むという演出を行っている。ただ、儀式といっても、宗教的ではなく、参列者の前で、愛を誓い合うというものだ。

「ご両人はもちろんとして、列席者のみなさんにも感動を与えたいというのが、私たちのサービスの大きなテーマです。チャペルで愛を誓い合う儀式を行い、雰囲気の高まりの流れの中で披露宴へと入っていきます。披露宴ではみなさんにご堪能いただけるよう、“感動”と“祝福”を繰り返すよう演出します」

チャペルでのセレモニーは大好評で、台湾もシンガポールともに従来はその慣習がなかったにもかかわらず、大半のカップルは披露宴だけでなく儀式も希望するという。ネットの急激な普及によって、「新婦の笑顔がとっても感動的だった」「儀式の最後にみんなで一緒に写真を撮れてステキだった」といった感想が、ツイッターやフェイスブックなどを通して瞬く間に伝えられていく。「現地の習慣や、お客様のご意見を尊重しながら、決して奇をてらうことなく、お客様のご期待の半歩先をいくような演出を心がけています。どうすればもっと感動していただけるか、常に現地スタッフとともに、みんなで話し合いながら改善を重ねています」と藤林氏は語る。

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