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Highlighting JAPAN

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総理動向

開国と絆(仮訳)

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1月29日、菅直人総理大臣は、スイスのダボスで開催された世界経済会議に出席し、「開国と絆」と題する特別講演を行った。

菅総理は、会議出席の理由を「今回のダボス会議の『新しい現実のための共有規範』というテーマが、私にとっては一番私自身の考えていることとマッチしている」からだと説明した。

「21世紀に入り日本経済が停滞する中で、国民全体にも内向きな傾向が強まっているところであります。そうした内向きの傾向をもう一度精神面でも、あるいは経済面でも世界に向かって大きく開いていく。その「開国」こそが今、我が国がとらなければならない大きな方向だと考えております。同時に、開国にはややもすれば社会の変化に伴って人と人との関係の断絶を生み出すことがあります。私はこの開国と同時に、人と人との間のつながりを形成していきたい」と語り、こうした人間のつながりを日本語で「絆(KIZUNA)」というと説明を加えた。

さらに、菅総理は、日本は第一に、150年前に武家政治による鎖国政策を改めて開国に踏み切り、第二に、第二次世界大戦の終了による開国をしたと説明を続けた。そして、「今、日本は改めて「開国の精神」が求められていると思います。」とし、「その具体的な政策の大きな1つが経済連携の推進です。TPP、環太平洋パートナーシップ協定については、日本政府は、米国を始めとする関係国と協議を続け、今年6月を目途に交渉参加について結論を出します。また、重要な貿易パートナーであるEUとも今年こそは是非ともEPA交渉を立ち上げたいと考えております。」と語った。

今日、世界では、地球環境問題と経済成長は両立可能かという懸念がある。菅総理は「私は両立可能だと考えております」と語り、その鍵は「イノベーションです」と説明した。

その上で、「この分野で我が国は最先端を走っております。ハイブリッド自動車では、現在、世界の市場の9割を占め、LED照明においても先行し、これらは二酸化炭素の排出量を4割削減する可能性を秘めております。環境分野も含め、世界が直面する課題に日本が率先して取り組み、これを解決するモデルを世界に示していきたいと考えております」と強調した。

菅総理は、講演の最後に、昨年、2人の日本人がノーベル化学賞を受賞したことに言及した。そして、「彼らの業績は、原子や分子の従来の結合を一度切り離して、それらを別な形で結びつけ、革新的な材料を生み出すクロスカップリングという技術に関するものであります。今、世界のリーダーに期待されているのは、このクロスカップリングにおける触媒の役目ではないでしょうか。そして私は日本の総理大臣として、日本を、そして世界をクロスカップリングしていきたいと考えております」と締めくくった。


Japan Night 2011

今年の世界経済フォーラムに併せて開催された数あるサイドイベントの中で、1月27日に開催されたのが「ジャパンナイト2011」だ。日本貿易振興機構(JETRO)が主催し、参加者には、日本の宮廷音楽や、人気の高い冬の大衆料理「おでん」などの日本料理が紹介された。この催しを堪能した来場者の中には、スパチャイ・パニチャパック国連開発会議(UNCTAD)事務局長、クラウス・シュワブ世界経済フォーラム会長(創設者)、フランシス・ガリ世界知的所有権機関(WIPO)事務局長らの姿もあった。

菅総理は、ダボスでの特別講演で「ジャパンナイト2011」に触れ、「2日前に日本食のフェアが開催されたとお聞きしております。楽しまれた方も多かったのではないでしょうか。日本の風土に育まれた日本食が、おいしくてヘルシーであるという評判を聞くと、私たち日本人は大変うれしくなるわけであります。」と語った。

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