Home > Highlighting JAPAN > Highlighting Japan June 2018 > 科学技術

Highlighting JAPAN

 

 

話しかけるとお風呂が沸く、新しいIoTサービス

大阪ガス株式会社は、IoT対応のガス機器を利用する顧客を対象に、2018年4月から、スマートスピーカーを活用した給湯や離れて暮らす家族の見守りなど、新たなサービスを展開している。

大阪ガスは、2016年4月、リモコンに無線LAN機能を搭載した家庭用燃料電池「エネファームtype S」(参照)を発売した。Amazonが提供するクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」とエネファームを接続し、故障やエラーの発生を感知して利用者への通知と修理手配までを行う給湯器遠隔見守りサービスや、外出先からのお湯はりと床暖房の操作がスマートフォンでできる遠隔操作サービス、電気の使用状況が確認できるエネルギーの省エネナビゲーションなどのサービスを提供している。2017年10月からは、エネファームのIoT基盤を、一般家庭への普及率が高い省エネ給湯器「エコジョーズ」に搭載し、便利で快適なサービスがより多くの家庭で利用できるようになった。

「給湯器遠隔見守りサービスについては利用者の94%以上が安心だと感じてくださっています。付加価値部分のサービスに対して新たなセンサー機能や各種デバイスを導入するのはハードルが高いですが、給湯器の台所リモコンをIoT端末として利用することで、生活の中に自然に溶け込ませることができたのが成功の要因だと思います」とリビング事業部IoT推進プロジェクトの戌角太一さんは話す。

2018年4月からはスマートスピーカーを経由したガス機器の音声操作サービスを開始した。Amazon Echoに「お風呂を沸かして」「床暖房をつけて」などと話しかけることで、お風呂のお湯はりや床暖房のON/OFF操作までできるようになった。

その他、「朝、洗面所でお湯を使った」「夜、お風呂に入った」など、給湯器の利用状況を離れて暮らす家族に通知するお湯モニターサービスもあり、安心感をもたらすサービスとして注目されている。ガス機器の便利な使い方以外でも、花粉の飛散情報など暮らしに役立つ情報を配信するサービスや、同社の会員専用サイトで給湯・暖房・追い炊きのガス使用量の内訳が確認できるガスデイリーレポートサービスも徐々に利用者を増やしている。

不正アクセスや遠隔操作による被害も懸念されることから、そういった課題に対応すべく、機器のセキュリティ対策について、商品技術開発部スマート技術開発チームの鈴木智之チーフはこう話す。「無線LANの暗号形式はWEP(Wired Equivalent Privacy)ではなくAES(Advanced Encryption Standard)を標準とし、サーバーとの通信はすべて、金融機関などでも使用されるTLS1.2で暗号化しています。台所のリモコンを直接操作しないとスマホとペアリングができないシステムについては特許も取得しています」。

今後も、同社はより付加価値の高い革新的なサービスを生み出すべく、WebAPI(Web Application Programming Interface)などの技術を使って様々な企業と連携し、新たな開発を進めるという。