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Highlighting JAPAN

 

藤田順三TICAD担当大使インタビュー


第6回アフリカ開発会議(TICAD VI) が、アフリカのケニアで8月27日から28日まで開催される。TICADの歴史、日本とアフリカとの関係について、藤田順三TICAD担当大使にお話しを聞いた。

アフリカ開発会議(TICAD)の目的、特徴をお教え下さい。

日本のイニシアティブで始まったTICADは、アフリカの抱える問題を、アフリカ諸国と国際社会がともに考え、解決に向けて行動することが目的です。1993年に最初のTICADが東京で開催された当時は、冷戦が終結して間もなくの頃で、アフリカに対する国際的な関心が薄れていました。しかし、TICADはアフリカの重要性を国際社会に再び喚起するきっかけになりました。

TICADの特徴の一つは、その包摂性とオープンさです。TICADは日本とアフリカ諸国の政府だけではなく、国際機関、パートナー国、民間企業、NGOなど、様々な組織、人が参加しています。また、TICADは、アフリカの開発はアフリカ自身の自主努力でなされるという「オーナーシップ」、そうした努力を国際的に支える「パートナーシップ」を基本哲学にしています。そして、TICADの首脳会合での公約が、実行されているかを確認するフォローアップのシステムも構築されています。

TICAD VIが初めてアフリカで開催されることになった意義をお教え下さい。

アフリカ諸国からは以前から、TICADをアフリカで開催したいという希望がありました。2014年6月にアフリカ連合(AU)がTICADのアフリカ開催と、3年ごとの開催を決議しました。これを受け、2014年9月の国連総会で、安倍晋三首相が、TICADを日本とアフリカで3年ごとに相互に開催すること、TICAD VIをアフリカで開催することを表明しました。

TICAD VIでは、2013年のTICAD Vで採択された横浜宣言、横浜行動計画の検証が行われる予定です。また、エボラ出血熱の流行、テロリズムの拡大、国際資源価格の下落など、2013年以降アフリカで発生している諸問題についても議論します。

アフリカ諸国がTICADを主体的にアフリカで開催したいと考えたことは、非常に素晴らしいです。それだけ、アフリカ諸国のTICADに対する評価、期待が大きいということだと思います。

アフリカ諸国は日本にどのような期待を寄せているでしょうか。

アフリカ諸国は、教育、保健、インフラ整備など幅広い分野によって実施されている日本の政府開発援助(ODA)に対して、非常に感謝しています。これに加え、今、アフリカ諸国が期待しているのが、日本企業によるさらなる投資です。

ここ10年以上、アフリカ諸国は高い経済成長を遂げていますが、日本企業による投資が進めば、経済成長がさらに加速されるでしょう。アフリカ諸国は日本の製品や技術に対して高い信頼を寄せています。IT、農業、医療技術、宇宙技術など、日本の優れた科学技術をアフリカで活かすことができます。日本企業にとっても、若い労働力が豊富なアフリカは巨大な市場であり、ビジネスチャンスに溢れた地域でしょう。TICAD VIにも数多くの日本企業が参加する予定です。

藤田大使は2013年から今年まで、ウガンダの大使を務めていましたが、どのような印象を持ちましたでしょうか。

ウガンダの人々は非常に朗らかで、仕事がしやすい国でした。ウガンダは土地が肥沃なので、農業が盛んです。天然資源も豊富で、将来、発展する可能性が高い国と強く感じました。

ウガンダの発展のためには人材育成が重要です。例えば、日本企業が現在、日本のODA事業として、ナイル川に架かるウガンダ橋の建設を進めていますが、企業は橋の完成後の維持管理を担う現地の人材を育成することにも力を入れています。また、首都カンパラにあるナカワ職業訓練校は国際協力機構(JICA)が長年にわたって支援をしてきました。非常に就職率が高いので、大学を卒業した人が、入学するほどです。

ウガンダに限らず、アフリカ諸国において、人材の育成が日本の果たすべき重要な役割の一つだと思います。