輝け!学びの未来 あなたのまちのコミュニティ・スクール
学校と地域をコラボレートすることで、こどもたちの学びと成長を支えるだけでなく、地域の防災力も高められる!? 今回は、「輝け!学びの未来 あなたのまちのコミュニティ・スクール」というテーマで深掘りしました。

- ゲスト
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文部科学省
総合教育政策局 地域学習推進課長
黄地 吉隆
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和4年(2022年)10月23日
- 時間
- 17分06秒
- 配信終了予定日
- 令和5年(2023年)10月22日
文字で読む
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足立 - コミュニティ・スクールってカルチャー・スクールみたいなものですか? ネーミングだけ聞くとそういうイメージですけど。
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青木 - 初耳という方もいらっしゃると思いますが、このコミュニティ・スクールは2013年からの10年間で、導入する学校がなんと、10倍にもなっている今注目の仕組みなんです。
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足立 - 仕組み?
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青木 - はい。この仕組みを設けると学校と地域を取り巻く様々な課題を解決に導けるだけでなく、未来を担うこどもたちの豊かな学びや成長を支えることができるんです!
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足立 - なんだか凄そうだな、ということは伝わりました。
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青木 - 足立さんは、学校が抱える課題にはどんなことがあると思いますか?
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足立 - いじめや不登校が、真っ先に思い付きます。
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青木 - そうですよね。では、具体的に伺っていきましょう! 文部科学省 総合教育政策局 地域学習推進課長 黄地吉隆さんです。
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足立 - 黄地さん、いじめや不登校などの生徒指導以外に学校が抱える課題というと何ですか?
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黄地 - いろいろありますが、例えば、先生方の働き方改革も解決しなければならない課題の一つです。これからの教育では、学校だけでなく地域社会の皆さんと一緒になって取り組んでいくこと、そのためには、意識や働き方を改革することが大事ですが、一方で現状、先生方は大変忙しいことが、調査結果からも指摘されています。例えば、授業の準備のほかに、部活動の指導や放課後の補習、進路相談や家庭の状況の把握、児童・生徒への生活指導などの業務が多岐に渡っています。
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青木 - 他にも「保護者の学校に対するニーズの多様化」も学校が抱える課題です。英語やプログラミング教育の充実を求める保護者もいれば、芸術やスポーツなどこどもの個性を伸ばす教育を求める保護者もいたり、それよりも受験対策をしっかりしてほしいなどなど、保護者によって学校に求めるものがいろいろあるんですよね。そうした課題に全て対応しようとすると、学校は大変ですよね~。
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黄地 - はい。こうした学校の課題はますます複雑化・困難化していると言われていますね。
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青木 - では、足立さん、地域が抱える課題にはどんなことがあると思いますか?
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足立 - 地域だと、ご近所付き合いなどが少なくなったことによって、生まれる様々な問題がありますよね。
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黄地 - そうですね。地域にもよるかと思いますが、少子高齢化や核家族化などにより、以前と比べると地域のつながりや支え合いが薄くなっているということも指摘されています。そうした中で、子育て家庭や高齢者世帯への見守りや支援が届きにくかったり、地域で取り組む防災・防犯対策が十分に行えなかったりなど、福祉面や安全面などに課題があることも指摘されています。そこで、学校や地域、それぞれが抱える様々な課題について、学校と地域が力を合わせて解決に向けて取り組もうと設けられた仕組み、正にコラボの仕組みがコミュニティ・スクールなんです。
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足立 - どんな仕組みなんですか?
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黄地 - 一言でいえば、学校運営に学校や保護者、地域の住民が一体となって取り組む仕組みです。従来は学校だけで学校運営の方針を決めていたんですが、コミュニティ・スクールでは、校長が学校運営の方針を保護者や地域住民によって組織される学校運営協議会に説明した上で、どんな学校にしたいか、どんなこどもたちに育って欲しいか、様々なことを話し合いながら決める、「社会に開かれた学校教育」を行うところです。
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青木 - 全国の公立学校のおよそ4割に当たる1万5,000校ほどに導入されていて、今後ますます増える見込みだそうですよ。
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足立 - 増えるということは、それだけメリットがあるということですよね? 具体的にどんなことするんですか?
