March 2024
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本州と四国を結ぶ夢の架け橋「瀬戸大橋」
本州と四国を結ぶ橋。その横断ルートは現在三つあるが、その中でも一番最初に開通したのが、岡山県の児島(こじま)と香川県の坂出(さかいで)間を結ぶルートに架けられている、六つの橋で構成された「瀬戸大橋」だ。
「瀬戸内海に橋をかけ、本州と四国を結ぶことは瀬戸内地方に住む人々の長いあいだの夢でした」と、説明するのは本州四国連絡高速道路(株) (以下、本四高速(株))の広報担当の藤田憲二(ふじた けんじ)さん。
「瀬戸大橋は1978年に工事を開始し、実に9年半もの歳月をかけて完成しました。三つの吊り橋と三つの高架橋から成り立っています。最大の特徴として、上部が自動車道路と下部に鉄道の二段構造になっており、道路鉄道併用橋では世界最大*としてギネス世界記録(2015年)にも認定されています」
瀬戸大橋を構成する吊り橋や斜張橋(しゃちょうきょう**)は、重い列車の走行や台風や地震により、揺れたり曲がったりしてしまう危険があった。そこで、架橋にあたり、強度に対する実験や検証を何度も繰り返したという。
「大きな模型で実験を行い、大規模な自然災害に耐え得る設計を施しました。また列車が走行する際に橋げたが橋台のところで大きく伸びたり縮んだり、折れ曲がり脱線につながる危険性がありました。そのため、伸び縮みや折れ曲がりをやわらげる緩衝桁(かんしょうげた)という装置を開発し、設置しました」
他にも瀬戸大橋の基礎(橋台、橋脚)を海中の固い岩盤に造らねばならなかったり、橋を保持するためのケーブルは太さ5mmのワイヤーを3万本束ねて製作したりと、これまでにない規模の工事ばかりで、完成までには難航を極めたという。
「まさに当時の橋梁技術を結集し、100年以上耐えられるように設計され建設された瀬戸大橋ですが、現在は徹底した予防保全で管理し、200年以上の耐用年数を実現するため、日々細かな点検や維持補修を行っています」
次の世代に引き継がれてほしいという願いが込められた橋を眺める際に、特におすすめの場所があるという藤田さん。
「瀬戸大橋の中央に位置する島の中にある与島(よしま)パーキングエリア展望台からの眺めは最高です。瀬戸内地域の青い海にそびえ立つ巨大な瀬戸大橋の存在感が迫ってきます。是非ともお越しいただいて実感してほしいですね」
車に乗って瀬戸大橋のドライブを満喫するのもいいが、鉄道に乗って渡るのも魅力的だ。瀬戸大橋線(JR西日本・四国)は、新幹線の停車駅でもある岡山駅(岡山市)から、香川県の中心都市・高松市の高松駅に至る。瀬戸大橋の上から遠く島々が点在する瀬戸内海の絶景を堪能できる。まるで空を飛んで見るかのように瀬戸内海が眺められるという。藤田さんによれば「タイミングよければ、橋を渡るアンパンマントロッコ列車***と遭遇できるかもしれません」とのことだ。
さらに、岡山県倉敷市には、瀬戸大橋を間近に見ることができるスポットを持つ約6.3kmの歩行者・自転車専用道「風の道」がある。
機会があれば、様々なアプローチで瀬戸大橋を楽しんでほしい。
* ギネス世界記録の認定書には12.3㎞と記載されている。
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橋の形式の1つで、塔から斜めに張ったケーブルを橋桁に直接つなぎ支える構造を持っているのが特徴。
*** 瀬戸大橋を渡って、岡山〜琴平(ことひら)・高松間を走る、子どもに人気のキャラクターをあしらった特別列車。