おしゃれの新常識! サステナブルファッション
私たちが普段、何気なく選び、着ている服。これからは、環境のことを考えた服選びや行動がポイントに。今回は、「おしゃれの新常識! サステナブルファッション」というテーマで深掘りしました。

- ゲスト
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環境省
環境省「ファッションと環境」タスクフォース
金井塚 彩乃
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和4年(2022年)6月5日
- 時間
- 17分51秒
- 配信終了予定日
- 令和5年(2023年)6月4日
文字で読む
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青木 - 衣替えシーズンですね。足立さん、最近のお気に入りファッションは、どんなことに気を配っておしゃれをしていますか?
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足立 - 私は、流行に合わせるというよりは、自分の身体に合った形を好んで選びますね。
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青木 - では、足立さんが着ているその服1枚が製造されて店頭に届くまでに、どれくらい地球環境に影響を与えているかご存知ですか?
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足立 - すごく影響を与えていると思うんですが、どれくらいなのかは分かりません。
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青木 - 想像を超える様々な影響を与えているんです! 今日は【おしゃれの新常識! サステナブルファッション】というテーマで深掘りしてまいります。
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足立 - 最近、「サステナブルファッション」というワードをよく耳にするようになりましたね。
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青木 - そうですね。持続可能なファッションというと難しく聞こえますが、環境に優しいファッションというイメージですね。
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足立 - 先ほど、例えば、私のこの服1枚が製造されて店頭に並ぶまで、地球環境にどのような影響を与えているんですか? と聞かれましたが、どれくらい影響を与えているんですか?
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青木 - 平均すると、服1枚当たり、CO2の排出量は500ミリリットルのペットボトルを255本分製造するのと同じ分くらい。水の消費量は、浴槽のおよそ11杯分です。
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足立 - なんで、服1枚でそんなに影響があるんですか?
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青木 - 衣服が作られる過程を想像してみてください。まず、原材料の調達段階から大量の水が使われ、また、CO2が排出されます。例えば、綿花を栽培するときには大量の水をまきます。羊毛を生産するために羊を育てますが、その羊にも水を与えますし、エサもたくさん必要です。さらに、合成繊維を作る際には石油資源が使用されています。そうして調達された原材料は、工場などで糸や生地に仕立てられ、染色が行われ、裁断・縫製の段階を経て完成します。
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足立 - 工場では機械を動かすためにエネルギーが使われるのでCO2が排出されますし、染色にも大量の水を使いますよね。
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青木 - しかも、日本で売られている衣料品の98パーセントが海外からの輸入です。そのため、こうした影響の多くは海外で発生しているということになります。
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足立 - 私が着ているこの服1枚は、他の国々に大きな環境負荷を掛けて出来上がっているんですね。
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青木 - そして、地球はつながっていますから、この環境負荷は回り回って私たちの暮らしにも影響します。ここからはスペシャリストと一緒に深掘りしていきましょう! 環境省・「ファッションと環境」タスクフォースの金井塚彩乃さんです。
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足立 - 金井塚さん、ファッション業界が環境に与える影響は非常に大きいんですね。
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金井塚 - はい。今、お話に挙がっていたのは、ファッションが環境に与える影響のほんの一部にすぎません。例えば、私たちは衣服を購入して着用する中で、何度も洗濯をします。その洗濯の際に海に流れ出る合成繊維の糸くずは、マイクロプラスチックファイバーとなって海の汚染につながってしまいます。
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青木 - 着なくなった衣服をそのまま捨てることも問題ですよね。
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金井塚 - はい。1年間で家庭から手放される衣類の総量のうち、リユースやリサイクルなどにより循環しているのはわずか3分の1。3分の2が廃棄され、焼却や埋め立てをされてしまいます。
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足立 - つまり、衣服は製造段階だけでなく、使い終わった後も環境に様々な負荷を掛けているんですね。
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青木 - さらに、ファッション業界は環境以外にも課題を抱えているんです。
