油断大敵 子どもの事故に御用心
普段から、子どもの事故に気を付けている方も多いかと思いますが、夏だからこそ、気を付けたいことがあります。今回は、「油断大敵 子どもの事故に御用心」というテーマで深掘りしました。

- ゲスト
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消費者庁
次長
黒田 岳士
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和4年(2022年)7月24日
- 時間
- 17分14秒
- 配信終了予定日
- 令和5年(2023年)7月23日
文字で読む
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青木 - 夏は活動的になるので色々な思い出があると思います。ただ、その一方で、開放的になることから、思わぬ事故も発生しやすい時期です。夏に多い子どもの事故といえば、どんなものが思い浮かびますか?
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足立 - やっぱり、海や川など水辺での事故が多い気がします。
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青木 - そうですよね。警察庁によると2017年から2021年の5年間で中学生以下の子どもの水難者は948名。年代別に見ると小学生が一番多く515名、その内、亡くなった方や行方不明となった方は76名もいるんです。特に夏は海での事故の割合が上がる傾向があるそうです。今年は3年ぶりに開設される海水浴場もあり、海のレジャーにお出かけする方も増えると思うので注意が必要です。ここからは消費者庁 次長 黒田 岳士さんにお話を伺っていきましょう。
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足立 - 早速ですが、黒田さん、海での事故を防止するためには、どんな点に注意したらいいんでしょうか?
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黒田 - まず、遊泳禁止エリアでは絶対に泳がないようにしてください。事故の発生場所を見ると、半数近くが遊泳禁止エリアで発生しているんです。海では、ライフセーバーや監視員がいる、適切に安全管理が行われている海水浴場で泳ぎ、遊泳禁止エリアには入らないようにしてください。
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青木 - 海は、離岸流という沖に向う強い流れが発生する場合があり、これにより沖に流されて水難事故になるケースが多いんですよね。
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黒田 - そうなんです。海水浴場における溺水事故の多くが離岸流によるものです。離岸流は河口付近や堤防沿いなど、岩場やテトラポットなどの人工物がある場所で発生しやすいので、そうした場所には近づかないようにしてください。
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足立 - でもやっぱり、混み合っている海水浴場では、空いている場所が魅力的に見えますが、そういう場所は遊泳禁止エリアだったりしますよね。事前に、しっかりと遊泳禁止エリアかどうかを確認してから泳ぐようにしないといけませんね。
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黒田 - 安全管理が行われている海水浴場かどうかは、行く市町村の観光協会のホームページなどで確認してみてください。昨年と比べて今年は開設される海水浴場が増えていますが、週末のみの開設という場合もありますので、事前に現地の状況をよく確認してから出かけるようにしてください。
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青木 - 週末のみの開設ということは、平日はライフセーバーの方がいないということが考えられますよね。後は、海では浮き輪などの遊具の使用にも注意が必要だそうですね。
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黒田 - はい。浮き輪などの遊具は潮の流れや風による影響を受けやすく、特に、形状が立体的で表面積が大きいもの、例えば鳥の形をしたフロート遊具と呼ばれるものは風の影響を受けやすいことが分かっています。過去には、そのような遊具に乗った子どもが風で沖に流され、溺れてしまった事故も発生しています。
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足立 - あのプカプカ浮いているのが楽しいんですけどね。風が強い時は、フロート遊具は使わないようにするのが大事ですね。
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黒田 - 天気だけでなく、潮の満ち引きも影響があります。海の状況は日ごと、時間ごとに刻一刻と変化しますので、 風の向きや波の高さ、潮の満ち引きをしっかりと確かめてから入るようにしてください。海上保安庁の「海の安全情報」というサイトや、ほかにも潮の満ち引きの時間が分かるインターネットのサイトなどがありますので、参考にしていただければと思います。
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足立 - 海や川に遊びに行くときは、天気しか気にしないので、潮の満ち引き、風の向き、波の高さなど、事前の備えが大切ということですね。
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黒田 - 事前の備えといえば、ほかにもあります。例えば、海で釣りを楽しむ方もいらっしゃいますが、釣りをしているときの子どもの水難事故の原因は、9割が海への転落です。万が一、落ちてしまったときのためにライフジャケットは必ず着用してください。最近の統計を見ると、海に落ちた方でもライフジャケットを着ていれば、亡くなったという方は見当たらないので、とにかくライフジャケットが一番重要だと思います。また、足場の悪い場所で釣りをする場合は、滑りにくく、かかとのある靴を履いてください。子どもには、堤防の縁から身を乗り出したり、立入禁止区域には絶対に入らないように事前に教えておくことも大切です。
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青木 - 夏は、プールで遊ぶことも多いと思いますが、プールで遊ぶ際に気を付けることはありますか。
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黒田 - プールは海とは違って、潮の流れなどの自然環境の影響は受けにくいですが、プールの水は循環していますので、排水口に近づいて吸い込まれるといった特有の事故に気を付ける必要があります。
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青木 - 近年、プールなどでは、空気で膨らませたすべり台や浮島など、大掛かりな水上遊具を提供する施設もありますよね。
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黒田 - そのような大きな遊具の下に潜り込むと抜け出すことが困難となる場合があり、大変危険です。絶対に潜り込んではいけません。また、水上遊具から落ちた際に、意図せず遊具の下へ潜り込んでしまうこともあり得ます。係員の指示に従い、注意事項、禁止事項を守って遊んでください。
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足立 - 今、聞いていて思ったのは、子どもの水辺での事故を防ぐには第一にルールを守ること。そして、大人が目を離さず手の届く範囲で見守ることが大切なんですよね。
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青木 - ここからは、夏に注意すべき子どもの転落・墜落事故について深掘りします。
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足立 - 子どもの転落・墜落事故が夏に多いってとは、黒田さん、どういうことですか?
