音声広報CD「明日への声」トラックナンバー2 vol.93(令和5年(2023年)9月発行)

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音声広報CD「明日への声」 vol.93(令和5年(2023年)9月発行)

トラックナンバー2

(イントロダクション:女性ナレーター)

アカミミガメやアメリカザリガニは、全国各地に定着する身近な生き物で、ペットとして飼育している人も少なくないでしょう。しかし、これらは海外から入ってきた「外来種」であり、日本の生態系への影響が懸念されています。外来種を扱う上で知っておくべき「外来生物法」について解説します。

(本文:Q.女性ナレーター/A.男性ナレーター)

Q1:近年、外来種が生態系に大きな影響を与えることが問題となっていますね。そもそも外来種とは、どのような生物なのでしょうか?

A1:外来種とは、もともとその地域に生息していなかったのに、ほかの地域から入ってきた生物のことです。渡り鳥や、海流に乗って移動してくる魚類、風に乗って種子が運ばれてくる植物などは含まれず、あくまで人間の活動によって持ち込まれるものを指します。

Q2:外来種というと言葉のイメージから「珍しい存在」と思ってしまいますが、日本にはどのくらいの外来種がいるのでしょうか?

A2:実は、日本には分かっているだけでも動植物合わせて2千種もの海外から持ち込まれた外来種が生息しています。例えば、クローバーとして知られるシロツメクサや、釣り好きのかたにはおなじみのブラックバスも海外から持ち込まれたものです。

Q3:日本にはそんなにも多くの外来種がいるのですね。外来種はやはり、もともとその地にいた在来種に悪影響を及ぼすのでしょうか?

A3:全ての外来種が悪影響を及ぼすわけではなく、自然のバランスの中に組み込まれ、大きな影響を与えずに順応する生物もいます。しかし、中には非常に大きな影響を及ぼす生物もおり、もともとその地にいた在来種の食料や生息環境を奪ったり、在来種を捕食したりと、様々なかたちで地域の生態系や生物多様性を脅かすことがあります。また、このほか、毒や病原菌を持つ外来種による人の健康・安全への影響や、農産物を食べてしまう・畑や漁場を荒らすといった農林水産業への影響も懸念されています。

Q4:生態系や生物多様性のみならず、人の健康や農林水産業まで、幅広く影響を及ぼしているのですね。外来種による被害を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?

A4:外来種被害予防の3原則を守ることが重要です。
1.悪影響を及ぼすおそれのある外来種を、自然分布域から非分布域へ「入れない」。
2.飼育・栽培している外来種を適切に管理し、「捨てない」。
3.既に野外にいる外来種を他地域に「拡げない」。
外来種に関わる際は、この3つの原則をしっかりと理解し、適切な対応を心がけましょう。

Q5:被害を防ぐためには、「入れない」、「捨てない」、「拡げない」の3原則を守ることが大切なのですね。外来種による被害を防止するための法律はあるのでしょうか?

A5:はい。2005年に施行された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、通称「外来生物法」という法律があります。この法律では、生態系や人体、農林水産業に被害をもたらしかねない、海外から持ち込まれた外来種を「特定外来生物」に指定し、その飼育や栽培、保管、運搬、輸入、野外への放出や植栽、販売を含む譲渡しや譲受け、引渡し、引取りを規制しています。2023年6月時点で、特定外来生物は157種指定されています。なお、同年4月に改正外来生物法が施行され、6月からアカミミガメとアメリカザリガニが「条件付特定外来生物」に指定されました。

Q6:「条件付特定外来生物」とはどのような生物なのでしょうか?

A6:特定外来生物に指定された生物のうち、従来の規制の一部が適用除外となる生物の通称です。なお、条件付特定外来生物も、法律上は特定外来生物であり、2023年6月時点では、条件付特定外来生物に指定されている生物は、アメリカザリガニとアカミミガメの2種のみです。

Q7:なぜ、アカミミガメとアメリカザリガニが指定されたのですか?

A7:この2種は全国各地に定着し、在来種や地域の生態系に大きな影響を与える可能性があります。とはいえ、どちらもほかの特定外来生物に指定されている生物と比べて身近な生物です。飼育者がとても多いため、単に特定外来生物に指定して飼育などの行為を規制すると「飼育のための許可手続きが面倒」などといった理由で野外に放してしまうケースが増え、かえって生態系への被害が生じるおそれがあります。そこで、特定外来生物に指定しつつ、飼育などの一部の規制を適用除外とする「条件付特定外来生物」に指定することで、飼育者には引き続き責任をもって飼育してもらうことにしたのです。

Q8:確かに、アカミミガメやアメリカザリガニを既に飼育されているかたは多くいると思います。「条件付特定外来生物」に指定されたことで、注意しなければならないポイントなどはありますか?

A8:はい。飼育などに当たって注意してほしいポイントが三つあります。一つ目は、「寿命を迎えるまで大切に飼育すること」です。「条件付特定外来生物」に指定された後も、ご家庭でペットとして飼育されているアカミミガメやアメリカザリガニは、これまでどおり飼うことができます。申請や届出などの手続きも不要です。寿命を迎えるまで大切に飼育しましょう。

Q9:二つ目のポイントを教えてください。

A9:はい。二つ目は、「野外に放さないこと」です。アカミミガメやアメリカザリガニを池や川などの野外に放つことは禁止となります。適切な管理を行わずに、生物が自力で逃げ出してしまっても違法となる場合があるので、逃げ出さないよう飼育する必要があります。これらの違反があった場合には、従来の特定外来生物の扱いと同様に、懲役又は罰金といった重い罰則が科されます。

Q10:三つ目のポイントを教えてください。

A10:三つ目は、「飼い続けることができなくなったときは譲る」です。飼い続けることができなくなった場合は、友人や知人、新しい飼い主探しを行っている団体などに譲ってください。無償であれば申請や届出などの手続きは不要です。ただし、責任をもって飼うことができる相手を探してください。また、無償であっても不特定多数又は特定多数の人に配り分けるような「頒布はんぷ」に当たる行為は禁止となります。

Q11:飼育しているからには最後まで責任をもたなければいけないということですね。
ちなみに、例えばこどもが川などで、アカミミガメやアメリカザリガニを捕獲してしまった場合は、どうすれば良いのでしょうか?

A11:捕獲して一旦持ち帰った後で野外に放すことは、規制の対象となります。安易に持ち帰らないようにしましょう。捕獲してその場ですぐに放すことは、規制の対象にはなりません。

Q12:どちらの生物も飼育された個体が野外に放たれたことで、生態系に大きな影響を与えているのですから、実際に飼い始める前によく考えてみないといけないですね。

A12:はい。ただし、国内の生態系への悪影響が懸念されるものの、決して恐ろしい生物でも、悪い生き物でもありません。本来の生息地では、ごく普通の生物として暮らしていたものが、人間の手で異なる環境に持ち込まれたにすぎないのです。ほかの特定外来生物も含めて、大切な命であることを忘れないようにしましょう。

〈エンディング:女性ナレーター〉

飼育下のアカミミガメはとても長生きで、寿命は20年から40年といわれています。アメリカザリガニも飼育下では5年ほど生きる場合があります。飼育に当たって、どのような規制があるのかをしっかりと把握し、最後まで責任を持って飼うようにしてください。

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