花粉症はいまだに多くの国民を長年悩ませ続けている社会問題であり、様々な対策を効果的に組み合わせることが重要です。
花粉症という社会問題を解決するため、政府をあげて花粉症対策を速やかに実行していきます。
政府の花粉症対策
3本柱
なぜこの時期から?
花粉の飛散時期は、樹木や草花の種類によって異なりますが、夏から秋頃にかけてはスギ花粉の飛散量が少ない時期です。個々人でできるスギ花粉症への対処法は、花粉を回避すること(抗原回避)、対症療法、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法、皮下免疫療法)等があります。このうち、アレルゲン免疫療法は、特に対症療法では効果が不十分な方に推奨されるものであり、スギ花粉が飛散していない時期から治療を開始する必要があります。
発症等対策
アレルゲン免疫療法には、「舌下免疫療法」と「皮下免疫療法」の2種類があります。
アレルゲン免疫療法のメリットとデメリット
メリット
- 対症療法で改善しなかった人に効果が出る可能性がある
- 治療終了後も効果がある程度持続する
デメリット
- 他の治療に比べ、投与部位(舌下なら口、のど、腹部、皮下なら注射部位)の疼痛や違和感などの副作用が出やすい
- 治療継続の推奨期間が3年以上と長期間に及ぶ
- 稀にアナフィラキシーが起こる可能性がある
舌下免疫療法

- 自宅で簡単に服用できる
- 毎日の服用が必要
- 服用前後2時間は激しい運動や入浴、飲酒を避ける必要がある
1,500円/月
舌下免疫療法のスケジュール例
皮下免疫療法

- 毎日の投薬は不要
- 開始後半年間は数日~2週間毎、それ以降は1か月毎の受診を要する
- 皮下注射の疼痛あり
600~2,500円/月
皮下免疫療法のスケジュール例
FAQ
Q治療すれば必ず治りますか?
約8割の患者さんで症状の改善が認められています。治療が効き、アレルゲン免疫療法を終了した後でも多くの患者さんで効果が持続します。
Q副作用はありますか?
舌下免疫療法では、頻度の高い副作用として、口腔内の腫れ、かゆみなどがありますが、多くの場合、30分程で改善します。ごくまれにアナフィラキシーなどの全身の副作用が起きます。
Q誰でも受けられる治療ですか?
医師からスギ花粉症と診断されたかたが対象です。喘息、自己免疫疾患の患者さんや全身性ステロイド薬や抗がん剤、一部の降圧剤など使用中の患者さんや、歯科治療中のかたなどは受けられません。なお、舌下免疫療法については、5歳未満は受けられません。治療開始前に必ず主治医の診察を受けて、確認してください。
全国の拠点病院やアレルギー専門医は、アレルギーポータルサイト
から検索ができます。また、スギ花粉症に対する舌下免疫療法の相談ができる医療施設はアレルゲン免疫療法ナビ
から検索ができます。舌下免疫療法は実施可能でも、皮下免疫療法を取り扱っていない医療機関もあるため皮下免疫療法をご希望の患者さんは予め医療機関に確認するようにしてください。
また、花粉予防行動も重要です。花粉予防行動については、政府広報オンライン「花粉情報をチェックして、早めの治療と日常生活に役立てよう」や環境省花粉症環境保健マニュアル2022[PDF:7.5MB]を参考にしましょう。
発生源対策
令和15年度(2033年度)までに、花粉の発生源となるスギ人工林を約2割減少させることを目標として、スギ人工林の伐採・植替え等の加速化を推進します。

- スギ人工林の伐採・植替えを加速化
- スギ材の需要拡大
- 花粉の少ない苗木の生産拡大
- 林業の生産性向上及び林業労働力の確保
また、「花粉発生源スギ人工林減少推進計画」を策定し、着実な実行を図ります。
飛散対策
精緻化されたデータを民間事業者に提供すること等により、民間事業者が行うスギ花粉飛散量の予測の精度向上を支援します。
- スギ雄花花芽調査のデータの提供に関し、できるだけ早期に調査地点を増やすこと等により、発生源の状況把握を強化
- 航空レーザー計測により、スギ人工林の分布、資源量、森林地形の情報を高度化し、そのデータの公開を推進
- 令和5年度(2023年度)中に、スーパーコンピューターやAIを活用し、花粉飛散予測に特化した低い空域の詳細な三次元の気象情報の提供を開始
- 予測精度の検証に資するため、花粉飛散量の実測データの提供を行うとともに、人手に頼っている飛散量の実測が今後も持続可能なものとなるよう、画像解析による測定手法の開発を進める
関連リンク