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金井塚 - はい。ファッション業界は90年代から大量生産・大量消費の傾向が進み、2000年代にはいわゆるファストファッションが普及しました。これにより、過去30年間で見ても、日本国内の衣料品の供給量はおよそ2倍に膨れ上がっています。ところが、供給量は増えているのに、市場規模は減っているんです。これはつまり、単価の安い衣服が多く流通しているということです。衣服が安く買えることは消費者にとっては良いかもしれませんが、これは原材料の単価と人件費を減らすことで実現しているため、経済にも悪い影響を与えており、ファッション業界の課題であると思います。
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足立 - ファストファッションのお店は、子供の頃からお世話になっていました。流行のものが安く買えることは便利ですが、その影響も考える必要があるんですね。
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金井塚 - そうですね。さらに、2013年にバングラデシュの縫製工場の入ったビルが崩壊して1,000人以上が亡くなったという事故を覚えている方もいると思いますが、人権という観点でも問題が指摘されています。
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足立 - 日本に住んでいると、海外で起こっているこうした問題に気付きにくいですね。
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青木 - どうしても、身近なところで起こらないと、なかなか意識は向かないですからね。
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金井塚 - そうなんです。そのため近年ではファッション業界も少しずつ変化していて、環境や人権など衣服の生産背景の透明性を求める動きが活発化しています。
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青木 - ファッション業界の生産背景は、まだわからないことが多いんですよね。
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金井塚 - はい。一昨年から環境省では実態調査を進めており、例えば、1年に新たに供給される衣服はおよそ82万トンと推計しているのですが、このうち、いわゆる売れ残り、在庫がどれくらいあるのか、その在庫はどのように処分されているのかなどは、まだ正確にはわかっていません。そのため、これからも透明性の向上に取り組むとともに、消費者の方々にもサステナブルファッションに興味を持っていただき、ライフスタイルを見直すきっかけにしていただきたいと思っています。
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青木 - 環境省が取りまとめたアンケートによると、サステナブルファッションに関心があるという人が全体のおよそ6割いる一方で、そのうち9割ほどの人が行動に移せていないそうです。
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足立 - どれがサステナブルで、どんなことをしたらいいのか、分からないところがあるので、具体的に何をすればサステナブルなのか知りたいです。
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金井塚 - サステナブルファッションに向けては、大きく5つのアクションがあります。
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青木 - では、その5つを順に伺っていきましょう! まず一つ目は、【今、持っている服を長く大切に着よう】!
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金井塚 - 1着と長くお付き合いする、これだけでもサステナブルへ向けたアクションです。サイズが合わなくなったり、破れたりしたら終わりではなく、お直しやリペアなど、手を加えて着続ければ、愛着が増すのではないでしょうか。
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足立 - おしゃれの上級者は、ただお直しするのではなく、デザインなどを工夫して全く新しい別の新しい服にして楽しんでいますよね。着物をワンピースにしたり、ジーンズをスカートに作り替えたり。そうすることで、一点物としてオリジナリティが出ておしゃれですよね。
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青木 - ドン小西さんが言っていたのですがファッションも循環しているから、昔の洋服を着てみると、意外とフィットしている時があるそうです。では、二つ目のアクションは、【リユースで楽しもう】。
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金井塚 - 近年はフリマアプリを活用して古着などが手に入りやすくなりました。こうしてリユースを進めることは衣類の廃棄を減らすことにつながります。また、ファッション業界でも服やバッグなどを定額でレンタルできるサブスクリプション・サービスが増えています。こうしたサービスを活用したり、家族・友人同士で服をシェアして楽しむこともサステナブルです。
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青木 - これまでは、結婚披露宴や卒業式、成人式など特別な時に着る衣服をレンタルするイメージでしたけど、最近の若い方は日常的に着る服もレンタルしてるそうですよ。
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足立 - さっき、青木さんが言っていたように回り回って、昔の服も着られるということですが、今は、短い丈のトップスや厚底シューズが流行っているんです。それこそ、母親世代がフリマアプリに出品している古着を買って着る、そういう楽しみ方を自然としている人が多いかもしれないです。
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青木 - そうですよね。では、サステナブルファッションへ向けたアクション、三つ目は【先のことを考えて買おう】です!
