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Highlighting JAPAN

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特集日本のテーマパークを支えるハードとソフト

アイデアを製品とサービスへと実現する(仮訳)

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経済産業省は日本文化の様々な要素を編集し、国内外へと発信する「クール・ジャパンクリエイティブディレクター事業」を実施している。事業のクリエイティブディレクターで、株式会社パーティーのチーフクリエイティブオフィサーである伊藤直樹氏に、事業の概要や日本人のクリエイティビティについて、ジャパンジャーナルの澤地治が話を聞いた。

──今号の特集記事は、マンガやカップヌードルなど「テーマ・パーク」の事例を通して日本人のクリエイティビティの事例を紹介していますが、伊藤様が近年、日本人のクリエイティビティを感じさせる製品やサービスとして印象深かったものは何でしょうか。

伊藤直樹氏:最近の事例ではありませんが、トヨタのハイブリッド車「プリウス」は、海外への影響の大きさという意味でも、日本のクリエイティビティの高さを表した事例だと思います。環境への配慮、その居住性の高さ、コンパクトさ、そして手頃な価格と、今の時代にもとめられているものが全て達成されています。

また、プリウスほど世界的ではありませんが、無印商品が最近発売した「充電式マフラー」も印象的です。マフラーというファッションと電気が結びついた非常に日本的な製品だと思います。

──そうした日本のクリエイティビティの特徴は何とお考えでしょうか。

日本は世界の文化、技術を、素早く柔軟に取り入れて、自分達の価値として昇華させることが非常に得意です。例えば、私は海外を旅行するのが大好きですが、日本、特に東京ほど、世界中の料理が食べられる都市はないと思います。しかも、本場の料理よりも美味しいぐらいです。

そうしたクリエイティビティを支えるのは、日本人の「クラフトマンシップ」(職人の技能)のレベルの高さではないでしょうか。日本人が持つ、手先の器用さ、繊細さ、手間掛けによって製品やサービスの質が高くなるのだと思います。

──伊藤様は、これまで数多くの広告制作に関わっていますが、東日本大震災の後に、印象に残っている広告を教えて下さい。

今年6月のカンヌ広告祭の2部門(注目部門・フィルムクラフト部門、サイバー部門)で金賞を受賞した、携帯電話会社NTTドコモの、檜の間伐材を利用した携帯電話のプロモーション映像「森の木琴」です。森の斜面に、間伐材で作られた木琴の上を、木の玉が転がってゆき、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」を奏でるという映像です。日本人のクラフトマンシップの高さが非常に表れた作品で、YouTubeでは700万回を超える再生数になっています。

また、やはりカンヌ国際広告賞の1部門(アウトドア部門)で金賞を受賞した九州新幹線のCMです。九州新幹線の車内から、ボランティアで参加した様々な人々が新幹線に向かってウェーブをする様子を映した映像です。このCMは東日本大震災の被災者を直接応援するものではありませんが、被災者の方々もきっと勇気づけられるでしょう。

海外の方々からも、この二つのCMは「これこそまさに日本」と絶賛をされました。

──クール・ジャパンクリエイティブディレクター事業のクリエイティブディレクターとして、どのようなことを行っているのでしょうか。

インターネット上のオープンプラットフォーム「Mazer」(http://mazer.jp 11月中旬スタート予定)を立ち上げます。Mazerは、一般の方から広くアイデアを集め、それについて、意見、評価をし合い、新しいサービスや製品の実現につなげるための「場」です。

例えば、クリエイティブディレクターが「外国人が喜ぶお土産」というテーマでアイデアを集めます。すると、参加者からは、「扇子」「温水洗浄便座」などの様々な候補が挙がります。ただ、それらは既存にあるものですので、クリエイティブディレクターがさらに、強制的に新しい要素を加えます。お土産の「食品サンプル」という候補に対して、「ソーシャル・メディア」というようにです。参加者は「食品サンプル」と「ソーシャル・メディア」を掛け合わせてアイデアを考えるのです。すると、例えば、自分の食べたカレーライスを写真に撮って、ある企業に送ると、その食品サンプルを、成田空港で受け取ることができるといったアイデアで出来上がるのです。

Mazerの内容は全て翻訳される訳ではありませんが、外国人の方々にとっての利便性を高めるために翻訳ツールも設ける予定です。

「外国人が喜ぶお土産」のように、海外の皆さんからもアイデアを頂きたいテーマもあるので、どんどんと参加して欲しいです。

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