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Highlighting JAPAN

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特集伝統と最新技術で守る建築

建築デザインにおいての伝統と現代の融合(仮訳)

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ニューヨーク生まれの建築家、ジェフリー・ムーサス氏は、京都を拠点にしながら、伝統的な日本建築の改修や再設計に10年以上携わっている。ジャパンジャーナルのエームス・パムロイがムーサス氏をインタビューした。

──ムーサスさんは、20年近く日本で仕事をしていますが、そもそも日本に来るきっかけは何だったのでしょうか?

ジェフリー・ムーサス氏:私はニューヨーク市近郊で生まれ育ちました。高校卒業後は、ニューヨーク州北部の大学で工学を専攻しましたが、建築を勉強したくなり、1989年にマサチューセッツ工科大学の建築学の大学院に入学しました。私が学生の頃は、建築を含む技術の分野において、日本は世界から非常に注目されていたので、卒業後は東京へ行くことにしました。最初は有名な日本人建築家、槇文彦のもとで働きましたが、4〜5年のうちに、徐々に京都の建築やデザインの歴史、そして文化の素晴らしさに強く惹かれるようになり、東京で5年ほど仕事した後、京都に移り住みました。そして、町家や蔵などの古い建築物の再生や、多くの現代建築の設計に関わるようになったのです。

現在では、京都のみならず日本の他の地域、アメリカや世界中で仕事を行っています。例えば、今、愛知県で、築400年の仏教寺院の修復に携わっています。今回の修復は、体の不自由な方やお年寄りが使用できるユニバーサルデザインのトイレの導入など、寺院内のおもだった障害を軽減してアクセシビリティの向上を図ります。

──日本の伝統的な建築とはどのようなものでしょうか。また、その魅力を教えて下さい。

屋根瓦、木で作られた床や柱、木と土の壁、そして、(明治時代以前は和紙が使用されていたが)ガラス張りの窓からなる日本の伝統家屋は、1960年代までは一般的に建てられていました。

私は、日本建築の絶え間ない発展、特に1200年以上の歴史を今日まで引継ぎ、日本の日常で生きつづけている町屋に魅了されています。例えば、私自身も取り入れていますが、日本の伝統的な家でよく使われる、床に近い窓から入る光を反射させる「間接的な手法」です。日本の建築と文化の奥深さに興味のある方々は、「陰影礼賛」という谷崎潤一郎のエッセーを読むことをお勧めします。

──どのように伝統的な日本の建造物を改修しているのでしょうか?

日本、特に京都、においては大半の伝統的建物は台所や浴室を備えておらず、あったとしてもどこか一方に集まっています。また、暖房に関しては、部屋の寒さに対処する最も効果的なのは、床暖房であることが分かりました。なぜなら、床暖房の輻射熱が壁や床・天井等に浸透し、すきま風の寒さを軽減するからです。また、内部を明るくするために、屋根瓦のいくつかをガラス製の瓦に取替えて、外からの光を室内に導くようにしています。

──それらの家の照明について、もっと詳しく話して頂けますか?

最近では、多くの日本の伝統家屋が、節電効果があるとして蛍光灯を取り入れています。私としては、これらの設備は、日本家屋の生活にはそぐわないと思います。日本の建築には、白熱電球もしくは、近年ではLEDの一種が放つ、温かく、柔らかな光が似合うようです。私が手掛けた祇園・東山安井の「Kappo Bar土井」は、色々な方法で白熱照明を使用した良い例かと思います。私は、日本文化の伝統的な面を保ちつつ、現代のライフスタイルに合った技術革新を取り入れることを信念としています。

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