お子さんを自転車の後ろに乗せる皆さんへ“スポーク外傷”にご注意ください!

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こどもを自転車の後ろに乗せているとき、こどもの足が車輪に巻き込まれてけがをする「スポーク外傷」といわれる事故が起きています。どんなときに起こるのか、防ぐためにはどうすればよいのか、ポイントを紹介します。

1スポーク外傷ってどんなケガ?自転車に同乗したこどもの足が後輪に巻き込まれ、すり傷や切り傷、ねんざなどを。

保育園・幼稚園への送り迎えや、近所への外出などで、こどもを自転車の後ろに乗せて運転することはありませんか。そのような場合は、こどもの「スポーク外傷」にご注意ください。

スポークとは、自転車の車輪の中心部から車輪の枠(リム)に放射状に延びている針金状の部品のこと。スポーク外傷は、主に、こどもを自転車の後部荷台に取り付けた幼児座席(チャイルドシート)や直接荷台に乗せて走行している際などに、こどもの足が後輪に巻き込まれて負うケガを指します。
多くは軽い擦過傷(すり傷)で済みますが、中には足の甲や踵からアキレス腱など広範囲の擦過傷や皮膚の縫合が必要な裂創(切り傷など)やねんざなどを負う例もあります。

消費者庁と国民生活センターには、医療機関ネットワーク(※)を通じてスポーク外傷の事例が2016年4月~2021年3月までの5年間に106件寄せられています。
※医療機関ネットワーク:消費者庁と国民生活センターとの共同事業で、消費生活において生命または身体に被害が生じた事故に遭い、参画医療機関を受診したことによる事故情報を収集するもの。

負傷者を年齢別にみると、6歳未満が52.8%を占め、次いで6歳以上12歳未満が44.3%となっています(図1)

図1 年齢別の件数 n=106

図2 負傷した箇所 n=106

図3 負傷の程度 n=106

図1~3)国民生活センター「自転車に乗せた子どもの足が車輪に巻き込まれる事故に注意-いわゆる「スポーク外傷」が多発しています-」の件数を更新したもの

スポーク外傷の事例から

具体的には、次のような事例が報告されています。

5歳男児の例:
父が運転する自転車の荷台にこどもがまたがっていた。少しの距離だったので幼児座席なしの自転車に乗せてしまった。こどもの、裸足に草履を履いた左足がスポークに挟まって受傷。アキレス腱の根元から左右に扇状の裂創(※1)。腱が見えるような深い挫創(※2)。12針縫合。
※1.裂けてできた傷
※2.打たれたり押しつぶされたりしてできた傷

7歳女児の例:
足置きが壊れている幼児座席に乗せて、走行中に左足は自転車の金具に置いていたが、足がずれ落ち、後輪に踵が挟まれた。左踵裂創、左足関節捻挫、左下腿挫創、皮下血腫。

4歳男児の例:
母親が運転する自転車の後ろに乗って買い物に向かう際に、左足が自転車の後輪に挟まり受傷。自転車の後ろには幼児座席を設置していたが、足を置くところにこどもが足をきちんと置いていなかった。左足関節に擦過傷あり。

参考)国民生活センター「自転車に乗せた子どもの足が車輪に巻き込まれる事故に注意」[PDF : 719KB]

2スポーク外傷はどうやって起きるの?(1)足乗せ部に足を置いていないとき、(2)幼児座席を使用していないとき、に起こりやすい

スポーク外傷はどのように起きるのか、独立行政法人国民生活センターの再現実験によると、次のことが明らかになりました。

幼児座席を使用した場合

自転車に同乗させてよいのは、6歳未満の幼児または未就学児*で、幼児座席を用い、ヘルメットを着用させるのが原則です。
自転車に取り付ける後部幼児座席は、6歳未満のこどもの体格を前提としています。そのため、6歳以上の体格のこどもが乗ると、足乗せ部から足がはみ出るなどして、車輪に巻き込まれる可能性が高くなります。

