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東日本大震災・観光復興国際シンポジウム(仮訳)

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2011年10月5日、仙台市青葉区の東北大学片平キャンパスさくらホールにて、東日本大震災後の被災地の観光振興を考える「東日本大震災・観光復興国際シンポジウム」が世界観光機関(UNWTO)、観光庁、外務省、の共催によって開催された。シンポジウムには、UNWTOと世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)、東北6県の観光事業担当者らが参加した。

開会の挨拶では、国際連合において観光分野を担う世界観光機関(UNWTO)のタレブ・リファイ事務局長が、震災犠牲者を悼んで1分間の黙祷を捧げた後、「東日本大震災と、その後の困難に立ち向かう日本の人々の行動は、畏敬と尊敬の念を持って各国に伝えられ、日本の素晴らしさを世界に発信することにつながった」と述べた。また、震災の約1ヶ月後にはUNWTOが“日本への観光は安全である”という声明を発表したことに言及し「今後も日本および東北への旅行に支障がないことを継続的に世界に向け発信してゆく。日本は世界に友人がおり世界は日本を応援している」と言明した。

キーノートプレゼンテーションでは『大規模自然災害の国際観光への影響と観光復興』をテーマにUNWTOダーク・グレーサー危機管理担当コーディネーターが、リスクを警戒する旅行者の先入観を払拭するために、各地域の優位な情報を積極的に発信してゆくことの重要性を強調した。震災当夜、宿泊客以外の被災者にロビーなどを開放したホテルの実例を挙げ「このようなエピソードは、人々に希望を与えるだけではなく、観光復興にも大きな相乗効果をもたらしてくれる」と述べた。

続く被災地プレゼンテーションでは、震災により沿岸部が深刻な被害を受けた岩手、宮城、福島と、直接的な被害は免れたが風評被害に悩まされる青森、秋田、山形各県の観光事業担当者が、被災自治体における観光復興に向けた取り組みについて発表した。各県の被災状況と震災後の観光影響、福島第一原子力発電所事故による環境への影響、積極的に取り組んでいる観光復興・振興への施策の数々、震災以前には多くの観光客を迎え入れていた中国、香港、韓国、台湾各国からの支援状況や各国との連携体制などについて報告がなされた。

続いて登壇した世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のデービッド・スコーシル プレジデント・CEOは、旅行ツーリズム産業が、日本のGDPの約7%を占めており、雇用誘発効果は462万人に達するデータを引用しながら「日本の復興は、世界の旅行観光業界において最も関心を集めているテーマであり、観光の振興が被災地復興を推進する力になる。2012年4月に東京で行う『世界旅行ツーリズム協議会グローバルサミット』のプログラムの一部を仙台で開催する」と発表した。

後半のパネルディスカッションでは、被災地で復興支援を行う小森星児神戸商科大学名誉教授/神戸復興塾塾長らも加わり活発な意見を交換した。(社)いわき観光まちづくりビューロー会長を務め、福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズを運営する常磐興産の社長でもある斎藤一彦氏は、ハワイアンズのフラガールたちが震災復興の象徴として、各地を巡演した全国キャラバンの成果を報告した。

パネルディスカッションは、仙台市経済局国際経済・観光部国際プロモーション課伊勢文葉プロモーション推進室長による、次の言葉で締めくくられた。

「震災は非常に不幸な出来事でしたが、世界の人々が東北を気遣い、目を向けてくれたことに絆を感じました。復興に立ち向かう東北人の力強い姿を新たな観光の魅力づくりの資源にしてゆきたいと考えています」

このシンポジウムにおいて「被災地をはじめ東北地方の観光復興に関する正確な情報や知識を今後とも世界と共有することを通じて風評被害の一日も早い払拭を図り、東北地方及び日本の旅行者の回復・増加、さらにはアジア太平洋地域内外における国際観光のさらなる発展を図ることが重要」という特別メッセージが採択された。

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