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金井塚 - 購入する際は、本当に必要か見極めてから買う、また、長く着られる品質のものを選ぶ、これもサステナブルなアクションです。環境省のアンケートでは、1年間で1回も着られない服が平均で一人当たり25着もあるという結果も出ています。
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青木 - これは言われてみるとギクッとする部分もありますよね。衝動買いしても着るのであればいいですけど、着ないで数年後に捨てることは避けたいですよね。長く着られる品質のいいものは値が張りますけど、やはり丈夫ですし、長い目で見るとお得だという考え方もあります。
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足立 - 私も最近ようやくそういう考えに変わってきました。いいものは形もいいですし、やっぱり長く使えるなぁと。
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青木 - いいものの信頼の一つが、長年愛されているブランドだったりしますよね。そして、ブランド物だと、フリマアプリで売れやすいという傾向はありますよね。続いて四つ目のアクション【作られ方をしっかり見よう】です。
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金井塚 - 最近は衣服の素材や生産ルートなどをホームページなどで公表している企業も増えてきたので、確認してみてください。また、商品タグや表示ラベルから再生素材などサステナブルな素材の商品を 見つけて選ぶのもいいですね。
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足立 - タグに二次元バーコードが付いていて、それを読み取ると、その衣服の生産ルートをたどれるようになっているものもありますよね。
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青木 - これは、生産者側、企業の意識も変わってきたという表れでもありますよね。では、最後、五つ目のアクション【服を資源として再生利用しよう】です。
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金井塚 - 古着を回収している自治体もありますし、店頭で回収してくれる企業も増えています。こうした場所に設置された回収BOXに古着を持ち込めば、着られる服、着られない服に分けられ、着られる服は寄付やリユースに回されます。着られない服はパーツごとに分けて、いろいろな形でリサイクルされます。近年は、服の原料を化学的にリサイクルして、再び糸にして、新しい服を作る最先端技術も誕生しています。
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青木 - 服から服を作るということですよね。
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金井塚 - こうした取組はコスト面などに課題がありますが、これからの循環型社会に求められている取組です。古着をわざわざ持っていくのは面倒と思われる方も少なくないと思いますが、この一手間がリサイクルに力を入れている企業を応援することにもつながります。
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足立 - 私たちの一つの行動で全体が変わるかもしれないですよね。でも、こうした行動をみんなが執るようになると、企業は利益がでなくなるのではないですか?
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金井塚 - これまでは環境に優しいことはコストが掛かり利益がでないと考えられていましたが、社会全体がサステナブルな方向へ向かっている今、そのための技術革新なども起こり、逆に成長につながるという考え方もあります。また、単価の安い衣類が大量に流通した結果、市場規模は減ってしまっているということもご紹介しました。今後、企業は、「大量生産・大量消費・大量廃棄」の一方通行型ではなく、「適量生産・適量購入・循環利用」の循環型にビジネスモデルを変えることが求められています。そして、消費者にも環境や社会問題などを解決するサステナブルな行動が求められているんです。
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足立 - みんなが意識しないでも、当たり前にサステナブルなファッションを身につける時代が来るといいですよね。
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青木 - ファッション業界に限らず、大企業ではサステナブルな方向に向けて考える部署がありますから、社会全体として意識が変わっていくと、私たち消費者の行動も絶対変わってきますよね。
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金井塚 - 今日6月5日は環境の日で、6月は環境月間です。これを機に、ファッションとの向き合い方を考えるきっかけにしてみてください。
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足立 - 今日の話を聞いて、ちょっとでもファッションに対して意識を変えることが大事だとわかりました。その中でも、【リユースで楽しもう】というワードが気になっていて、それこそ、フリマアプリを活用して、自分が着てみたかった洋服を試したり、サブスクもそうですが、自分に合ったやり方で「リユース」を楽しんでいければいいのかなと思いました。
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青木 - 私も同じくサステナブルファッションに向けた5つのアクションの中にある【作られ方をしっかり見よう】が印象に残りました。自分の中に意識として欠落していた部分だったので、どのように商品が作られていたか、どれくらい環境に負荷が掛っていたか。そういうことまで考えてこなかったので、この意識をしっかり持ちたいなと思いました。
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