相談してみませんか ギャンブル等依存症
あなたの周りや家族に、思い当たる方はいませんか?ギャンブル等依存症から回復するには、本人だけでなく、家族や周りの方の協力も大切です。今回は、「相談してみませんか ギャンブル等依存症」というテーマで深掘りしました。

- ゲスト
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内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局
参事官補佐
武藤伴夫
ストリーミング(音声で聴く)
- 放送日
- 令和4年(2022年)5月15日
- 時間
- 17分15秒
- 配信終了予定日
- 令和5年(2023年)5月14日
文字で読む
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青木 - 【依存症】というと、足立さんはどんなものを思い付きますか?
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足立 - アルコール依存症、薬物依存症、最近は、スマホ依存症やゲーム依存症という言葉も時々耳にしますね。
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青木 - 今日、深掘りするのは【ギャンブル等依存症】。競馬や競艇などの公営競技やパチンコなどにのめり込み、日常生活や社会生活に支障が生じる状態のことをいいます。ギャンブルをやめられないメカニズムは、アルコール依存症や薬物依存症と似ている点が多く、医学的には、アルコール依存症などと同じ分類である「ギャンブル障害」として位置付けられています。
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足立 - 特徴的な症状には、どんなものがありますか?
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青木 - 例えば…「ギャンブルで勝った時の興奮を追い求めて、賭け金の額がどんどん増えてしまう」「つらい気持ちを紛らわすためにギャンブルを繰り返す」「ギャンブルで負けたお金を取り戻そうとして、またギャンブルをする」「ギャンブルにはまっていることを隠すために嘘をつく」「ギャンブルで借金を作り、誰かに金の無心をする」などです。こうした症状から、借金が膨らんでしまい、盗みや詐欺、横領などの犯罪につながったり、失業や自己破産に陥り自殺など深刻な問題を引き起こすこともあり、ギャンブル等依存症には早期の相談、治療が必要とされているんです。
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足立 - ギャンブルは適度に楽しんでいる人もいるのに、なぜ依存症になってしまう人がいるんですか?
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青木 - そうですよね。そこで、ここからはギャンブル等依存症の対策に取り組んでいる方と一緒に深掘りしていきましょう。内閣官房 ギャンブル等依存症対策推進本部事務局 参事官補佐 武藤伴夫さんです。
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足立 - 武藤さん、ギャンブル等依存症になる人には何か特別な理由があるのでしょうか。
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武藤 - 特別な理由があるとは考えていません。ギャンブル等依存症は、ギャンブルをする人なら誰もがなり得るものなんです。その背景は人それぞれですが、中には、様々なストレスや孤独感、不安や不満、生きにくさなどを抱えている方がいると言われています。仕事や生活に行き詰まったことをきっかけにして、ギャンブルを始めて“のめり込み”に至ってしまうことがあります。また、若い頃にした初めてのギャンブルで、たまたま勝ったことがきっかけとなり、依存症になる場合も多いと言われています。
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足立 - いわゆるビギナーズラックですね。
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青木 - 毎年5月14日から20日は「ギャンブル等依存症問題啓発週間」です。今年は、これに合わせてギャンブル等依存症を克服された方やそのご家族などから体験談を募集したところ、2か月で200以上の体験談が寄せられたそうです。この体験談の中には「大学生の頃にギャンブルを始め、徐々に快感を覚えてのめり込んでいった」という内容のものが多かったんですよね。
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武藤 - はい。例えば「大学時代に友人に誘われたなど、何気ないことからギャンブルを始め、徐々にはまっていき、就職後は給料の全てをギャンブルに使うほどになり、消費者金融から借金を繰り返す」という方が多い印象を受けました。初めて消費者金融から借りる時は緊張しても、2回目以降は慣れてしまうという話は非常に印象的でした。
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足立 - 借金をすることの怖さよりも、ギャンブルによる快感の方が忘れられなくなるんですかね。
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武藤 - ギャンブル等依存症の人は、勝った時のことはよく覚えているのに、負けた時のことはよく覚えていない、という特徴もあります。また、「好きな人がギャンブルの話をしているのを聞いて、話を合わせたいためにギャンブルを始めたところ、すぐに大当たりして、少しずつはまっていった」というように、好きな人、交際相手などがきっかけになる場合もあります。
