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メディア別の政府広報

内閣府大臣官房政府広報室が企画・制作した各種広報をメディア別に紹介しています。

ラジオ番組

令和3年(2021年)6月27日放送

青木源太・足立梨花 Sunday Collection

顔の見える国際協力 法制度づくり支援の世界(文字で読む)

ゲスト
  • 法務省
    法務総合研究所 国際協力部 副部長
    須田 大

日本が行っている国際協力の一つに、寄り添い型と言われる支援があるのをご存知でしょうか。今回は、〝見聞を広げるオトナの社会科見学企画″!「顔の見える国際協力 法制度づくり支援の世界」というテーマで深掘りしました。

青木
今日は、国際協力について深掘りしていきます。国際協力は、世界の平和や安全、発展を目指して、対象となる国や地域の人々を支援することですが、足立さんは、日頃どのような国際協力が行われていると思いますか。
足立
医療支援や、災害時の支援などでしょうか。
青木
ほかにも、様々な支援があると思いますが、今日深掘りするのは、法制度づくりを支援する国際協力です。
足立
法制度の「法」って、法律のことですよね。何だか難しそうな予感がします。
青木
私たちがコンビニでお茶を買えるのも、仕事をしてお金をもらえるのも、法律によって社会生活を送る上での様々なルールが定められ、それが守られているからですよね。法律は、国民の権利を守ったり、義務を定めたり、秩序ある社会を維持するために必要なものです。ところが、開発途上の国の中には、法律が十分に整っていなかったり、法律があってもきちんと運用されていなかったりする国があるんです。法律が整っていないと、例えばどんなことが起こると思いますか。
足立
犯罪が増えそうですよね。
青木
そのため、法律づくり、さらには、検察官や裁判官といった人材の育成などを支援する国際協力が、必要とされています。そうした日本の国際協力を「法制度整備支援」と言います。
足立
これはどういった方が支援しているんですか。
青木
実は、日本には法制度整備支援を専門に行う部署があるんです。今日は、その部署からスペシャリストをお招きしました。法務省 法務総合研究所 国際協力部の須田大さんです。法務総合研究所 国際協力部は、The International Cooperation Department の頭文字を取って、ICDと言うそうです。須田さんは検察官とのことですが、ICDにはどういった方々がおられるんですか。
須田
私のような検察官出身者のほか、裁判官出身者が教官として、また、海外の事情に詳しい職員が国際専門官として働いています。
足立
ICDは、いつ頃できたんですか。
須田
法務省では、1994年からアジアの国々の法律づくりを支援していたんですが、次第に、「我が国も支援してほしい」という要請が各国から寄せられるようになり、2001年に、法制度整備支援を専門に行う部署として、ICDを設置しました。
青木
今年は設立20周年ですね。この20年間に、アジアの数多くの国々で、法律づくりなどの支援を行っているんです。
足立
各国から要請を受けて、ICDを設立したとのことですが、それだけ日本の支援は評価されているということですか。
須田
そうですね。日本の支援は「寄り添い型の支援」と言われていて、この手法が多くの国々で気に入っていただいています。
足立
「寄り添い型の支援」とは、どのような手法なんですか。
須田
法制度づくりを支援する時に大切なことは、相手国に根付くように配慮することです。そのため、私たちは、その国の法律分野に携わる関係者と対話をしながら、国の歴史、文化的背景を尊重し、実情に合った法律や制度を共に考えています。
青木
日本の法律を押し付けるのではなく、その国には、どのような法律や制度が合っているのかを、一緒に考えるということですよね。これは、人間関係においても同じですね。
須田
そうした支援の過程を通じて、法律づくりのノウハウなどを学んでいただき、相手国が主体となって制度を構築したり、運用したりできるよう支援をしています。
足立
「寄り添い型の支援」というのは、日本らしいですね。
青木
国際協力というと、道路や橋を作るなどハード面の支援をイメージする方が多いと思うのですが、こうしたソフト面の支援もあるんですね。
須田
人材育成は、ソフト面の支援の典型と言われており、その中でも、日本の法制度整備支援は、人と人との協力によって行われている「顔の見える国際協力」と言われています。
足立
まさに、知っているようで知らなかった国際協力です。
青木
ここからは、須田さんが携わったラオスでの支援についてお伺いしていきます。須田さんは、ラオスに行かれていたんですよね。
須田
