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総理動向

野田総理、G20カンヌサミット、APEC首脳会議、ASEAN首脳会議、

東アジア首脳会議への出席(仮訳)

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G20カンヌ・サミット

2011年11月3-4日,野田総理はフランス・カンヌで開催されたB20ビジネス・サミット及びG20カンヌ・サミットに出席した。

カンヌ・サミットにおいて,G20首脳は,世界経済が「強固で持続可能かつ均衡ある成長」を遂げるためには,短期的に欧州債務危機をはじめとする現下の課題に取り組むとともに,中長期的にリバランス(外需から内需,公需から民需)を進めるべきとの認識に基づき,各国が今後採用する政策をまとめた「カンヌ・アクションプラン」を策定した。野田総理は,10月の欧州の合意を評価する一方,合意の履行が重要であり,欧州の結束を前提に必要な協力を行う旨述べた他,我が国は,震災からの復旧・復興に全力で取り組んでいるが,歴史的な円高が景気下ぶれのリスクであり,為替レート安定のための協力が重要と述べた。また,財政健全化の決意を示し,消費税の段階的引き上げを含む社会保障と税の一体改革成案を具体化し,このための所要の法案を2011年度内に提出することを説明した。同時に,「日本再生のための戦略」をまとめ,経済成長と財政健全化を車の両輪として進めていくことを強調した。更に新興国について危機の波及を防ぐためIMFの融資制度や地域的枠組みによる対応が必要と述べた。

また,G20首脳は,成長に向けて貿易が果たす役割が大きい点で一致し,保護主義防遏の重要性を指摘した。WTOドーハ・ラウンドについては,交渉前進のための新しいアプローチにつき閣僚会合で議論するよう指示した。更にG20首脳は食料安全保障の問題の重要性に合意した。この関連で,野田総理はASEAN食料安全保障情報システム(AFSIS)を通じた農産品市場の透明性向上への貢献,ASEAN+3での緊急事態のための米の備蓄制度を通じたタイへの5万ドルの緊急支援の実施,ASEANの連結性向上のための協力及び2013年の第5回アフリカ開発会議(TICAD)の日本開催につき言及した。

金融規制については,多くの首脳が金融規制改革の重要性に言及した。野田総理は改革の進展を歓迎し,資本規制の強化に偏らず,多様な施策を実施すべき旨,そして店頭デリバティブ規制等,過去の合意を着実に実施すべき旨指摘した。なおG20サミットに先立って行われたB20ビジネス・サミットに出席した際には,野田総理は我が国の経験の教訓を紹介しつつ,欧州債務問題をはじめとする現下の経済情勢の中で,①欧州における金融セクターの強化,②円滑な破たん処理制度の整備に向けた取組,③金融規制と成長への配慮の適切なバランス,④世界経済を視野に入れた金融規制改革の必要性につき述べ,支持を受けた。金融セクターが直面している4つの課題について述べた。

こうしたG20での議論を踏まえ,各国首脳は,首脳コミュニケ,成長と雇用のためのカンヌ・アクションプラン及び最終宣言に合意した。

APEC

11月11日(現地時間)、野田総理はAPEC首脳会議に出席するため、アメリカ合衆国のホノルルを訪問、11月12日、13日にAPEC首脳会議に臨んだ。

首脳脳会議では、オバマ大統領の議事の下、「成長と雇用」「規制改革と競争力」及び「エネルギー効率・エネルギー安全保障」の議題に関して議論した。

「成長と雇用」について、野田総理からは、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けて関係国との協議に入ることとしたことを表明した上で、世界経済についての情勢認識・対応や日本の経済成長戦略に関して説明した。

「エネルギー効率・エネルギー安全保障」のセッションでは、基調発言として1)世界最高水準のエネルギー効率を達成するための我が国の省エネルギーに関する取組、2)今後の我が国のエネルギー政策に関する挑戦、3)アジア太平洋地域におけるエネルギーに関する今後の協力、に関して説明した。