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黄地 - コミュニティ・スクールでは学校の運営方針に沿って、学校と地域が連携して学校内外の活動を行っていくことになります。例えば、地域の方々にご協力いただきながら、放課後の学習支援や体験活動などの機会を作ったり、授業の補助、校内の清掃、登下校の見守り、部活動の補助をサポートしていただくなど様々なことが行われています。こうすることで、先生の負担が軽減できるだけでなく、地域社会のためにどうしたら良い教育ができるかを考えるといったポジティブな意識を先生に持ってもらうなど、先生の働き方改革にもつながります。さらに、地域の皆さんにも学校の状況をよくわかっていただくことができます。
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青木 - また、学校やこどもたちに地域の防災活動やお祭りなどの伝統行事に積極的に参加してもらう機会を作れば、地域の防災力を高められたり、伝統行事の継承が行われやすくなったり、お互いにメリットがあるんですよね。
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黄地 - そうなんです。学校と地域が連携・協働すれば、それぞれの課題が解決につながる可能性があります。そのため、こうした学校内外における活動には、保護者や地域住民だけでなく、PTA、社会教育団体・施設、文化・スポーツ団体、企業やNPO法人などにも積極的に参画していただき、地域と学校の実情にあった学校内外における活動を充実させていければと考えています。
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足立 - 皆が関わり合って学校、地域、こどもたちを育てていくという感じがしていいですね。
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黄地 - そうなんです。そもそも学校教育の目的は一人一人の能力を高めることだけではありません。例えば、友達との絆、先生との信頼関係など、人と人とのつながりを築いていくことも大きな目的の一つです。そうした中で、コミュニティ・スクールは学校と地域が正にコラボすることで、その大切な人と人とのつながりを築いていくことができる仕組みと考えています。
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足立 - 黄地さん、ここではコミュニティ・スクールで行われている具体的な取り組みを教えてください。
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黄地 - 例えば、GIGAスクール構想ということで、一人一台のパソコンなどを利用した学習活動が一層推進されるようになりましたが、ある学校では、こどもたちへの操作のサポートやプログラミング教育などに課題を抱えていました。そこで、企業を退職した方や研究者に協力を仰ぎ、彼らが学校応援団としてプログラミング教育へのアドバイスや支援などを行い、先生のサポートをされているそうです。
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足立 - 確かに、先生の中にはパソコンの操作に不慣れな方もいると思うので、地域にいる得意な方や、企業の方などに協力してもらえると先生方も助かりますよね。
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黄地 - 他にも様々な例があります。例えば、ある学校では、こどもたちがふるさとを知り学ぶ機会が少なくなっていることが課題でした。そこで、地域の方々から自然や歴史・文化を教わるカリキュラムを設定し、地元の盆踊りや着物の着付け方、わらじの作り方などを教えることで、こどもたちのふるさとへの愛着心や社会への参加力を育成しています。
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青木 - 実際に効果がでている事例もあります。生徒の問題行動や補導件数の多さなどが課題になっていたある学校では、2006年度にコミュニティ・スクールを導入し、学校の困りごとなどを包み隠さず保護者や地域の方々に説明したそうです。そして、これからどういった学校にしたいのか、どんな生徒を育成したいのか、そのために何が必要なのかを、学校、家庭、地域の三者で議論を重ね、まず、保護者、地域、教員、警察が連携して夜間パトロールを始めました。その結果、2009年に1,000件を超えていた補導件数が、翌年には24件になり、その後も減り続け、2019年は僅か2件になったそうです。
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足立 - そんなに効果があるんですね!
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青木 - 学校が抱えている問題を地域と話し合うことで、地域の問題だと捉えて、全体で見守っていったということになりますよね。
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黄地 - 正しく、そう思います。こうした開かれた学校の姿勢に、本気度を感じた地域の方々や保護者が、課題解決を学校だけに任せるのではなく、当事者として学校運営に関わったり、ボランティアでパトロールなどの校外活動をしたからこそ成果があったわけです。正にコミュニティ・スクールの導入で、学校が変わり、地域が変わり、こどもが変わった好事例です。
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青木 - 先生の働き方改革を推進した事例もあります。ある市では、コミュニティ・スクール導入後、育てたいこどもの姿や学校・家庭・地域の課題を共有した上で、学校業務の見直しを行いました。業務のうち、廃止できるもの、簡略化できるものを検討して、できる改善から進めたそうです。例えば、職員会議や終礼の時間を短くできるように工夫をしたり、一律の家庭訪問を廃止して、希望懇談制に変更するなどです。
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足立 - 家庭訪問の見直しは先生の負担が大分軽くなりそうですね。
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青木 - その他にも様々な見直しをしたところ、先生の1日当たりの超過勤務時間が、前の年の同じ月と比べて、およそ30パーセントも減少したそうです。
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黄地 - 学校運営について、地域や保護者が一緒に協議しながら決定したことは、保護者や地域からのお墨付きのようなもので、その後の具体的な取り組みについても保護者や地域の理解を得やすく、より積極的に改善していくこともできるんです。
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青木 - 企業でも学校内外での活動をより充実させる様々な教育プログラムを提供していて、例えば、ある清掃業務を行う企業では「おそうじ」を学ぶ教室を開催しているそうです。近年はほうきやちり取り、雑巾を使わない家庭も増えていますし、そもそも、なぜ掃除をする必要があるのかなど考える機会もあまりありませんよね。ですから、掃除用具の正しい使い方を知り、学校や家庭での掃除に生かしてもらえるようなプログラムを提供しているそうです。
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足立 - 日頃、接点のない企業の方と触れ合うことは、こどもたちにとっては、思い出に残ることですよね。
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青木 - 机に向かうだけが勉強じゃないですからね。
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黄地 - そうですね。だからこそ、学校と地域が連携・協働して行う学校内外における活動には、様々な企業、団体にも参加していただきたいと思っています。また、ラジオをお聴きの方々にもコミュニティ・スクールという取り組みがあることを知っていただき、保護者として、地域の住民としてなど、様々なスタイルで積極的に関わっていただければと思っています。そして、最終的には全国全ての学校で、こうした取組が行われれば、素晴らしいなと考えています。
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青木 - 現在、全国の公立学校でおよそ4割ほど導入されているということですから、今後、更に増えるといいですね。
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足立 - 今日の話を聞いて、皆が関わり合って、学校や地域でこどもたちを育てていく、それがすごく素敵だなと思いました。
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青木 - 私も足立さんと同じように「社会に開かれた学校教育」が印象に残りました。やっぱり学校って、先生方と生徒と、保護者だけというイメージがありましたが、そうではなく、地域住民の方と一体になって取り組む、社会に開かれた存在なんだなと改めて思いました。
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