2015年から2018年まで3年弱、ラオスで、国際協力機構、通称JICA(ジャイカ)の長期派遣専門家として仕事をしていました。ラオスでは、1986年から市場経済化が進み、先進国や世界銀行などの支援を受けて、複数の法律を制定しました。しかし、個々の法律の間に矛盾が生じるなど、ラオスの実情に合わない状況が発生しました。
足立
せっかくつくったのに、運用がうまくいかなかったということですか。
須田
はい。そのため、ラオスの実情に合った法律をつくらないといけないという気運が高まり、日本の民法のように、整った法律をつくることにしたんです。
青木
その支援は、ラオス側から要請があったんですよね。
須田
はい。日本は、1998年頃から、法律の教科書作りなどでラオスを支援していたんですが、その支援の手法が評価され、要請につながりました。
青木
ラオスにも日本の法務省のような省庁があるということですか。
須田
はい。ラオスにも、司法省という日本の法務省と同様の組織がありますし、裁判所や検察庁、弁護士会といった組織もあります。
青木
須田さんは、どういった事から取り組んだのでしょうか。
須田
私が主に関わっていたのは、ラオスの裁判官、検察官、弁護士の育成の改善に携わることをしていました。ラオスでは、元々、弁護士や検察官や裁判官になりたい人が、それぞれ別々の研修所で学んで、別々にキャリアを積んでいくシステムだったため、法律の解釈に食い違いが生じる場合があるのでは、という問題意識がありました。実際に、私がラオスに行った時にも、学生や裁判官、検察官と話をすると、法律の条文がどういうものか、どういうことが書いてあるかは、よく知っているのですが、法律の成り立ちや、趣旨、目的まで理解できないという方が多かったんです。
青木
日本だと、弁護士、検事、裁判官は、同じ司法試験を受けますが、ラオスでは、そうではなかったということですか。
須田
2015年までは、別々で育成をしておりました。これが、2015年に、裁判官、検察官、弁護士になりたい人が、一緒に学べる新しい研修所が建設されました。日本は、ラオスにとって、質の高い法曹の人材育成のため、カリキュラムの組み方や教科書の作り方、研修をするための教え方など、研修所のシステム作りを支援しました。
足立
このような支援は、私たちにも関係するものなんでしょうか。
須田
もちろん、関係すると思います。例えば、日本は様々な国と、様々ものを、貿易して生活をしていると思いますが、貿易相手国に商取引の適正な法律があって、適正に運用されていれば、トラブルが起きた時でも公平に解決できると思います。日本企業は、海外へビジネスのために進出していますが、そういったビジネスの進出もしやすくなって、お互い協力し合って発展していけると思います。
青木
結果として、お互いの国の生活をより便利で豊かなものにできれば、良いですよね。日本だけではなく、相手国の人も幸せになることがうれしいですよね。
須田
また、こうした国際協力をすることで、相手国の方々が日本を好きになってくれます。実際、私は、ラオスに赴任していた期間中、ラオスの方々から、たくさんの感謝の言葉をいただきました。
足立
心に残っている言葉はありますか。
須田
二つの言葉を紹介します。一つは、「日本の支援は、“釣った魚を与えられるものではなく、自分で魚を捕れるようにしてくれるものだ”」という言葉です。これは、ラオス特有の表現で、ラオス人が自立できるように支援してくれたということです。 もう一つは、「日本の支援は、全ての日本人からの支援で、友人として支援いただいたと思っている」という言葉です。
足立
素敵な言葉ですね。誇らしくなりました。
青木
今後もICDの活動に注目してもらいたいですね。
須田
日本の法制度整備支援は、国際社会の平和と安全に貢献する活動です。そして、国際社会の一員としての日本の責務であり、同時に他国からの信頼を培うものとして非常に重要です。ICDは、その法制度整備支援の一翼を担う機関として、今後も「寄り添い型の支援」を続けていきます。
足立
最初、今日のテーマは難しそうだな、と思ったんですが、とても面白くて、最終的にラオスに行ってみたいという気持ちになりました。日本とラオス、すごく素敵な関係を築けているなと思いましたし、「寄り添い型の支援」というのが凄く印象に残りました。日本らしいですよね。法制度づくりだけでなく、「寄り添い型の支援」は大事だなと思いました。
青木
私が今日の話で印象に残ったのは、須田さんが活動されているICDです。今後も注目していきたいなと思いましたし、日本に対して好印象を持ってくれる国や人々が増えるということは、うれしいことですよね。素晴らしい国際協力だなと思いました。

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