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February 2024

宮崎産の完熟マンゴー

  • 宮崎産の高級完熟マンゴー Photo: JA宮崎経済連
  • なり始めのマンゴーの実。マンゴーは、ビタミンC、ビタミンEや葉酸が含まれ、美容と健康維持にも役立つ成分が豊富に含まれる
  • 茎部分をひもで吊り、成長した大きな実を支える。
  • ネットに入れ熟して落果を待つ。 Photo: JA宮崎経済連
  • 基準をクリアした個体にのみ付けられるブランドシール。 Photo: JA宮崎経済連
宮崎産の高級完熟マンゴー Photo: JA宮崎経済連

宮崎県で生産される高級な完熟マンゴーは、日本では贈答品として人気が高く、同県の特産品として定着している。そのイメージが全国に定着するまでには、どのような経緯があったのか。JA宮崎経済連の職員に話を聴いた。

日本列島の南西部・九州の南東部に位置する宮崎県は、一年を通して快晴が多く、温暖な気候のもと、農業が盛んだ。ビニールハウスを利用したきゅうりやピーマンの出荷量は全国でもトップクラスを誇る。このように、宮崎県は、もともと農業が盛んな土地柄ではあったが、より産地として生き残るため、自治体主導のもと、生産者たちや関係者たちが協同で県内農産物のレベルアップに取り組んできた。中でも、みやざき完熟マンゴー「太陽のタマゴ」は、現在、高級贈答品として有名だ。その宮崎マンゴーが高級品として知られるに至った経緯を、JA宮崎経済連の門内寿史(かどうち ひさふみ)さんに聴いた。

なり始めのマンゴーの実。マンゴーは、ビタミンC、ビタミンEや葉酸が含まれ、美容と健康維持にも役立つ成分が豊富に含まれる

「県内でマンゴーを栽培するようになったのは、とある農家さんがきっかけでした。1984年に農業視察に訪れた沖縄で、たまたま口にしたマンゴーのおいしさに衝撃を受けたそうです。翌年、宮崎でも作ってみようと8戸の農家が集まり栽培を始めました」。栽培のノウハウは沖縄の農家に教えをうけ、3年で出荷するに至った。ただ、当時は宮崎産マンゴーの認知が低かった上、品質も評価されず、なかなか売れない。その後、マンゴーの品質安定のための農家が努力を続けていく中で、発見があった。「それまでは8〜9割程度熟した状態になったら収穫していましたが、樹上で熟したマンゴーは濃厚な甘味で、これまでにないおいしさに気づいたのです。しかし、マンゴーは完熟すると、自然に落果する性質があり、傷がついてしまう。そこで落ちる前に実を受け止めるネット収穫という方法を開発しました。それにより、完熟マンゴーの収穫が可能となり、宮崎マンゴーのブランド化が大きく進むことになりました」。1989年には、品質も安定し、県内各地に生産が拡大していった。

茎部分をひもで吊り、成長した大きな実を支える。
ネットに入れ熟して落果を待つ。 Photo: JA宮崎経済連

1994年からは宮崎県でも「みやざきブランド」づくりを推進するため、県内生産の農産物のレベルアップと、イメージアップに力を入れ始め、1998年にJA宮崎経済連が愛称を公募し、宮崎県産の完熟マンゴーに「太陽のタマゴ」と名前がついた。2001年に宮崎県のブランドとして公式に認定される。門内さんは説明する。「JAグループ宮崎では、宮崎県産の完熟マンゴーの基準は厳しく設定しています。樹上で完熟、自然落果したもの、大きさ、色、糖度と一定の基準をクリアしたものだけを指します。中でも、重さが350g以上、糖度15度以上、実が鮮やかな紅の部分が半分以上のものだけが"太陽のタマゴ"として認定。JAグループ宮崎から出荷する果実は、全個体検査をして徹底した品質の管理をしています」。検査時に一つ一つに手貼りされた、シールがその証だ。このように、宮崎産の高級完熟マンゴーは20年以上にわたり、行政と農家とが連携しブランド戦略を進めた好事例だ。

基準をクリアした個体にのみ付けられるブランドシール。 Photo: JA宮崎経済連

「マンゴーの出荷時期は4月から7月です。日本を、そして宮崎をこの時期訪れたなら、ぜひこの完熟マンゴーを味わってみてください」