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黒田 - はい。暑くなって窓を開けたり、ベランダに出る機会が増えるからなんです。消費者庁が、厚生労働省の人口動態調査を基に集計したところ、2016年から2020年までの5年間で、9歳以下の子どもの建物からの転落による死亡事故は21件発生しています。そのうち3割が7月から8月の間に集中して発生しているんです。
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足立 - どういう状況で転落・墜落が起こっているんですか?
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黒田 - やはり、保護者の方がいない、子どもだけで遊んでいるときに発生していることが多く、中でも「窓枠に座る・網戸に寄りかかる」「足場に登る」「物を取ろうとする」というケースもあります。
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青木 - いくつか事例を挙げますと、「子どものいる寝室の窓を開けて網戸にしていたら、子どもが網戸を背に腰掛けて寄り掛かり、網戸が外れて墜落した」「自宅の2階のソファによじ登り、窓から網戸を突き破り3メートル下の芝生に網戸ごと転落した」「家族を見送るために、ベランダの手すりの鉄棒を前まわりするときのようにつかまっていたところ、前のめりになって1階のコンクリートに落ちた」などといった事故が起きています。
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足立 - こうした事故を防ぐには、やはり子どもから、目を離さないということだと思いますけど、限界がありますよね。
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青木 - そうですよね。ですから、事故が起こらないように日頃から環境を整えておくことが重要になってくるんです。
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黒田 - はい。子どもは好奇心が強いので、外から聞こえてくる電車の音、家族や友達の声、犬の鳴き声などに反応して突然走り出し、手すりなどをよじ登って転落することがあります。まず、窓やベランダの手すり付近には、よじ登れないように足場になるようなものは置かないことが大切です。エアコンの室外機は、設置場所を決めるときには手すりから60センチメートル以上離すか、上から吊すなど、子どもの足場とならない工夫をお願いしたいと思います。また、窓を閉めていても子どもが勝手に窓を開けたり、ベランダに出たりしないように、窓や網戸には子どもの手の届かない位置に補助錠を付けたり、ストッパーをつけて、窓が大きく開かないように工夫することも有効です。
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青木 - 転落事故は建物からだけではありません。「抱っこひもからの転落」、「遊具からの転落」、「自転車からの転倒転落」などが発生しています。
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黒田 - 抱っこひもからの転落ですと、頭から落ちることで重症となる可能性が高いですし、公園などの遊具では50センチメートル以下のところからの転落も骨折などしてしまう場合もあります。
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青木 - 抱っこひもの場合では、実際、荷物を取ろうとした際に子どもが抱っこひもから転落し頭蓋骨骨折と、くも膜下出血を負った事故などが発生しています。
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黒田 - 抱っこひもによる事故は、正しい使い方がされていないことで発生してしまっている例が目立ちます。バックル類の留め具や、ベルトのゆるみ、子どもの位置など、取扱説明書をよく読んで正しく使っていただくようお願いします。そもそも、抱っこひもを付けているときは、前かがみにならないようにすることが大事だと思います。何か落し物をした場合は、周りの方が気付いて拾ってあげるなど、周りの気遣いが大切になってくると思います。抱っこひもをする、しないに限らず、物を拾うときは、しゃがむ癖を付けるなど、日頃から癖を付けることも大切だと思います。
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足立 - 抱っこひもの扱いに慣れてくると、気が緩んでしまうケースもあるのかもしれないですね。
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青木 - 自転車の転倒転落による事故についてはどのように発生しているのですか?
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黒田 - はい。幼児用の座席の付いた自転車での事故が継続的に起きています。走っているときに、段差を乗り越えようとして転倒したり、子どもを乗せたまま自転車から離れた際や、子どもの乗せ降ろしをする際に転倒する場合が見られます。
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足立 - 走行中以外でも事故は発生しているんですね。このような事故を防ぐためにはどうしたらいいんでしょうか。
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黒田 - まず、自転車に子どもを乗せる前に、必ず自転車用のヘルメットを被せるようにしてください。また、乗せた後はすぐにシートベルトを着用させてください。できるだけ段差の乗り越えは避けるようにし、停車中も子どもを乗せたまま自転車を離れたり、目を離したりしないようにしてください。
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青木 - 幼児用の座席の付いた自転車は、子どもとの外出に便利な交通手段です。安全・安心に利用するためにも交通ルールを守ることや、自転車の定期点検をしてもらうのも大切です。
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黒田 - 子どもを事故から守るため、大人がずっと目を離さないでいられるかというと難しいと思います。ですから、何が、どこが危険なのかを日頃から確認し、事前に環境を整えておくことが大切です。明日、7月25日から31日は子どもの事故防止週間です。この機会に改めて身の回りで起きる事故について考えていただきたいと思います。
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足立 - 今日の話で印象に残ったのは、どのことに対しても第一にルールを守ることが大事なんだと思いました。取扱説明書を読んで、確実に守っていくことで事故を減らしていけると思いました。
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青木 - この時期、やはり水辺での事故は大変怖いので、改めて大人であっても、子どもであっても、海や川のレジャーを楽しむ際はライフジャケットを必ず着る。これも大事ですよね。
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