令和2年(2020年)7月6日
安全な空の旅のためにお出かけ前にご確認を。
飛行機に持ち込めないもの。

旅行や出張などの際、飛行機を利用する方は多いでしょう。飛行機に乗るとき、「機内に持ち込む手荷物」にはもちろん、「搭乗前に預ける手荷物」にも、入れてはいけないものがあります。空を飛ぶ飛行機の中では、地上では思いもかけない危険があるため、普段の生活で何気なく使っている品物も「危険物」となることがあるからです。皆さん自身が安心して飛行機を利用できるよう、危険物の持ち込み禁止や制限に関するルールを守りましょう。
1.なぜ、飛行機に持ち込めないものがあるの?
テロなどの危険を防ぎ、空の安全を守るため、「危険物」の持ち込みは禁止されています。
飛行機に乗る際、空港の金属探知器のゲートをくぐったらアラームが鳴ってしまい、確かめたらポケットの小銭入れやベルトの金具が原因だった、といった経験はおありでしょうか。
飛行機に乗るときは、空港で必ず本人と荷物について安全上のチェックを受けることになっています。
大きなスーツケースやキャリーバッグなど、チェックインカウンターで預ける荷物を「預け手荷物」などといい、機内まで持ち込む荷物を「機内持ち込み手荷物」などといいますが、どちらもX線検査機を通すなどして中に危険物が入っていないかどうか検査されます。
人間は金属探知器のゲートを通るなどして、機内への持ち込みが禁止されている物を身につけていないか検査を受けます。また、確実に機内への持ち込みが禁止されている物が持ち込まれないことを確認するため、再検査を受けていただくこともあります。
面倒と思われるかもしれませんが、テロやハイジャック、そして万一の大事故を防ぐためには、欠かせない重要な手続きです。
空を飛ぶ飛行機の中という、地上と異なる特殊な状況では、ふだん何気なく使っている品物が「危険物」となることがあります。それとは知らずに「危険物」に当たる物を飛行機に持ち込もうとして搭乗前の検査で発見されたら、その「危険物」を廃棄するか、または別の手段での送付を手配するなどのことをしなければなりません。
旅の準備をする段階で、どのようなものが機内持ち込み手荷物に入れられないか、あるいは預け手荷物に入れられないかなどを確認しておきましょう。
機内持ち込み手荷物、預け手荷物のどちらにしても、旅客が飛行機に持ち込める荷物については、航空法や国際民間航空機関(ICAO)の取り決めにより、世界共通の基本ルールが定められています。ここでは、その基本的なルールをご説明します。
なお、航空会社によって細部が異なる場合があったり、国際線と国内線によって差異があったりしますので、詳細については、実際に利用される航空会社などに確認することをお勧めします。
2.飛行機に一切持ち込めないものは?
爆発のおそれがあるものや燃えやすいもの、毒性のあるものは、原則的に「機内持ち込み」と「預け手荷物」のどちらも不可です。
爆発のおそれがあるもの、燃えやすいもの、有害物質などの「危険物」は、機内持ち込み手荷物に入れることも、預け手荷物に入れることも禁止されています。
例えば、カセットコンロ用のガスボンベやキャンプ用ガスは、内部に高圧ガスや引火性のガスを蓄えていて万一のトラブル時に爆発するおそれがあるため、機内持ち込み手荷物、預け手荷物のどちらにも入れてはいけません。漂白剤や強力カビとり剤などの酸化性物質、殺虫剤や農薬などの毒物、そして自動車用など電解液を用いる液体バッテリーは、万一漏れてしまった場合に、強い臭いや毒性、腐食性などが機内環境に重大な影響を与えるため、これも機内持ち込み手荷物、預け手荷物のどちらにも入れてはいけません。
高圧ガス
例)ライター用補充ガス/カセットコンロ用ガス/キャンプ用ガス
ダイビング用ボンベ
酸素缶
引火性液体
例)オイルタンク式ライター
オイルライター用燃料
ペンキ・塗料
火薬類
例)花火、クラッカー、弾薬
可燃性物質
例)徳用マッチ、炭
酸化性物質
例)小型酸素発生器、酸素系漂白剤、瞬間冷却剤
毒物類
例)殺虫剤、農薬
その他の有害物件
例)エンジン、大容量リチウム(イオン)バッテリー
腐食性物質
例)液体バッテリー、水銀、