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足立 - 「好きな人と話を合わせたい」という目的が、ギャンブルを経験していくうちに「ギャンブルをやりたい」という目的に変わってしまう場合があるんですね。
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青木 - 自分自身も目的が変わっていることに気付かないのでしょうね。
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武藤 - そういうこともあると思います。ある女性の場合、好きな人がきっかけでギャンブルを始めたそうですが、ビギナーズラックからのめり込んでしまい、そのうち消費者金融でお金を借りるようになったそうです。負けるたびに「もうやめよう」と思うそうですが、数日たつと「またやろう」となり、多額の借金を抱え、不安から不眠に悩み、その後も「もうやりたくない」と思いながらもギャンブルを繰り返す生活が続いたそうです。
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青木 - ギャンブルをやめたくてもやめられないのは、他の依存症と同じように脳内に変化が起こるからと考えられています。こうなってしまうと、自分がどんなにやめようと思っても、やめられなくなってしまうんですよね。
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武藤 - そのため、少しでも早く依存症に気付いて、相談窓口や専門の医療機関につながり、その人に合った対処方法を見付けることが大切なんです。しかし、実際には自分が依存症の疑いや兆候があることに気付かず、また、家族も気付いてやれず、相談までに数年掛かるケースが多いのが現状です。
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青木 - 先ほど、症状の一つに「嘘をつく」とありましたが、周りの人も嘘をつかれていたら、分からないですよね。
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足立 - そうなると、周りが気付いてあげたいけど、気付かないこともありますよね。
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青木 - ギャンブル等依存症は早期の相談と適切な対応が必要ということで、ここでは依存症から抜け出すために、本人や家族、周りの人が心掛けることを伺わせてください。
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武藤 - ギャンブル等依存症の方々は負けが続いても最終的には勝てると確信していたり、先ほどもお話ししましたが、勝ったことはよく覚えていても負けたことは覚えていないなど、ギャンブルに対する考え方が 偏っている方もいるようです。依存症の対処方法は人それぞれですが、治療という観点では、考え方の偏りを見直したり、日常生活を変えることでギャンブルをしたい気持ちを減らす認知行動療法が有効と言われています。
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青木 - そのためにも、相談窓口に連絡したり、専門の医療機関を受診したり同じ悩みを抱える人たちが互いに支え合う自助グループに参加することが重要なんですよね。
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足立 - ただ、こうした依存症の場合、本人が依存症に気付くのには時間が掛かってしまう場合が多いと思いますが、そういう場合は、どうしたらいいのでしょうか。
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武藤 - はい。したがって家族は、ギャンブルをしている人が家庭を顧みなくなったり、お金の無心をするなどの変化が見られたら、ギャンブルにのめり込み始めている可能性を考えて、なるべく早く相談窓口や医療機関にアクセスしてください。決して家族だけで抱え込んではいけません。
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青木 - 最も注意をしてほしいのは、お金を貸したり、借金を肩代わりすることなんですよね。
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武藤 - はい。子供の借金を親が肩代わりしたり、夫の借金を妻が肩代わりするケースが非常に多いのですが、それは、依存症の方が依存症を続けるのを手助けしているだけであり、逆に回復の機会を奪うことにつながっているということを理解する必要があります。
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足立 - 助けたくなる気持ちはわかりますけどね。借金がなくなっても、ギャンブルをしたいという欲求はなくならないですよね。
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武藤 - そのような欲求にどのように対処していくかについても、 相談窓口や専門の医療機関に早期に相談していただければ、 その人に適した解決方法が必ず見つかると思います。 中には、専門の医療機関や自助グループに通い、考え方や生活習慣を 変えていく必要がある方もいらっしゃると思います。
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青木 - やはり早期であることが大事なんでしょうか?