図4 9歳のこどもが幼児座席を使用した様子

幼児座席を使用しない場合

こどもが6歳未満または未就学児*であっても、幼児座席を備えた自転車であることが必要です。
事故事例には、幼児座席を使わずに後部荷台に直接こどもを乗せた例もあります。この場合はこどもの年齢や体格に関係なく、足が車輪に近づきやすくなり、スポークに巻き込まれる危険が高まります。

図5 5歳のこどもが幼児座席やドレスガードのない自転車に乗った様子

後部荷台にドレスガードがついている場合

ドレスガードは、運転者の衣類(スカートやコートのすそなど)が後輪に巻き込まれることを防ぐための部品で、プラスチック製の板状のものや、針金などを用いた網状のものなどがあります。
国民生活センターの調べでは、ドレスガードのない自転車の方が同乗者の足が後輪に巻き込まれやすいというデータがあります。しかし、そもそもドレスガードは、構造・材質ともに幼児座席の代わりになるものではありません。ドレスガードを備えていても、幼児座席がない自転車にこどもを同乗させてはいけません。

国民生活センターのウェブサイトでは、再現実験の映像も見られます。

国民生活センター「自転車に乗せた子どもの足が車輪に巻き込まれる事故に注意 - いわゆる「スポーク外傷」が多発しています -」

3こどものスポーク外傷を防ぐには?自転車同乗のルールを守り、幼児座席を適切に使いましょう

スポーク外傷からこどもを守るために、こどもを自転車に同乗させるときには、次のようなことに気をつけましょう。

同乗させてよいのは6歳未満のこどもまたは未就学児*

道路交通規則では、原則として運転者以外の人を乗せることはできませんが、幼児座席を設けた自転車に6歳未満のこどもまたは未就学児*を1人に限り乗車させることができます。幼児2人同乗用自転車の幼児用座席の場合は2人です。6歳または小学生以上のこどもの同乗は認められておらず*、幼児座席を使用していても、車輪に足を巻き込まれる危険性が高いため、絶対にやめましょう。

幼児座席を必ず使用する

6歳未満のこどもまたは未就学児*を自転車に同乗させる場合には、幼児座席を使用しなければなりません。幼児座席を選ぶ際は、SGマークが付いているかどうかを参考にしましょう。SGマークは、様々な種類の製品について設けられた一定の安全基準(SG基準)を満たしたとして、一般財団法人製品安全協会が認証した製品に貼付されています。

幼児座席を正しく使用する

幼児座席は、販売店で適切に取り付けてもらいましょう。また、幼児座席を取り付ける自転車には、ドレスガードも装備しましょう。
使用にあたっては、こどもを乗せた状態で荷台の制限重量を超えていないか、破損、変形、傷がないか、座席や荷台にぐらつきがないかなどを点検しましょう。もし異常が確認された場合は使用せず、お近くの販売店などに相談してください。
こどもを幼児座席に乗せるときは、必ず足乗せ部に足を置かせてください。また、万が一の転倒に備えて、座席ベルトをしっかり締め、ヘルメットを着用させましょう。

まとめ

自転車にこどもが同乗する際のルール

道路交通規則などを踏まえると、自転車にこどもを同乗させる際のルールは、次のようになっています。事故を防ぎ、安全に自転車を利用するために、確認しておきましょう。

一般の自転車:

チャイルドシート(幼児座席)を使えば、6歳未満のこどもまたは未就学児* 1人を同乗させることができます。
同乗するこどもは、ヘルメットの着用が必要です。
なお、後部チャイルドシートを取り付けられる自転車は、最大積載量が25kg以上の後部荷台を備えていることが必要です。それ以下の荷台を持つ自転車には取り付けてはいけません。
自転車の後部荷台の積載量は、一般にシールなどで表示されていますが、不明な場合は販売店などに確認しましょう。
後部チャイルドシート取付の可否については、自転車に「取付可能」「取付けできません」等と表示(シールなど)されていますので、ご確認ください。

幼児2人乗せ自転車:

「幼児2人同乗基準適合車」は、6歳未満の幼児または未就学児*2人までを、幼児用座席を用いて同乗させることができます。
同乗するこどもは、ヘルメットの着用が必要です。

(* 都道府県により異なります)

(取材協力:消費者庁、(独)国民生活センター 文責:政府広報オンライン)

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