加熱式弁当等(化学反応により熱を発するもの)、
塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)、空間除菌剤
放射性物質など
※医療用の小型酸素ボンベや、容量がワット時定格量160Wh未満のリチウムイオン電池、化粧品類や医薬品類に該当するものなど、物品によっては、定められた条件のもと、機内への持ち込みまたは預け手荷物の中に入れることが可能な場合があります。(第3章を参照)
「機内持込み・お預け手荷物における危険物の代表例」のリストは、下記のページをご覧ください。
囲み記事
ご注意ください。花火やクラッカー、キャンプ用のカセットコンロは持ち込めません
旅先で遊ぶために、花火やクラッカー、キャンプ用品などを持っていきたいと考えている方はご注意ください。花火やクラッカーは「火薬類」、キャンプ用のガスボンベは「高圧ガス」に分類される危険物にあたります。また、最近は紐などを引っ張ることで薬剤が混ざり発熱させる原理を利用した加熱式食品(弁当、清酒等)や、叩くことで薬剤が混ざり急冷させる原理を利用した瞬間冷却パック等の商品が航空機内に持ち込まれるという事例が発生しています。これらの商品に使用されている薬剤も危険物にあたり航空機では輸送できないものになり、機内に持ち込むことも、預け手荷物として運ぶこともできませんので、手荷物には入れないようにしてください。もし、空港に持って行っても、搭乗前に廃棄するなど適切に処分しなければならなくなります。自分自身が乗る飛行機の安全のためにも、危険物は持ち込まないようにしましょう。
3.条件付きで飛行機に持ち込みできるものは?
ライターや化粧品、電池など、一定の条件のもと、持ち込み・預けが可能なものもあります
下表のように「預け手荷物」にできないものや一定の条件のもと預けなければならないものがあります。
喫煙用ライターのうち、液化ガスライターや綿状の吸収材に燃料を吸収させて保持するタイプのオイルライターは、1人につき1個のみ、機内持ち込み手荷物にできます。
ノートパソコンやビデオカメラなどリチウム電池を内蔵した電子機器は、電源を完全にOFF(スリープモードまたは休止状態不可)し、損傷しないよう保護(固いスーツケースに入れるまたは衣類に包むなど)すれば預けることができます。
また、上記電子機器の予備の電池やモバイルバッテリーを持参することがありますが、それも預け手荷物にできないため、機内持ち込み手荷物としてください。ただし、リチウム金属電池は1個あたりのリチウム含有量が2グラム以下のものに限り、リチウムイオン電池はワット時定格量が100whを超え160wh以下のものは2個まで、100wh以下のものは個数の制限なく、機内持ち込み手荷物にできます。
物品 |
条件 |
機内持ち込み |
預け手荷物 |
喫煙用ライター |
液化ガスライター、吸収材に燃料を吸収させたオイルライター。1人1個のみ |
○ |
× |
リチウムイオン(金属)電池を内蔵した携帯型電子機器 |
・リチウム金属電池: |
○ |
○ |
予備のリチウム金属/イオン電池 |
・リチウム金属電池: |
○ |
× |
コードレスヘアアイロンなど、熱を発生する電池器具 |
・電池を取り外すなどにより、熱を発生する部分と電池とに分けること |
○ |
○ |
詳しいリストはこちら
国土交通省「危険物であっても航空機内への持ち込み又はお預かりができるもの」[PDF]
囲み記事
ご注意ください。リチウム電池を内蔵した電子機器を貨物室に預ける際、当該機器の保護・電源OFFが義務付けられました。
平成29年7月1日からリチウムイオン電池を内蔵した電子機器を「預け手荷物」として運ぶ場合は、電源OFF(スリープモードは不可)し、固いスーツケースに入れ偶発的な作動や損傷を防止するための措置が義務付けられました。
リチウム電池を内蔵した電子機器を航空機にて輸送する場合は、機内持ち込みにしていただくか、上記措置をとったうえ預け手荷物にしてください。
なお、リチウムイオン電池を使用した予備電池(モバイルバッテリー等)は、預けることができませんので機内に持ち込んでください。
4.国際線でもルールは同じ?