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武藤 - そうですね。やはり、時間が掛かってしまいますと、 その分だけ症状が重くなってしまう可能性がありますので、 できるだけ、早期に相談していただきたいと思います。
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青木 - ここからは、体験談をご紹介します。ある男性の体験談です。妻に促されて自助グループに行ってみたところ、初めは「自分はここにいる人ほどひどくない」と感じて通わなかったそうです。ところが、その後もギャンブルを止められず、借金が膨らみ、妻とも別居。自殺も考えるようになってしまい、再び自助グループに通うようになり、現在は、自助グループで仲間とつながり続けることで、ギャンブルの衝動が 起きないようにしているそうです。
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武藤 - ある女性は、自助グループで同じ悩みを持つ仲間とつながったことで、「借金をしない」「嘘をつかない」「ギャンブル場にはいかない」という約束をして一日一日を生きているそうです。
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足立 - 依存症から回復するには、本人の「回復したい」という強い意志と、それを支える仲間の存在が必要なんですね。
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武藤 - はい。ギャンブル等依存症は本人の意志だけで回復することはなかなか難しいと言われています。また、家族も辛い思いをする場合が多いため、気兼ねなく、家族も相談窓口に相談したり、自助グループへ参加することを勧めています。
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青木 - ある母親の場合は、大学生の息子がギャンブルにのめり込んで、友達から借金をしていたことが発覚したため、息子がしたことは親の責任と思い、借金を全て肩代わりしたそうです。就職すれば真面目な息子に戻ると信じていたそうですが、息子はその後も借金を繰り返し、暴れたり、暴言を吐くなど人格も変わってしまいました。すると母親は「自分の育て方が悪かった」と自分を責めるようになり、「もう限界だ」と感じて自助グループに参加するようになったそうです。そこで自分と同じ経験をした仲間と出会い、依存症の知識を得ることができたことで、息子の借金を肩代わりすることは間違いだったと気付くことができたそうです。
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武藤 - 自助グループの存在を知っていても「誰にも知られたくない」「おかしいのはギャンブルにのめり込んでいる人なのだから自分が自助グループに通うのは嫌だ」と思う方も多いようです。でも実際に自助グループへ行くと、同じような体験をした仲間がたくさんいて、誰にも話せなかったつらい体験を聞いてもらうことができたり、これからどうしていけばいいか解決策を見つけることができるので、できるだけ早く相談できる場所につながること、そして、依存症についての知識を得ることがとても大切なんです。
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青木 - 実際に、ギャンブル等依存症になっている本人だけでなく、その家族も自助グループに参加する意味があるということですね。【依存症対策全国センター】のホームページでは、全国の相談窓口、医療機関を検索することができるほか、自助グループについても紹介しています。気になる方は是非、アクセスしてください。
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武藤 - 毎年、5月14日から20日はギャンブル等依存症問題啓発週間です。内閣官房のホームページでは、依存症を克服された方の体験談を紹介しています。ギャンブル等依存症は早期に気付き、適切に対処することが大切です。気になる方、またはそのご家族などは、是非一度、ご覧ください。そして、もし今、ギャンブル等依存症かも?と悩まれている方は一刻も早く関係機関に相談してください。
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足立 - 今日の話を聞いて、勉強になることがたくさんありました。やはり、ギャンブル等依存症で悩んでいる方、ギャンブル等をやめたいと思っている方もいると思うので、【依存症対策全国センター】のホームページで全国の相談窓口や医療機関を検索することができますし、自助グループについても紹介されているので、心当たりのある方は是非、検索してほしいなと思いました。
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青木 - 私が印象に残ったのは、ギャンブル等依存症に悩んでいる本人だけでなく、家族も相談窓口に相談したり、自助グループに参加することが勧められていることです。本人の問題だけではなく、家族全体の問題になってきますから、是非、相談していただきたいです。
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