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Highlighting JAPAN

デンマーク発ライフスタイルブランド

既に欧州を中心にブランドを確立している北欧雑貨ビジネスが、日本市場でも人気を集めている。

シンプルな形状、温かみを感じる色合いなどを特徴とする北欧デザインの家具、食器、雑貨は日本でも人気が高く、町の小さな雑貨店から大都市のデパートまで北欧デザインの商品を扱う店は数多い。そうした中、2016年10月、デンマークの雑貨店「ソストレーネ グレーネ」は、国内外の有名ブランドが店を構える東京の表参道に日本第1号店をオープンした。

ソストレーネ グレーネは1973年、首都コペンハーゲンに次ぐ第二の都市、オーフスで創業された。店の名は、デンマーク語でグレーネ姉妹を意味し、日常にあるどんなささやかなものにもそこに宿る『美しさ』や『喜び』を見出す、グレーネ家のアンナとクララの姉妹が世界中を旅して見つけた素敵なアイテムを紹介するお店というコンセプトで、現在、ヨーロッパを中心に150店以上を展開している。

「北欧デザインの商品をリーズナブルな価格で豊富に揃えるとともに、毎週新しい商品を提供しているところが特徴です。商品や店の雰囲気は基本的に全世界で統一されています」と日本でソストレーネ グレーネを運営する株式会社ヒルマー・ジャパン代表取締役の門田剛さんは言う。同社は2016年5月に日本に法人を開設する準備段階で、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)が提供する無償ビジネスインフラを活用し戦略を練った。

静かなクラシック音楽が流れる店内には、家具、食器、キッチン用品、文房具など「毎日の生活に小さな変化や輝きを生み出す」商品が並ぶ。商品は全てデンマークの本社でデザインされており、シンプルで、優しいぬくもりが感じられる。また、ギフト用ラッピング用品、インテリア用品や手芸用品など様々な材料やツールも取りそろえられている。こうした商品は木製の棚や箱に収められ、控えめな照明と相まって店の落ち着いた雰囲気を醸し出している。

女性に人気の高い表参道にオープンした1号店は、30〜40歳代の女性を主なターゲットとし、キッチン用品、家具、収納用の箱などを充実させ、話題を呼んでいる。同店はアジア初の店舗ということもあり、アジアからの訪日観光客の来店も非常に多い。

「日本では消費者の品質に対する意識が非常に高く、日本市場で売れれば、世界中どの市場でも通用すると言えます。言わば、日本はアジア市場進出に備える拠点なのです」と門田さんは言う。

今年、ソストレーネ グレーネは表参道に続き、東京臨海エリアの観光地であるお台場と、若い女性を中心に人気を集める東京都武蔵野市の吉祥寺に新しい店舗をオープンした。アジア展開を想定した日本国内での出店拡大である。

それに伴い、ヒルマー・ジャパンはブランドを浸透させるためSNSを活用した広報活動を加速させている。月間アクティブユーザーが7,000万人を超える無料アプリ「LINE@」のオフィシャルアカウントを通じた商品情報ニュースやDIYアイデアの発信もその一つである。

またSNSで発信される各店舗の独自企画、イベントやキャンペーンも人気を集めている。例えば、お台場店では、ある一定額以上の買い物をした客には店内ディスプレイで使用している木箱をプレゼントするキャンペーンを行なったところ、用意されていた木箱はすぐに無くなったという。買い物客は商品と木箱のセットに“ソストレーネ グレーネの世界観”を感じ取ったのだろう。

また、ソストレーネ グレーネは、店の近隣住民が日常的に足を運びたくなるような品揃えに力を入れ、しかも定期的に入れ替えるというビジネスモデルを構築している。「住みたい場所」としても人気の高い吉祥寺店ではこうした戦略が功を奏し、地元から多くの安定的なリピーターを獲得している。

「これまでの日本の雑貨店と比較すると、ソストレーネ グレーネは店の規模が大きく、品揃えが非常に豊富です。様々な新商品を常に提供するという能力も高いです。日本では北欧の雑貨は価格が高いというイメージがあるのですが、お客様からは『リーズナブル』と喜んでいただいています」と門田さんは言う。

今年11月には、ソストレーネ グレーネは愛知県名古屋市郊外のショッピングモール内に新たな店舗をオープンすることが決まっている。東京以外での出店を成功させ、更なる多店舗展開へとつなげる計画である。