ワクワクがいっぱい! 魅力あふれる日本の国立公園
日本の国立公園には、私たちがまだ気付いていない魅力がたくさんあります。知って、利用して、後の世代に引き継ぐ! 今回は、「ワクワクがいっぱい! 魅力あふれる日本の国立公園」というテーマで深掘りしました。

- ゲスト
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環境省 自然環境局 国立公園課
国立公園利用推進室長
岡野 隆宏
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和4年(2022年)8月14日
- 時間
- 18分51秒
- 配信終了予定日
- 令和5年(2023年)8月13日
文字で読む
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青木 - 足立さん、【国立公園】というと、どんなイメージがありますか?
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足立 - 自然が豊かで、野生動物がいる、国が管理している場所。だからこそ、むやみに入り込んだり、手を加えたりしちゃいけないというイメージがあります。
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青木 - 国立公園というと漠然と「国が管理している場所」で「行動に制約が多い場所」と思っている方も少なくないと思います。でも、日本は狭い国土に大勢の人が住み、昔から土地をきめ細かく利用してきたので、アメリカやオーストラリアなどの国とは異なり、国立公園の土地すべてを公園専用とすることは難しいそうですなんです。そのため、日本の国立公園は多くの民有地も含んで指定されていて、国立公園の中には、ほとんど人の手も加わっていないところもあれば、集落や観光地として開発されているところ、農林業などの産業に使われているところもあるんです。私たちが気付いていないだけで国立公園に指定されているところもあるんですが、足立さんは草津温泉に行ったことありますか?
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足立 - その周辺には行ったことがあります!
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青木 - あの有名な草津温泉も、群馬県、新潟県、長野県にまたがる上信越高原国立公園の中にあるんです。足立さんが大好きな四国から望むことができるあの瀬戸内海も国立公園なんですよ。そもそも、日本に国立公園はいくつあると思いますか?
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足立 - 国立というくらいだからそんなには多くないと思うので、10か所!
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青木 - 全国に34か所です。1934年3月に最初に指定されたのは瀬戸内海国立公園、雲仙天草国立公園、霧島錦江湾国立公園、この三つだそうです。もしかしたら、行っているかもしれないですね。
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足立 - 確かに! 知らず知らずのうちに行っているかもしれませんね。
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青木 - そして、日本の国立公園は世界でも稀な特色があるそうです。ここからはスペシャリストに伺ってまいります。環境省自然環境局 国立公園課 国立公園利用推進室長の岡野隆宏さんです。
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足立 - 岡野さん、日本の国立公園は世界でも稀な特色があるということですが、どんな特色なんですか?
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岡野 - はい。先ほどお話に挙っていたように、日本の国立公園の中には自然だけでなく、集落や観光地なども含まれています。そのため日本の国立公園は、自然と人の暮らしが共にある、世界でも稀な国立公園といえるんです。そこには、四季折々に表情を変える自然があり、日本を代表する風景や生き物が多く存在しますが、壮大な景色や手付かずの自然だけではなく、その土地で生きる人々が、自然と調和して作り出した暮らし・伝統文化・食など、国立公園ごとに様々な物語があるんです。
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青木 - 日本の国立公園のブランドメッセージは「その自然には、物語がある。」。 岡野さんは国立公園の保護や管理をされる自然保護官、いわゆるレンジャーの経験もあるそうですね。
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岡野 - はい。九州の阿蘇くじゅう国立公園、沖縄の西表石垣国立公園でレンジャーとして働いていました。
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足立 - レンジャーって具体的にどんなことをされるんですか?
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岡野 - 国立公園は優れた自然風景地を保護するという役割がありますから、自然の状況を把握するためにパトロールや調査を行います。また、生物多様性の確保に向けて、希少な野生生物の保護のため、 生息状況の調査や環境改善などを行ったり、逆に増え過ぎてしまった鹿やイノシシなどの鳥獣や外来生物の管理や駆除なども行います。さらに、国立公園をどのように将来に引き継いでいくか、地域の皆さんと相談して決めていきます。阿蘇くじゅうでは草原、西表石垣ではサンゴ礁の保全再生に向けて地域の皆さんといろいろと話し合ってきました。印象的だったのは、国立公園は地域の皆さんに愛されている風景であり、地域の暮らしや産業とも密接な関係があるということです。そこで、地域を元気にするためには、地域の皆さんと一緒に考えることが大切だと気付かされました。
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足立 - レンジャーという役割がこんなにもたくさんあるんですね。
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青木 - 国立公園の役割は他にもあるんですよね。
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岡野 - はい。優れた自然環境の風景を未来に引き継いでいくことはもちろん、公園ですので、その素晴らしい自然を多くの皆さんに利用していただいて、リフレッシュしていただいたり、感動や学びを得ていただくことも役割の一つなんです。
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青木 - 自然を保護しながらも、多くの方に利用していただくために、看板や歩道を整備したり、自然の大切さを理解してもらうため、自然の観察会など、環境教育活動なども行っているんですよね。
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岡野 - はい。こうした活動を通して、優れた自然を守りながら地域活性化を図りたいと考えており、環境省では2016年から国立公園満喫プロジェクトを実施しています。
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足立 - 国立公園満喫プロジェクト! どんなプロジェクトなんですか?
