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Highlighting JAPAN

地域を活性化させるスポーツの力


スポーツ庁は、スポーツによる地域活性化に注力している。設立から2年余りを経過した今、どのような取組が行われているのか、鈴木大地長官にお話を伺った。

スポーツが地域活性化に与える影響についてお聞かせください。

スポーツ庁では、スポーツによる地域活性化を大きなテーマの一つに掲げています。なぜなら、スポーツをすることで地域の皆様の心身が健康になり、ひいては医療費が削減されて国全体が元気になります。また、その地域ならではのスポーツをアピールすることで、地域固有のスポーツを楽しむ旅行「スポーツツーリズム」の推進にもつながり、インバウンドを含む多くの人々を呼び込めて経済的にも活性化すると考えています。

スポーツによる活性化は、どの地域でも可能なものでしょうか?

自然に恵まれた国土をもつ日本は、どの地域にもスポーツ資源があり、アウトドアなら川や山、海、ダムなどがそれに当たりますし、「うちの町には何もない」という地域でも、信号もないからマラソンができると考えられます。スポーツは種類がとても多いので、何らかのスポーツに適した資源があると思います。例えば徳島県三好市は、急峻な川を活用し2017年に「ラフティング世界選手権」が開催され、1万人もの観客が訪れたことで世界的に知られるようになりました。こういったチャンスは、どこの地域にもあると言えるでしょう。

また、柔道や弓道といった武道も日本の大きなスポーツ資産です。海外では武道に魅力を感じる方も多く、日本を訪れて学校の部活動見学や武道体験を希望する人もいるので、こうした方々に向けて「武道ツーリズム」をアピールすることも大切です。

スポーツ庁が設立された2015年と現在では、スポーツを取り巻く環境にどのような変化があったのでしょうか?

当時に比べると「スポーツツーリズム」という言葉はだいぶ浸透していますが、まだまだこれからです。需要拡大のための官民連携協議会を立ち上げ、スポーツメーカーや旅行業者といった企業から良い意見をいただいています。スポーツ庁の役割は、こうした企業が「スポーツツーリズム」の実現に向けて取り組みやすいよう、規制の枠を広げて方向付けしていくことです。

また、スポーツによる地域活性化を推進する取組の一つとして、各自治体に向けた成功事例の発信にも力を入れています。「スポーツによる地域活性化まんが事例集」の制作はその一環で、全国で成功した12の事例を取材し、地元の専門学校などでまんが制作を専攻する学生さんたちに描いてもらいました。

今後の展望を教えてください。

2019年の「ラグビーワールドカップ」を皮切りに、2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」(以下、オリ・パラ)、2021年の「関西ワールドマスターズゲームズ」と、日本では3年連続で国際的なスポーツイベントが開催されます。44日間に渡り、全国12の会場で行われる「ラグビーワールドカップ」は観客200万人、そのうちの40万人は海外からとの試算されており、翌年のオリ・パラ同様、経済効果も非常に高い大きなイベントです。続く「ワールドマスターズゲームズ」は、概ね30歳以上のスポーツ愛好者なら誰でも参加できる国際競技大会で、例年およそ4万人が参加しています。2019年〜2021年の「ゴールデン・スポーツイヤーズ」を機に日本中が総スポーツ社会となることを目指し、全国的に盛り上げられるよう、アクションを起こしていきたいと考えています。