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  • 駅に導入された新しい自動改札機(見た目に大きな変化はないが、タッチパートが斜めに取り付けられたことで、子供たちや車いす利用者の至便性が大きく向上した)
  • 従来の駅の構想を一新した高輪ゲートウェイ
  • 阪急電鉄が阪急千里線の北千里駅に導入した、立石電機 (現在のオムロン)が開発した世界初の自動改札機システム
  • 高輪ゲートウェイ駅が提供する最先端技術によるサービス。案内ロボット、清掃ロボット、無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」

June 2020

新しい時代のゲートウェイ

駅に導入された新しい自動改札機(見た目に大きな変化はないが、タッチパートが斜めに取り付けられたことで、子供たちや車いす利用者の至便性が大きく向上した)

1967年、日本において駅の混雑を解消するために誕生した自動改札システム。その後も改良が重ねられ、 2020年、東京で新たに開業した駅には最新鋭の自動改札機が登場した。このほかにも、案内ロボット、警備ロボットなど、新駅は先端技術利用のモデルケースとなっている。

従来の駅の構想を一新した高輪ゲートウェイ

今年3月、東京のJR山手線に新駅「高輪ゲートウェイ駅」が誕生した。駅の新しい自動改札機は非接触ICリーダーの位置を斜めに設定した「タッチしやすい自動改札機」で、子供や車椅子利用者の利便性向上に配慮している。さらに、この改札機には、実証実験として、QRコードを読み取るシステムが設置された。また、駅構内の警備や清掃、案内はロボットが担当し、約600種類の商品を取りそろえた無人AI決済店舗を営業するなど、新しい技術を随所に活用したサービスを提供している。

今では当たり前になったICカードと自動改札機だが、その原点は、高度経済成長期の1967年、大阪の阪急電鉄が阪急千里線の北千里駅 (大阪府吹田市)で世界で初めて導入した磁気切符の自動改札機に遡る。鉄道利用者が急増するなか、当時の駅員ははさみで検札しており、朝夕の通勤時には乗降客で溢れかえった。この問題解決に取り組んだのが立石電機 (現在のオムロン)だった。同社は、6年余りかけて、この自動改札機システムを完成させた。当初、この技術の広がりは緩やかだったが、1991年にJR東日本が導入すると、一気に広がった。そして、このイノベーションは海を超えて評価され、2007年、米国電子電気学会が電気・電子技術に関する歴史的偉業に与える「IEEEマイルストーン」を受賞している。

阪急電鉄が阪急千里線の北千里駅に導入した、立石電機 (現在のオムロン)が開発した世界初の自動改札機システム

現在、オムロンの自動改札機を担当するオムロン ソーシアルソリューションズ株式会社 社会ソリューション事業本部 開発センタ長の柳生勇人さんは、「この開発を支えたのは、当時の社会課題であった朝夕の通勤ラッシュを解決したい!という熱い思いから、徹底的に現場を知るという現場主義であったと思います」と語る。

その現場主義とは「乗降客の流れを止めずに改札を通すため、開発チームは頻繁に駅を訪れては、乗客の流れ、歩く速さ、手荷物の大きさなど徹底的に調査しました。パソコンのない時代ですから、人手と時間をかけて現場を見てニーズを知り、それを持ち帰って試作機・実証を繰り返す開発を貫いたことが成功につながったのです」と話す。

その後、紙の磁気切符は磁気カード、ICカードへと進化した。

ICカードを進展させたのは、ソニーが開発した高速データ送受信可能な非接触ICカード技術「FeliCa」だった。2001年にJR東日本がIC乗車券「Suica」にFeliCaを採用すると、ICカードは急速に広がった。そしてこの技術は、駅構内、街中へと拡大し、各種通行証から航空搭乗券、家電製品や電子マネーなど用途を広げている。

高輪ゲートウェイ駅は、開業してもなお、更なる技術の活用を模索している。

将来、実証実験中のQRコードの活用が進むことになれば、訪日客を含め利用者の利便性が大きく向上することが期待される。

開業前の2019年12月の会見で、JR東日本社長の深澤祐二さんは、高輪ゲートウェイ駅で、“未来の駅を想像できる技術”を体験していただきたい、と強調した。 高輪ゲートウェイ駅は、東京駅から5つ目、品川駅の一つ手前である。隈研吾さんが設計した広がりのある空間の中で、様々な最新技術、新しい時代の駅のかたちを垣間見ることができる。

高輪ゲートウェイ駅が提供する最先端技術によるサービス。案内ロボット、清掃ロボット、無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」