野田総理は11月13日の記者会見において、APECの成果を次のように3つ挙げている。

「第1に、地域全体の経済成長を促すため、貿易を制限せずにイノベーションを促進するための共通原則、グリーン成長のための環境物品の普及のための取組に合意した。

第2に、APEC全体でのエネルギー効率向上の目標設定に合意した。私も、オバマ議長の求めに応じて、エネルギー効率向上に関するこれまでの我が国の経験と教訓、今後の挑戦について説明して議論をリードした。

第3に、アジア太平洋自由貿易圏、いわゆるアジア太平洋自由貿易圏 (FTAAP)の実現に向けて、唯一交渉が開始されているTPPについて、我が国は交渉参加に向けて関係国との協議に入ること、この旨を紹介し、いくつかのエコノミーから歓迎の意が表明された。」

ASEAN

11月18日(現地時間)、野田総理はインドネシア共和国のバリを訪問、ASEAN 10カ国首脳との第14回日・ASEAN首脳会議、ASEAN 10カ国に日本、中国、韓国の3カ国を加え第14回ASEAN+3首脳会議、第3回日メコン首脳会議に出席した。

第14回日・ASEAN首脳会議において、冒頭野田総理は,自然災害の被害を受けたタイ、カンボジア、ミャンマー、ベトナム、ラオス及びフィリピン各国に対し、お見舞いの言葉を述べるととともに、今後も出来る限りの支援を行うと表明した。また、東日本大震災に際し、ASEAN各国からの支援に謝意を述べ、日本として復興を力強く進めていくと述べた。

また、2015年のASEAN共同体の構築を積極的に支援すると述べるとともに、ASEANが進める連結性強化を、日本としても重要課題として閣僚レベルで優先的に取り組んでいると説明し、「陸の回廊」と「海の回廊」の整備、及び「ASEAN全域ソフトインフラ案件」を柱として支援を実施していくと表明した。

防災分野の協力強化としては、ASEAN防災人道支援調整センターを地域の防災のハブとして成長させるための支援とともに、「ASEAN防災ネットワーク構築構想」の取組を実施すると説明した。

あわせて野田総理は青少年交流についても述べ、「21世紀東アジア青少年大交流計画」がこれまで大きな成果を挙げてきたこと、また日・ASEAN関係の基盤となる青少年交流は引き続き重要であると指摘し、2013年末までの期間において、ASEANとの間で約3,000人の青少年交流の実施を検討していると説明した。

会議の最後に、議長のユドヨノ大統領の宣言により、2003年の東京宣言及び行動計画以来、8年ぶりとなる新たな共同宣言(バリ宣言)及び行動計画が採択された。

東アジア首脳会議(EAS)

11月19日(現地時間)、インドネシア共和国のバリを訪問中の野田総理は、今年から米国とロシアが初参加した東アジア首脳会議(EAS)に出席した。

野田総理は、EASへの米露の初参加を歓迎した上で、EASをこれまでの実務分野の協力に加え、政治・安全保障分野の取組の強化を通じて地域の共通理念や基本的なルールを確認し、具体的協力につなげる首脳主導のフォーラムとして発展させたいと発言した。

海洋に関して野田総理は、アジア太平洋地域を連結する公共財であり、紛争の平和的解決、航行の自由、国連海洋法条約を含む国際法の遵守といった海洋に関する基本的なルールの重要性については参加国の間で共有されているものと理解していると述べた。

経済・貿易の観点からは、東アジア自由貿易圏構想(EAFTA)及び東アジア包括的経済連携構想(CEPEA)の双方について、新たな作業部会を早期に設置し、東アジアでの貿易投資の自由化に向けた検討を加速させたいと述べた。

また、野田総理より、「東アジア低炭素パートナーシップ構想」等の推進により、低炭素成長モデルの構築を図りたい、本構想の下、明年4月に東京で国際会議を開催したく、各国の賛同を得たい旨発言した。

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