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June 2020

クールな日本を世界へ

A.T.カーニー日本法人会長で、クールジャパン戦略推進会議メンバーの梅澤高明さん


和食、マンガやアニメ、ゲーム、おもてなしなど日本の文化やサービスなどが、海外でも人気を博しています。それら日本の様々な魅力的なコンテンツを、日本政府は“クールジャパン”と呼び、世界に広げる「クールジャパン戦略」を推進しています。長年、政府の推進会議の委員やクールジャパン機構の社外取締役を務めているA.T.カーニー日本法人会長の梅澤高明さんに、その取組について伺いました。

梅澤さんは、どのような経緯で「クールジャパン戦略」と関わられるようになったのでしょうか。

2008年のリーマン・ショックで、自動車産業や電機産業など日本を長年支えてきたものづくり産業が大きな打撃を受けました。経営コンサルタントとして日本の企業を支援してきた私は危機感を感じ、日本は今後、文化産業を新たな産業の柱の一つとして育成するべきという内容の記事をまとめ、2009年に発表しました。日本文化には高いポテンシャルがあるにも関わらず、産業としては十分に発展していないと考えていたのです。

すると、私の記事を読んだ経済産業省の幹部から、協力要請がありました。同省はちょうど、10年ごとに改定する「産業構造ビジョン」の作成に取り掛かっており、今後の成長分野の一つに文化産業を挙げていたのです。それ以来、日本政府のクールジャパン戦略に関わることになり、今日に至っています。

この10年、どのような日本文化のコンテンツが、海外で人気を得るようになったでしょうか。

以前からマンガ、アニメ、ゲームは人気でしたが、過去10年で日本食の人気が非常に高まりました。農林水産省の調査によると2006年に約2万千店だった海外の日本食レストランは、2019年には約15万6千店と6.5倍になりました。寿司、ラーメン、焼き鳥、牛丼など、多様な日本食を海外で楽しめるようになりました。しかも、そうしたレストランの経営者の大半は日本人ではありません。つまり、日本人以外の人から見ても、日本食はビジネス上の優良なコンテンツと評価されているのです。

そのほかには、どのような日本文化が人気となっているでしょうか。また、そうした日本文化へ関心を持つ人を増やすために、クールジャパン戦略として、どのような取組が行われているか教えてください。

センス良くコーディネートされたストリートファッション、広大な自然の中で現代アートを楽しめる、直島(なおしま)などの瀬戸内海の島々、超高層ビルの谷間にある木造家屋が残る路地など伝統と新しさが混然一体となった東京の街並みなど、今、海外の人が関心を寄せるものは非常に幅広くなっています。

そうした多様性が日本の文化の特徴であり魅力です。日本は古くは朝鮮半島や中国から、明治時代以降はヨーロッパから、第二次世界大戦後は、主にアメリカから、様々な文化を取り入れ、混ぜ合わせて、多様性豊かな文化を生んできました。

一方、魅力ある日本文化の創造は日本人だけが行うものではありません。日本人以外の方にもどんどんと参加して欲しいので、海外の人が、旅行のみならず、日本で勉強や仕事を楽しめる環境を整えることが必要です。そのために、クールジャパン戦略の一環として、日本は就労ビザの緩和を進めています。例えば、日本の学校でアニメ、マンガ、ゲーム、日本料理などを学んだ外国人が、卒業後に日本で就労することができる仕組みが2017年から整備されましたので、これらを学んでいる外国籍の方々にどんどん活用していただきたいと思います。

今後、日本文化の魅力を更に海外へと広めるために、どのようなことが必要でしょうか。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大が続く中では、インターネットを通じて、更に多くのコンテンツを海外へと発信することが大切です。例えば私は今、日本のライブハウスやダンスクラブが、音楽ライブをオンラインで世界へ配信する拠点となって欲しいと考え、その動きを後押ししています。

観光分野は、COVID-19の影響で、しばらく非常に厳しい状況が続きますが、今後、「オーセンティック」(本物)志向と「ローカル」(その地域ならでは)志向がキーワードになります。日本への理解が深い人が増えるほど、実際に現地に行かなければ体験できないもの、その地域、土地の文化に根ざしたものなどの「本物」を求める傾向は強くなるでしょう。日本の国土は小さいですが、北から南まで地域の文化は多種多様で非常に豊かです。COVID-19収束後を見据えて、オーセンティックでローカルな文化を見つけ出して、コロナ期の今からオンラインでどんどん発信していくことが重要です。