今こそ考えよう! 暮らしを支える税の世界
時代の流れや変化に合わせて毎年、税制が見直されています。私たちの暮らしに関わる身近なことだからこそ、“税”について改めて知って、話していきましょう。今回は、「今こそ考えよう! 暮らしを支える税の世界」というテーマで深掘りしました。

- ゲスト
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財務省
主税局 総務課 企画官
和田 良隆
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和4年(2022年)7月3日
- 時間
- 18分34秒
- 配信終了予定日
- 令和5年(2023年)7月2日
文字で読む
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青木 - 今日は“ある会費”を深掘りしていくんですけど、足立さんは日頃、何かに会費を払っていますか?
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足立 - 動画配信サービスにいくつか入っていますし、音楽もそうですよね。
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青木 - 私たちは何らかのサービスを受けるために会費を払っていますよね。今日、深掘りするのは、そんな数ある会費の中でも、ほぼ全ての国民が払っている会費です。足立さんは税金をちゃんと納めていますよね。
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足立 - もちろんです。個人事業主として所得税をしっかりと納めていますし、食料品や服なども買っていますから、消費税も納めていますよ。
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青木 - 一口に税といっても様々な税があります。ここで改めて整理しておくと…、何に対して税の負担を求めるかで、 大きく分けると【所得に対する税】【消費に対する税】【資産などに対する税】この三つに分けられます。【所得に対する税】とは、主に所得税、法人税、住民税。【消費に対する税】とは、主に消費税、酒税、たばこ税。【資産に対する税】は、主に相続税、贈与税、登録免許税です。こうした税の種類は40以上あるんです。
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足立 - 思ったより多かったので、私が知っているものは少ないかもしれません。
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青木 - 納められた税金は、水道や道路などの社会資本整備、年金や医療などの社会保障・福祉、教育や警察、消防、防衛など、私たちの暮らしに関わる様々な公的サービスの提供に使われています。突然ですが、足立さん、『うんこドリル』ってご存知ですか?
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足立 - もちろんです。大ヒットしてますからね。
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青木 - はい。ではここで、その『うんこドリル』と財務省主税局がタッグを組んで作った『日本一楽しい税金ドリル』から問題です! 子ども一人が公立の小学校を卒業するまでに、どれだけの税金が使われていると思いますか? 小学校で6年間学ぶために使われる税金です。
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足立 - 100万円でしょうか?
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青木 - 答えは、今日のゲスト、財務省主税局総務課企画官 和田良隆さんに伺いましょう! 早速ですが和田さん、答えをお願いします!
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和田 - 子ども一人が公立の小学校を卒業するまでに使われる税金は…およそ500万円となっています。
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足立 - そんなにかかっているんですか!?
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青木 - 校舎、教科書、机、椅子、体育で使うボールなど、こうしたものに税金が使われていて、子ども一人当たりで計算するとおよそ500万円という額が導き出されるそうです。
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和田 - ご存知のように子どもには教育を受ける権利があります。国や地方自治体には、子どもが教育を受けられるように環境を整える役割があります。「お金がある人だけが学校に行けて、お金がない人は学校へ行けない」そうした世の中にならないように、税金を活用して、誰でも平等に学校へ行けるようにしているんです。
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青木 - 平等というのはとても大事な視点で、例えば、「お金がないと火事の時に消防が来てくれない」「警察から守ってもらえない」となると、世の中、安定しないですよね。
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足立 - それでは安心して暮らしていけないです。
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和田 - そうなんです。そのために、教育、防衛、警察、また、社会保障といった機能は公的サービスによって提供されています。ただし、公的サービスには費用が掛ります。よって、税金という形で国民の皆さんに広く公平に分かち合うことが必要です。こういった仕組みは、公的サービスを利用するために一人一人が、会費を払っているともいえるので、税は【社会の会費】であると表現されることもあります。
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足立 - 今、その社会の会費、いわゆる税金はどれくらい集まっているんですか?
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和田 - 最新の令和4年度の予算における税収は65.2兆円を見込んでいます。本来、国が使うお金である歳出は、税収等で調達すべきですが、令和4年度予算においては、税収で歳出全体の約3分の2程度しか賄えておらず、残りの約3分の1は公債金、すなわち、国による借金に依存している状況です。
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青木 - この借金というのが、国債です。国債を発行して投資家からお金を借り入れているということです。借金は利子をつけて後で返さなければならないので、今、必要な費用の負担を子や孫の世代へ先送りにしている状況ともいえるんです。
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足立 - どうして、こういう状況になっているんですか?
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和田 - はい。日本の歳出が、近年、一貫して伸び続けている一方で、その伸びに見合うほどの税収が確保できていないからです。
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足立 - 税収が伸び悩んでいるのなら、単純に歳出を抑えればいいと思うんですけど、そういう訳にもいかないということですよね。
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和田 - 国の歳出のうち最大の支出項目となっているのは【社会保障関係費】、つまり年金、医療、介護の分野です。そして、日本は他国に類を見ない速度で高齢化が進んでおり、社会保障関係費が増え続けています。社会保障制度の基本は社会保険料による支え合う制度ですが、保険料のみでは現役世代に負担が集中してしまうため、税金や国による借金も充てて制度を維持しています。
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足立 - 高齢者が増えていることも関係してくるでしょうし、今は新型コロナウイルス感染症への対応のためにも税金が使われているんですよね?
