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Highlighting JAPAN

高度人材ポイント制

高度人材外国人とその雇用者は、高度人材ポイント制の恩恵を受けている。

日本で働く外国人の数は年々増加しており、厚生労働省によれば、2016年10月現在、約108万人と、前年比約19%増となっている。こうした中、日本で2012年から高度人材を円滑に日本に呼び込むために「高度人材ポイント制」(以下、ポイント制)を運用している。

「この制度は、日本の経済成長、イノベーションへの貢献が期待される能力を持った高度人材外国人の受入れを促進するための制度です」と法務省入国管理局の伊藤純史氏は言う。「そうした人々に、出入国管理上の優遇措置を講じます」

高度人材外国人の活動内容は、「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類されている。ポイント制は、これらの活動を行っている外国人が対象となる。「高度学術研究活動」を行う人とは、主に大学教授や研究者、「高度専門・技術活動」を行う人とは、主に民間企業で専門的な知識を活用して働く人々(例えばエンジニアなど)、「高度経営・管理活動」を行う人とは、主に企業の役員や経営者である。

ポイント制では、「学歴」、「職歴」、「年収」などの項目ごとにポイントが設けられている。例えば、高度学術研究活動を行っている人で、博士号を持っていると30点、高度経営・管理活動を行っている人で、職歴が10年以上であれば25点、日本語能力試験で最も高いレベルであるN1の取得者には15点などである。こうしたポイントの合計が70点に達した人を「高度人材」と認定し、入国・在留を認め、出入国管理上の優遇措置を与えるのである。

具体的な優遇措置としては、例えば、複合的な在留活動の許容である。通常、外国人は、在留期間中、許可された1つの在留資格により認められている活動しかできない。しかし、高度人材外国人に認定されれば、例えば、大学での研究活動と併せて、関連する事業の経営など複数の在留資格にまたがる活動が可能になる。また、高度人材外国人に対しては、法律上の最長の在留期間である「5年」が一律に付与される。さらに一定の条件下での配偶者の就労、親の帯同、家事使用人の帯同が認められる。

2016年10月現在、約6300人が高度人材に認定されているが、政府は2020年までに、その数を1万人にする目標を立てている。

「通常、入国審査・在留手続きには約1か月かかりますが、高度人材と認められれば、10日以内で済むので、企業にとってのメリットも大きいといえます」と伊藤氏は言う。なお、ポイント制を含めた高度人材に対する優遇措置は日本だけではなく、イギリス、フランス、カナダなど、多くの国で採用されている。

「政府は現在、高度人材の受入をさらに促進するために、より活用しやすいポイント制への変更、高度人材の永住権許可要件のさらなる緩和などの対策を検討しています」と伊藤氏は語った。

高度人材の活用

大手証券会社、野村證券は高度人材ポイント制を活用している企業の一つである。同社では現在、高度人材として在留資格を取得した74名の外国人が日本で働いている。

「今、お金は瞬時に世界中のマーケットを駆けめぐります。そうした状況への対応の一つとして、海外で採用した高度人材を日本によび、彼らにも活躍してもらっています」と人事部の星野雅英氏は言う。「東京が真の意味での国際金融センターになっていく中において、こうした制度面を拡充していくことは、私たちにとってもありがたいし、非常に恩恵を被っています」

2014年にシンガポールから来日した野村證券マクロ・トレーディング部のジョン・ゴーマン氏は、高度人材ポイント制の利用者の一人である。

「ポイント制は大変便利でした」とゴーマン氏は言う。「ポイント制は申請書類や質問事項もシンプルで、リストに沿ってポイントを確認していけばいいので、ストレスを感じませんでした」

「もう一つの助かった点は、私はシンガポールで子どもが出来ましたが、高度人材に認定されたことで、優遇措置の一つとして、私たちの家事使用人を東京に連れてくることができました。これはとても大きなメリットです」とゴーマン氏は言う。