航空会社や出発地によって独自の規制があることも。
国際線・国内線を問わず、前述のように爆発・発火のおそれのあるものや、燃えやすいもの、有毒物質、凶器になり得るものなどは、危険物の飛行機への持ち込みは禁止または制限されています。また、航空会社によっては、手荷物について独自に規制を設けている場合もありますので、事前に、利用する航空会社のウェブサイトなどで確かめるようにしましょう。
例えば、日本の国内線ではマッチやライターは1つだけであれば、機内持ち込み手荷物に入れることができますが、中国(香港を除く)やインド、フィリピン、ベトナム、ミャンマーを出発する便では、マッチやライターの持ち込みは、機内持ち込み手荷物、預け手荷物ともに全面的に禁止されています。
国際線を利用するときに100ml(g)を超える液体を持ち込む際には、1個の容量が100ml(g)以下の容器に入れ、その容器をジッパー付きの透明なプラスチック製の袋(容量1リットル以下。目安としては縦と横のサイズが足して40cm以内のもの。)に入れる必要があります。
100ml(g)以下の容器に入れ、容量が1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック製袋に入れた場合は、手荷物として航空機内に持ち込み可能。100ml(g)を超える液体物は預け手荷物へ
「あらゆる液体」の中には、歯磨きやヘアジェル、ハンドクリーム、味噌やプリンなども含まれます。なお、医薬品や乳幼児用のミルク・ベビーフード、特別な制限食などは、液体物持ち込み制限の対象にはなりません。
持ち込み禁止液体物の代表例
みそ、缶詰・びん詰め、漬け物、ヨーグルト、ゼリー、スプレー・エアゾール、シャンプー・リンス・液体ソープ、歯磨き
液体の持ち込み制限については、こちらをご覧ください。
5.電動車いすをお使いの方へ
電動車いすの仕様によっては持ち込み手荷物・預け手荷物に制限があります。
ふだん電動車いすを使っている方が飛行機を利用するときには、事前に、電動車いすを機内に持ち込めるか、あるいは預け手荷物になるかどうか、確認しておくことが必要です。
電動車いすに搭載されているバッテリーが、飛行機で輸送する際に、気圧や温度の変化、そして継続的な振動を受けることなどによって、次のような危険を生じる可能性があるためです。
- 輸送中の振動などにより、電源が入り、動き出す可能性がある
- 輸送中の気圧や温度の変化などにより、バッテリー内にある硫酸などの電解液が漏れ出す可能性がある
- 輸送中の衝撃などにより、バッテリーが発火する可能性がある
このため、国際規則および国内規則で、電動車いすを飛行機で安全に輸送するためのルールが定められています。
バッテリーの取り外しができる電動車いすは、下表のように、仕様に応じて機内持ち込み手荷物、または預け手荷物にすることができます。
バッテリーが取り外せない場合は、誤作動防止の対策がとられているもののみ、預け手荷物として飛行機に持ち込めます。誤作動防止の対策は機種によって異なりますが、電源スイッチがカギ式で取り外せるようになっていたり、スイッチにカバーが付いていたり、あるいは操作部や駆動部のコネクターを外せるようになっていたりします。
電動車いすをお使いになる方が飛行機を利用しようとする場合は、事前にご自分の車いす及びバッテリーがどのような仕様か、確認しておきましょう。
バッテリーの種類による取り扱いは下記のとおりです。
バッテリーの種類 |
条件 |
機内持ち込み |
預け手荷物 |
非防漏型蓄電池 |
貨物室に直立で積載できるもの |
× |
○ |
防漏型蓄電池 |
バッテリーが容易に外せる設計となっているものは、バッテリーを取り外すこと |
× |
○ |
ニッケル水素バッテリー |
|||
リチウムイオンバッテリー |
バッテリーが容易に外せる設計となっているものは、バッテリーを取り外すこと |
○ |
× |
電動車いすで、バッテリーの取り外しができず誤作動防止対策がないものや、上の表の条件を満たさないもの(液体バッテリーで直立積載できないものや300Wh以上のリチウムイオンバッテリー)は、機内持ち込み手荷物にも預け手荷物にもできません。
また、小型の飛行機では、折りたためない車いすは搭載できないことがあります。電動車いすで飛行機を利用する方は、事前に、ご利用の電動車いすの仕様やサイズ、重量、バッテリーの種類などを航空会社に伝えてください。
電動車いすで飛行機を利用する際のルールについて、詳しくは下記をご覧ください。お使いの電動車いすを飛行機で運べるかどうかや、バッテリーの取り扱いなどについても、図表で確認することができます。
国土交通省「電動車いすで航空機をご利用される場合のルールについて」[PDF]
(取材協力:国土交通省 文責:政府広報オンライン)
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