あなたの家の瓦は大丈夫?新築住宅の瓦屋根の強風対策が義務化!

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瓦屋根の住宅にお住まいの皆さん、屋根の強風対策は大丈夫ですか?令和元年(2019年)に発生した令和元年房総半島台風(台風15号)では住宅の瓦などの屋根材が飛ばされる被害が多数発生しました。そこで、建築基準法に基づく瓦屋根の留付けの基準が改正され、令和4年(2022年)1月から新築の住宅について全ての瓦の固定が義務化されます。現在、瓦屋根の住宅にお住まいの場合、屋根の耐風性能を確認し、必要な場合は屋根の強風対策を行いましょう。お住まいの自治体によっては、耐風性能の確認や強風対策にかかる費用を補助する制度が設けられている場合もあります。

1強風の被害を受けにくい瓦屋根とは?

令和元年(2019年)9月に千葉県に強い台風が上陸し、房総半島南部を中心に住宅の瓦などの屋根材が飛ばされるなどの大きな被害が発生しました。瓦屋根で被害にあった多くは、瓦が釘などで下地に固定されていませんでした。一方で、同じ区域でありながらほとんど被害のなかった瓦屋根では、全ての瓦を釘やねじで固定する「ガイドライン工法」(瓦屋根標準設計・施工ガイドラインに準拠した工法)が用いられていました。

この工法は、地震や台風などの自然災害に強い瓦屋根を実現するため、阪神・淡路大震災を経て平成13年(2001年)以降、瓦業界の自主基準として導入が進んできましたが、義務ではありませんでした。

そこで、昨今の台風や地震による大規模な瓦の被害を踏まえ、建築基準法の告示基準が改正され、新築の住宅や建築物に対しては、令和4年(2022年)1月から瓦の留付け方法に関する基準が強化され、全ての瓦の固定が義務化されます。なお、改正後の基準は、増築等する部分の瓦屋根には適用されますが、すでにある住宅や建築物の瓦屋根に直ちに修繕を求めるものではありません。しかし、瓦の留め付けがない場合は、飛散・脱落の危険性がある事例が数多く存在します。お住まいの自治体によっては、現在お住まいの住宅の瓦屋根の強風対策などのために改正後の基準に適合する葺き替えを行う場合に利用できる補助金の制度も設けられている場合もありますので、第3章でご紹介します。

非ガイドライン工法の瓦屋根
(瓦が脱落)
ガイドライン工法の瓦屋根
(ほとんど被害なし)
告示の改正前

軒、けらば、むねのみ固定
平部は固定の義務なし

告示の改正後

すべての瓦の固定が義務化
(ガイドライン工法)

(資料 国土交通省)

2我が家の屋根の瓦は大丈夫?

すでにある建築物の瓦屋根が、日本瓦(粘土瓦)やセメント瓦の場合は、次の項目をチェックしてください。屋根の上は滑りやすく大変危険ですので、絶対に登らず地上からチェックをお願いします。

チェック項目

  • 平成13年(2001年)より前に建てられた瓦屋根の建築物で、平成13年(2001)年以降に瓦屋根が改修されていない
  • 瓦のずれ、浮き上がりが生じている
  • 瓦が著しく破損している

瓦にずれや浮き上がりが生じている例

瓦に浮き上がりが生じている
瓦がずり下がり、萱き土に植物がみられる

瓦が著しく破損している例

(資料 国土交通省)

チェック項目に1つでも該当したら屋根の耐風性や耐震性に難があるかもしれませんので、瓦工事業者による詳しい耐風・耐震診断を受けましょう。また、チェック項目に該当しない場合であっても、ご心配のある方は瓦工事業者による詳しい耐風・耐震診断を受けましょう。ただ、中には仕様や施工内容に対して高額の工事金額を請求する悪徳業者が存在しますので注意が必要です。

瓦屋根の診断や工事を依頼する際は、ガイドライン工法に精通した信頼できる工事店などを選ぶことをおすすめします。

全日本瓦工事業連盟ホームページの「加盟工事店の検索」で、全国の優良瓦工事店や瓦屋根診断技士等の有資格者が在籍している工事店が見つけられますので、ご利用ください。

3耐風診断や葺き替えに対する支援は?

自治体によっては、すでにある住宅や建築物の屋根の耐風・耐震診断をしたり葺き替えたりするときにかかる費用の一部を支援する制度を設けている場合があります。また、住宅全体の性能向上リフォームをする際、瓦屋根の葺き替え工事は防災性の向上として費用の一部が国の制度により補助されます。これらの他、お住まいの自治体で独自の助成金や補助金の制度を設けている場合があります。詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。

屋根の耐風診断及び耐風改修に関する事業

瓦工事業者に既存住宅や建築物の屋根の耐風性能の診断をしてもらったり、脱落のおそれのある瓦屋根の葺き替え工事をしてもらったりするときに、必要な費用の一部について支援を行います。

屋根の耐風診断

かわらぶき技能士や瓦屋根工事技士、瓦屋根診断技士等の瓦工事業者に、屋根の耐風性能が十分であるかどうかを診断してもらう際にかかる費用の一部が補助されます。

【補助率】
地方公共団体が実施の場合:国が2分の1
民間が実施の場合:国と地方で3分の2

【補助対象限度額】
31,500円/棟

屋根の耐風改修

基準に適合しない瓦屋根を一定の耐風性のある屋根に葺き替える際にかかる費用の一部が補助されます。

【補助対象率】
工事費の23%

【補助対象限度額】
240万円/棟

長期優良住宅化リフォーム推進事業

住宅の省エネや耐震等の性能向上を目的としたリフォーム工事とともにガイドライン工法で示す取付方法で屋根の葺き替え工事を行うと費用の一部が補助されます。

【補助率】
3分の1

【補助金限度額】
100万円/戸(※評価基準型で加算条件なしの場合)

補助制度の詳細は、「強風災害・水災害等により被害を受けるおそれがある住宅の改修に対する支援[PDF:864 KB]」(国土交通省HP)をご覧ください。

コラム

風が強まる前に家周りの強風対策を

台風による強風や大雨が予想されるときは、雨が降ったり風が強くなったりする前に、家の周りを点検し、次の防災対策を行いましょう。

  • 窓や雨戸はしっかりと閉め、必要に応じて補強する
  • 側溝や排水溝、バルコニーの排水溝は掃除して水はけをよくする
  • 風で飛ばされそうなものは飛ばないように固定したり、家の中に格納したりする

※点検の際は滑落による死亡事故が発生する恐れがあるので、屋根にはのぼらないでください。

また、飛散防止フィルムを窓ガラスに貼るなど、室内の安全対策も行いましょう。避難が必要になったときに備えて、非常持ち出し品の点検や避難場所の確認なども行っておきましょう。また、避難をする必要がないか、逐次、避難情報を得るようにしておきましょう。

(取材協力:国土交通省 文責:政府広報オンライン)

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