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和田 - はい。新型コロナウイルス感染症への対応では、医療提供体制の確保として、例えば、ワクチンの接種体制の整備などにも税金が使われています。もちろん必要な対応ではあるのですが、これらによって足元では、歳出が大幅に拡大しています。
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青木 - 限られた税収の中でそれをどのように配分するかについては、慎重な議論が必要ですね。消費税が8パーセントから10パーセントに引き上げられたのは2019年の10月からですけど、足立さん、なぜこうした税制の改革が行われたと思いますか?
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足立 - 借金に頼らなくてもいいように税収を確保するためでしょうか。
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和田 - 消費税が8パーセントから10パーセントに引き上げられた背景として、高齢化に伴って増加する社会保障費を賄うために安定的な財源確保が必要となっているということが挙げられます。また、消費税率引上げによる増収分は、高齢者中心となっていた社会保障制度を拡充し、子育て世代や現役世代などにも活用できるようにし、今後、社会保障の支え手が増やていくように努めています。このように、税制は人口減少、少子高齢化など経済社会の構造変化に対応して常に見直しが行われているということになります。
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青木 - 消費税率の引き上げほど大きな改正でなくても、毎年、国会で話し合いがなされ、見直しが行われているんです。和田さん、今年度も税制が見直されましたね。
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和田 - はい。今年度の税制改正のキーワードは【賃上げ】と【住宅ローン】です。まず【賃上げ】からご説明します。現在、伸び悩んでいる日本の経済を持続的に成長させるためには、成長を促し、成長の成果をしっかりと分配して次の成長につなげる、成長と分配の好循環の実現が必要と考えられています。そのために重要となるのが【企業による賃上げ】です。
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青木 - 足立さん、日本の平均賃金はいくらだと思いますか?
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足立 - 平均ですか? 大体月30万円くらいなんじゃないですか? なので、360万くらい!
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青木 - OECDのデータによると、2020年は年におよそ424万円で、この額はこの30年間ほとんど上がっていません。欧米などは徐々に上がっていて、アメリカの平均賃金はおよそ763万円で、30年間で1.5倍に増えています。和田さん、この状況をなんとか変えたいというのが日本の経済界、 そして日本全体の課題でもありますよね。
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和田 - はい。この状況を抜本的に変えるために、様々な政策が総動員されています。税制においても、民間企業に対して積極的に賃上げを促す観点から、継続して雇用されている方々の給与総額を一定以上増加させた企業に対して、 法人税額を控除する措置、いわゆる「賃上げ促進税制」が今年度、講じられました。こうした制度は従来からありましたが、今回、これを更に拡充したんです。
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足立 - これは企業にとってもメリットのあることなんですよね。これによってお給料が上がる方がいるかもしれないんですね。では、【住宅ローン】についてはどんな税制改正が行われているんですか?
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和田 - 住宅ローン控除の見直しでは、【カーボンニュートラル】に向けた対応が一つの論点でした。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量から、森林、植林、森林管理などによる吸収量などを差し引いて、実質的に排出ゼロにすることを意味しています。政府は、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言し、これを踏まえて、住宅ローン控除制度を見直しました。
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青木 - 住宅ローン控除制度というのは、住宅を購入する際にローンを組んだ場合、そのローンの年末残高に応じて所得税から一定の額が差し引かれる減税制度です。サラリーマンだと、年末調整といって年末が近づくと住宅ローンに関する書類を提出したり、人よっては、確定申告の際に、手続きしたりする制度ですね。
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和田 - 具体的には、省エネ性能の高い認定住宅について、借入限度額を上乗せするなど、省エネ性能の高い住宅の購入を促進して、2050年カーボンニュートラルの実現を目指していくこととされています。このように税制の見直しは時代の変化に合わせて行われています。財務省では本日お話しした税制改正について、わかりやすくまとめたパンフレットや動画をホームページで公開していますので、是非、ご覧いただければと思います。
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青木 - また、前半でご紹介した財務省主税局とうんこドリルのコラボにより生まれた小学生向けの勉強ドリル『日本一楽しい税金ドリル』も公開しています。【税制 パンフレット】で検索すると、財務省の税制関係パンフレットのページをすぐに見つけることができます。
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足立 - 今、私も『日本一楽しい税金ドリル』を見ていますが子どもと一緒に、楽しめるドリルだなと思いました。
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青木 - 親子で楽しめるドリルですよね。
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和田 - このドリルは是非、家族で一緒に見ていただければと思います。子どもたちに、税制、税金に馴染みを持っていただければと思い、作らせていただきました。また、税に関するパンフレットを活用して、多くの方に社会を支える税の在り方について主体的に考えていただければと思います。
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足立 - 税の世界に対して、ちょっと苦手意識を持っていたんですが、今日の話を聞いて、プラスに考えていければと思ったのと、小さいころから学べていたら、もう少し変わっていたのかなと思いました。小学生向けに作られた『日本一楽しい税金ドリル』このドリルで、子どもたちと一緒に税金について学び、ポップに楽しい話題として皆が話せるような空気感になればいいなと思いました。
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青木 - 私が今日の話の中で印象に残ったのは、今年度の税制改正のキーワードの一つとして挙げられていた【賃上げ促進税制】です。やはり、日本は30年間賃金が上がっていないのは大きな課題ですから税制面から、こういったサポートが入って、何とか日本の賃上げにつながってほしいなと思います。
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