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岡野 - 日本の国立公園のブランド力を高め、国内外の方々が日本の自然を満喫できるような上質な観光を実現させるプロジェクトです。地域の皆さんと協力して、国立公園ならではの魅力的な自然体験コンテンツを充実させることで、利用者数だけでなく、滞在時間も延ばしていただいて、地域経済の活性化につながるように勧めていきたいと思っております。そして、そこで得た収益が自然環境の保全のために再投資される。こうした好循環を生み出すことを目指しています。
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青木 - 地域も潤い、自然環境の保全にも役立つ、そんなプロジェクトなんですね。
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岡野 - はい。既にとても魅力的な自然体験コンテンツが全国にたくさんできています。
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青木 - ここからは、実際に国立公園にはどんな自然体験コンテンツがあるのか岡野さんにご紹介していただきましょう! まずは、【阿寒摩周国立公園 阿寒湖周辺の森の散策ツアー】
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足立 - どんなツアーなんですか?
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岡野 - 阿寒摩周国立公園は北海道の東側に位置し「火山と森と湖」が織りなす雄大な景観を有する国立公園です。この公園には阿寒湖という湖がありますが、この周辺の一般客立入禁止エリアの森を認定ガイドと歩くトレッキングツアーです。
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青木 - 岡野さんは、実際に体験されたそうですね。
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岡野 - 一度伐採された森ですが、ガイドさんの解説を聴くことで、よみがえりつつある森を体験することできます。どう切られて、どのように再生してきたのかをお話を聴きながら想像するのですが、それは森の再生の時間を遡る体験です。他にも、この森には様々な生き物が住んでいます。なかなか直接見ることはできないのですが、クマゲラやエゾシカ、そしてヒグマの痕跡をガイドの導きで見つけていくと、動物たちの気配を生き生きと感じることができます。例えば、クマゲラという大きなキツツキがいまして、このキツツキが木を突いて虫を食べた跡が、探すと見つけられますが、私たちだけだとなかなか見つけることができません。そして、この森を切る森から見る森に変えようとした先人の思いと、それを実現しようと取り組まれている人の意思を感じることができました。
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青木 - そして、阿寒摩周国立公園ではガイド付きのカヌーツアーも体験されたそうですね。
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岡野 - はい。釧路川源流部をカナディアンカヌーに乗って旅をするカヌーツアーに参加しました。本当にキレイな水で、うっそうとした源流の世界を体験するので、静かな自然の音だけが体験できます。カナディアンカヌーならではの水鳥の目線で散歩することが出来ます。ヤマセミという非常にキレイな鳥が、私たちの先導役のように飛んでくれるんです。その川の水は冷たくて、すぐそこにヤマメが泳いでいるのが見えます。
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足立 - 夏の暑い時期に、涼みに行きたいですね。
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青木 - さぁ、続いてご紹介いただくのは【十和田八幡平国立公園 蔦沼の紅葉】です。十和田八幡平国立公園は青森、秋田、岩手の三県にまたがる国立公園です。蔦沼は、国立公園内にある「蔦七沼」と呼ばれる七つ点在する沼の一つです。紅葉シーズンには多くの人々が訪れる人気のスポットで、風のない日は湖面に紅葉した木々が映り込んで美しいんですよね。
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岡野 - はい。蔦沼という沼に映る紅葉がとてもキレイなのですが、丁度、展望台の後ろから朝日が昇ってきます。そうすると、夜明けとともに、照らされた紅葉が真っ赤に見えて美しいんです。しかしながら、近年はその様子を見ようと多くの人が押し寄せ、展望デッキが混雑しているため、展望デッキの外に出て、植物を踏み荒らしたり、あるいは、駐車場から車があふれ、渋滞になったりと利用環境、自然環境にも問題が起こっていました。
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青木 - 朝からそんなに大行列ができていたんですか?
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岡野 - はい。そうなんです。そこで、現在は展望デッキを完全予約制にし、また、協力金制度を設けて利用者数を調整することで、本当に静かな空間を楽しむことができますし、利用して払ったお金が自然環境保全の役に立つということで、とても多くの方々にご満足いただいております。このように人数を調整して、特別な限定体験をしていただくことが新たな価値を生むんじゃないかなと思います。
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足立 - せっかく行ったのに混雑していて、なかなか美しい景色を楽しめないことより、完全予約制にしていただいて、しっかりとキレイな景色を見る方が満足できますよね。協力金も自然の保全に利用されるのであれば納得もできるし、また行きたいなと思えるコンテンツになっているところがいいですよね。
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青木 - いくつかお話を聞いた中でも、絶対に行きたいと思う場所がありましたね。皆さんも是非、行ってみてはいかがでしょうか。
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岡野 - はい。是非、日本の国立公園に行き、その自然や景色だけではなく、その土地に暮らす人々、文化や食まで含めて、深く知って、体験いただきたいです。国立公園は、長い年月を掛けて地域の方々とレンジャーが協力して守り、形作られてきた「人と自然が共に生きてきた証」を体験する最高の場所です。是非、全国の国立公園に興味を持っていただければと思います。
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足立 - 今日の話を聞いて、「国立公園満喫プロジェクト」このワードを聞いたときにすごくワクワクしました。国立公園に行って、もっと楽しめることがあるし、この国立公園を私たちが助けることもできるんだと、色々学べました。
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青木 - 日本人だけど、国立公園について知らないことがたくさんありました。私が印象に残ったのは「国立公園をどのように将来に引き継いでいくか。」この視点の部分です。未来でも、日本人はもちろん世界中の方々にこの日本の美しい自然に触れて欲しいですから、自分に何ができるかということを考えていきたいです。
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